FishTech - Photographs of Fishing Techniques
漁業技術の画像集・FishTech


著作者/水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘
Compiled by Emeritus Prof. Hiroshi Maeda, Fisheries College, Shimonoseki, Japan

協力者/水産大学校助教授 深田耕一
in collaboration with Asst. Prof. Koichi Fukada, Fisheries College, Shimonoseki, Japan


Back to: Top Page | FishTech 目次 | ご覧のページ

注: 各画像の下に記載・リンクされている拡大画像(下三桁が奇数のもの)は 非公開にてアクセスすることはできません。ご覧になりたい方は、トップページに記載のメールアドレスまで ご連絡ください。



    第 1 部
    12 釣漁法
    12 小型漁船における釣漁具巻上げ装置



     小型船における動力は、最初に推進用として導入された。それがベルトかロッドで取出され、漁具を操作する ために用いられた。

     これには2つの流れがある。1つは、延縄のラインホーラや刺網のネットホーラからさらにイカ自動釣機に 見られるように、一定の力を取出し、それが作業のほぼ全作業時間にわたり、労働を軽減するとともに、 船の能率を大いに向上させるのに役立った型である。もう1つは、旋網のネットホーラや底曳網のウインチ のように短時間であるが、一連の作業の間に、その進み具合に応じて出力が調整され、人力では動かせないような 漁具を動かすために用いられる型である。

     次の使われ方は発電機を動かし、集魚灯や計器類の電源を得る方法である。一時甲板上の装置の動力源が油圧化 されたが、防蝕・防水モータが進歩し、ネットホーラやラインホーラのような船橋外の装置が電動化され、 釣漁具までを扱うようになった。

     釣漁具を巻上げる装置に限っても、電動化によって、人力では上げられなかったような深海釣や深い縦延縄を 巻上げる装置が出現した。この傾向は、人力でも動かせるような漁具を巻上げて労働を軽減するための装置 にまで波及した。そのために一時は姿を消したブリの底曳縄が復活した。

     いずれの装置も釣具を扱うので、基本構造は似ており、識別しにくい。リールに道糸―主に細いワーヤ―を 巻いてあるかどうか、近くにボンデンやカゴに入れた複数の道糸が見られるかを基準にすると、使用(設置) 目的を判断する助けとなる。

     まず、深海釣を含む釣具を揚げるために用いられている例を示す。

    No.1
    [No.1: image12-12-001.jpg]

     このような装置は、船尾に設置される場合は普通はブルワークのすぐ内側に設置されている。しかし、この船 では船尾から離れた操舵室のすぐ後に設置されている。

    No.2
    [No.2: image12-12-003.jpg]

     右舷中央と船尾寄りに1基ずつついている。縦延縄用のように、常に人間がついて操作する装置の場合は、 1基であるが、深海釣機のように、時々しか巻上げないような装置の場合は、複数基が同じ側に付けられる。

    No.3
    [No.3: image12-12-005.jpg]

     このような装置は、これまでに示したように、比較的新しい船に設置される。しかし、次のように木造船と 考えられる古い船でも用いられる。

    No.4
    [No.4: image12-12-007.jpg]

     瀬渡し船の船型をしているが、船尾に釣機が見られる。これは乗客用と考えられない。なお、遊漁船の中には 乗客が使うことを目的とした遊漁用電動リールのコンセントを備えた船が見られる。

    No.5
    [No.5: image12-12-009.jpg]

     次に曳縄に用いられている例を示す。No.6では、延縄用のラインホーラが2基左右に並んでいるように見えるが、 箱の中の漁具を見ると、曳縄用であることが分かる。



    No.6
    [No.6: image12-12-011.jpg]

     (深海)釣具巻上げ用である。使用時にはハンドレールを外し左に90°回す。

    No.7
    [No.7: image12-12-013.jpg]

     ブリ底曳縄に用いられている例である。道糸はワーヤで、多数の小さな鉛粒(ビシ)がついている。 その先端には大きな鉛の錘が見られる。

     底曳縄にはブリ縄とタチウオ縄が考えられる。しかし、この写真は、以前にブリ底曳縄が行われタチウオ縄が 行われていなかった地域で撮影したので、ブリ底曳縄用である考えられる。

    No.8
    [No.8: image12-12-015.jpg]

    No.9
    [No.9: image12-12-017.jpg]

    No.10
    [No.10: image12-12-019.jpg]

     縦延縄用の巻上げ機である。本体の上にやや小型の多目的リールがあるので、分かりにくい。 (No.12ではこのリールは、隣の船が防舷用に使っている中古のタイヤと重なってみえる。)

     白い発泡スチロ−ルブイを付けたボンデンとプラスティックのカゴに入った道糸が見られるので縦延縄用である ことが分かる。

    No.11
    [No.11: image12-12-021.jpg]

    No.12
    [No.12: image12-12-023.jpg]

     地元の鉄工所で作られた装置らしい。ブルワークトップにあるガイドローラとプーリの方向・スプリングの 代わりかけたら細いゴムベルト・ガイドローラの配置から、縦延縄巻上げ用である可能性が強い。

    No.13
    [No.13: image12-1-025.jpg]


Back to: Top Page | FishTech目次 | ご覧のページ