FishTech - Photographs of Fishing Techniques
漁業技術の画像集・FishTech


著作者/水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘
Compiled by Emeritus Prof. Hiroshi Maeda, Fisheries College, Shimonoseki, Japan

協力者/水産大学校助教授 深田耕一
in collaboration with Asst. Prof. Koichi Fukada, Fisheries College, Shimonoseki, Japan


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    第 2 部
    16 船曳網
    13 在来型シラス船曳網の操業(山口県萩市)



             在来型シラス船曳網のやや進んだ例として山口県萩市地先におけるこの漁業をあげる。この船の外側すぐ 近くでドラム式のシラス船曳網が操業していた。その比較のために両者の写真をあげる。しかし、この漁業は 数年後にはすべてドラム式に変わった。

     ここでは網船として2隻の古い動力船と、魚探船として1隻、運搬船として1隻の比較的新しい動力船の計4隻 で行われる。

     写真に示すように網船は古いが、動力は推進の他に揚網にも用いられる。そのために乗組員は少ない。 注意すると女性も混ざっているのが分かる。

    萩は観光地なので、漁獲物は生食用にホテルに出荷され、一部は釜茹でからシラス干しに加工し、 みやげ物として販売できる長所がある。

    No.1
    [No.1: ft_image_15_13/image001.jpg]

    漁場の使い分けを示すために、この写真をあげる。この時間(昼間)に、この海域ではシラス船曳網以外は 操業していない。

     右端にはNo.2からNo.7までの投網を撮影した組の魚探船が魚群を探している。左端ではNo.8以後の揚網の 写真を撮影した組が揚網をしている。この写真を撮影したすぐ外側(写真を撮った船の反対側)ではドラム式の シラス船曳網が操業している。

    投 網

    No.2
    [No.2: ft_image_15_13/image003.jpg]

     2隻の網船に半分ずつ搭載された網は出港直前に縫合わされる。

     魚群が見つかるまで、近く(No.1の写真の右端付近)で待機している。遠景は探魚中の魚探船である。

    No.3
    [No.3: ft_image_16_13/image005.jpg]

     魚群が発見されると、2隻の網船は舫ったまま、魚探船に誘導されて全速で投網地点に向かう。

    No.4
    [No.4: ft_image_16_13/image007.jpg]

     投網開始地点に到着すると、停止し目印にするブイを付けて袋網を投入する。

     陸は南にあり、北は開いているので、背景を見ると撮影した方向と船の方向が分かる。また、波を見ると船速と その変化が分かる。

    No.5
    [No.5: ft_image_16_13/image009.jpg]

     2隻の網船は大きく開き、全速で投網する。

    No.6
    [No.6: ft_image_16_13/image011.jpg]

     網に向かって左半分を投入している船。右端には運搬船が見える。

    No.7
    [No.7: ft_image_16_13/image013.jpg]

     網に向かって右半分を投入している船。No.6を撮影した位置から右前方にシフトし、反対側に向けて撮影した 写真なので、網船は2隻とも船首が左になっているが、No6の写真の船は陸に向かって左に、この写真の船は右に 走っている。

     中央には手製のキャプスタンが見られる。そのために乗組員は少ない。

     近くの沖方に見える白い船はドラム式のシラス船曳網の袋網から漁獲物を取り上げている運搬船である。



      揚 網

     これ以後はほぼ同時刻に揚網の採集段階に入った他の組の船の様子を示す。

    No.8
    [No.8: ft_image_16_13/image015.jpg]

     この組でも船の中央に大きなキャプスタンが付いている。

     網から見て左半分を揚げている船の写真である。2隻の網船の間は少し離れている。この網船は揚網しながら 次第に反対側の船に近づく(船首は右に向いていることに注意)。袋網は手前の白いブイまで伸びている。

     揚網が進むに従って網の目合いが次第に小さくなって行くのが分かる。

    No.9
    [No.9: ft_image_16_13/image017.jpg]

     網から見て右半分を揚げている網船。 こちらの船は船首が岸に向いており、右舷の外側に錨を打ち、網に 引込まれないようにしている。運搬船はまだ戻ってきていない。

    No.10
    [No.10: ft_image_16_13/image019.jpg]

    左右の網船は次第に近づく。

    No.11
    [No.11: ft_image_16_13/image021.jpg]

     運搬船が戻ってくる。(陸揚げした加工場は写真の左の方にある。)

    No.12
    [No.12: ft_image_16_13/image023.jpg]

    網の左半分を揚げている網船は次第に右の網船に近づく。右の網船の外側には運搬船が接舷待機している。 漁獲物(シラス)は傷み易いので、水揚げ後直ちに陸上の加工場まで運ばなければならない。

    No.13
    [No.13: ft_image_16_13/image025.jpg]

     2隻の網船は船首と船首、船尾と船尾で舫われる。その間で網を揚げる。身網と袋網は船尾の水面下に白っぽく 見える。船に比べるとこの部分だけでも大きいことが分かる。これらに袖網と曳綱を加えた大きさの網が2隻に 分けて搭載されている。

    No.14
    [No.14: ft_image_16_13/image027.jpg]

     揚網がこの段階まで進んでも、水面上にはブイだけした見えない。

    No.15
    [No.15: ft_image_16_13/image029.jpg]

     身網が揚がりはじめると、それについた浮子が水面に見られるようになる。

    No.16
    [No.16: ft_image_16_13/image031.jpg]

     船尾水面近くにある袋網は白っぽく見える。

     その後、袋網をあげ漁獲物を掬取る。漁獲物は大きさから考えれば、ポンプで揚げるのに適しているが、 傷み易いのでタモ網で掬取られる。


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