FishTech - Photographs of Fishing Techniques
漁業技術の画像集・FishTech


著作者/水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘
Compiled by Emeritus Prof. Hiroshi Maeda, Fisheries College, Shimonoseki, Japan

協力者/水産大学校助教授 深田耕一
in collaboration with Asst. Prof. Koichi Fukada, Fisheries College, Shimonoseki, Japan


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    第 2 部
    17 トロール
    16 スリミ工船のプラント



     北洋におけるフィッシミール船団は、1960年代の初めまで、以東底曳船と以西底曳船を用い、浅い漁場に棲む コガネガレイを原料としていた。しかし、この魚種が減少したので、一部の船団では原料をスケトウダラに変えた。 他方、冷凍スリミの技術が開発され、1970年代の初めには5,000トン級の工船式スリミトロール船が建造される ようになった。当初は、漁獲が多く、ファイル「スリミ工船における漁労作業」のNo.38に示すような漁獲を 揚げることは容易であった。常に鮮度のよい原料を使うようにするために、魚溜に原料魚が残っている限りは スリミの生産を続ける一方で探魚を続け、原料が減ると漁獲をするという方式で十分な原料を確保できた。

     スリミプラントに必要とする各機械の能力を考え、最適の台数の組合せを算出し、それらを配置した処理甲板 の大きさの船を考えると5,000トン級になるというのが、この大きさの船を建造した基本な考え方であった。 この考え方によると、原料処理能力は1日当たり約200トンになる。しかし、その後、処理能力と漁獲能力の 関係が逆転した。

     工船式スリミトロール船は、大手の水産会社における稼ぎの筆頭であった。漁期は周年に渡り、入港しても 荷役と整備が終わると直ちに出港した。また、装置は入港する度毎に改装されていた。したがって、工船式 スリミトロール船を見学することは好まれず、ことにスリミプランドは社内でも限られた人しか入れず、 写真を撮ることは全く考えられなかった。しかし、関係各国によって200浬漁業専管水域の体制が確立された頃 から情勢は変わりはじめた。

     ここに示す写真は、大手の傍系会社がもっていた工船式スリミトロール船を廃船にする前に、造船所の岸壁 に係船中に撮影したものである。したがって、造船所の管理人から、プラントについて簡単な説明しか 受けられなかった。また、廃船前にある程度清掃されていたものの、各所に錆が浮き始めていた。

     専門外なので、写真をほぼ魚の流れに従って並べ、説明は省略した。それぞれの装置の呼び方は、工船が 所属する会社やメーカによって違うだろう。

    No.1
    [No.1: ft_image_17_16/image001.jpg]

    No.2
    [No.2: ft_image_17_16/image003.png]

    自動制御盤の写真である。別名グループコントローラと呼ばれるように、ほとんどの装置がここで制御される。

     スリミプラントは年々改良され、廃船になる数年前には、数億円を投じて改装され、ほとんど完全に 自動化された船があった。

    No.3
    [No.3: ft_image_17_16/image005.jpg]

    No.4
    [No.4: ft_image_17_16/image007.jpg]

    No.5
    [No.5: ft_image_17_16/image009.jpg]

    No.6
    [No.6: ft_image_17_16/image011.jpg]

     われわれは低緯度海域における漁獲になれている。低緯度海域では、多種類の魚が少量ずつ混ざって 漁獲されるのが特徴であり、漁獲物の処理はほとんど機械化されていなかった。しかし、ヨーロッパや北洋 を含む高緯度海域では、少数の魚種が多量漁獲される。また、棲む深度と地形によって分布する魚種が異なる。 深いところから網を揚げるのでゆっくり揚げると、ウキブクロの有無や体系によってコッドエンド内でも 漁獲は魚種ごとに分別される。したがって、北洋において冷凍魚の原料を漁獲する船尾式トロール船では、 すでに処理甲板の機械化は進んでいた。また、ヨーロッパ向けの冷凍魚を処理する北米や南米の加工場に おいても処理機械はすでに普及していた。したがって、スリミ工船のプラントに設置されている機械のうち、除鱗機、フィレーマシン等No.3から No.14までに写っている各処理機械の基本は、それらと大差ない。

        スリミ工船独特の処理機械はNo.15からNo.30までに示したものである。また、プラントの全容を示す 写真は撮れなかった。

    No.7
    [No.7: ft_image_17_16/image013.jpg]

    No.8
    [No.8: ft_image_17_16/image015.jpg

    除鱗機

    No.9
    [No.9: ft_image_17_16/image017.jpg]

    No.10
    [No.10: ft_image_17_16/image019.jpg]

    No.11
    [No.11: ft_image_17_16/image021.jpg]

    No.12
    [No.12: ft_image_17_16/image023.jpg]

    No.13
    [No.13: ft_image_17_16/image025.jpg]

    No.14
    [No.14: ft_image_17_16/image027.jpg]

    フィレーマシン

     これらはスリミプラント独特のものでない。

    No.15
    [No.15: ft_image_17_16/image029.jpg]




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