FishTech - Photographs of Fishing Techniques
漁業技術の画像集・FishTech


著作者/水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘
Compiled by Emeritus Prof. Hiroshi Maeda, Fisheries College, Shimonoseki, Japan

協力者/水産大学校助教授 深田耕一
in collaboration with Asst. Prof. Koichi Fukada, Fisheries College, Shimonoseki, Japan


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    第 5 部
    14 サウディアラビアの漁業 [ 1 ][ 2 ]



       これは、1974年11月から12月にかけて、水産高校設立に関する水産予備調査団員として、Saudi Arabiaに派遣 された際に撮影した写真を整理したものである。

     Saudi Arabiaは、一時期オイルダラーで資金が潤い、しかも種々の国の技術協力が集中したので、水産においても 種々の変化が起こったと考えられる。その反面、水産の概要―特に沿岸漁業―は変わりにくい要素がある。例えば、 紅海側では、南部の限られたところにしか大陸棚はなく、サンゴ礁が多いので、当時でも行われていた一本釣と 刺網以外の漁法が行われる可能性は低い。アラビア湾側は、当時から底曳網漁業を行っていた。しかし、閉鎖 された湾であり、そこには巨大な石油産業がある。沖合いは大型のタンカーが往来し、漁船の行動は束縛される。 したがって、当時から行われていた小型の底曳網漁業以外が発展できる可能性が低い。

     このような制約が多い地域における漁業が、25年を経過した現在ではどのように変化したかは、興味深い問題である。

     地名はArabia語をローマ字表示したもので、参考にした地図によって異なるが、タイムズ社の世界地図帳によった。

     写真は次のファイルに分けて入っている。
    1. 紅海側の漁業(JiddahよりYanbu’ al Bahrまで)
    2. 紅海側の漁業(Jizan)
    3. Arabia湾側の漁業
    4. 大型漁業
    5. 魚市場等
    付録  Saudi Arabiaの地図

    1. 紅海側の漁業(JiddahよりYanbu’ al Bahrまで)

     JiddahはMecca、Yanbu’ al Bahr はMedinaに近く、巡礼の季節には東南アジアやアフリカの諸国から、多数の 巡礼客がくる。したがって、漁法や魚の消費法も、その影響を受けている。また、巡礼シーズン中には食料の需要 が急増し、自然条件が許せば、多量の魚を漁獲する漁法が存在できる基盤がある。しかし、ここの主要漁法は、 サンゴ礁外縁に住む魚を対象とした一本釣と刺網である。

     この地区の漁業に大きな影響を及ぼしているのは次の2つのことである。その1つは、国民性である。砂漠の 遊牧民のように、苛酷な自然条件に耐えて、海上でも小舟で移動し、夜間は漁業をし、昼間は近くの陸上に設けた テントで休息する生活を半月近く続けられることである。しかし、独立の気質が強く、集団で操業しても、1人ずつ がそれぞれ各自の漁具を使って同じ場所で別個に操業しているに過ぎない。もう1つは魚の消費法である。鮮魚は 高温の油でフライにされる。したがって、このような期間氷蔵された魚でも利用できる。また、保蔵の手段のない ところに向けた乾物と塩蔵品に加工される。アフリカでは、魚はフライの他に燻製にされる。アフリカは紅海を 挟んだ対岸にあり、交易が盛んであるとともに、巡礼を通じて交流が深い。それにもかかわらず魚を燻製にする 習慣に関する報告はない。

     紅海側の漁業は、このような基盤の上に成り立っていることを念頭に置くと、当時の漁業を理解し易い。

     この地区では、Saudi Arabiaで稼動しているほとんどの型の漁船が見られるので、 Saudi Arabiaにおける 漁船の概要について記す。ここでは漁船は大きさにより次のように分けられる:

    Sambuk 全長15mから20m、幅5m以下、突出型船尾(pointed stern)または垂直型船尾(transom stern)、2枚 から3枚の帆を備えた大型船で、12人から16人が乗り組む。当時でも近くの国との間を往復する商船としてこの型の 船は見られたが、漁船には使われていなかった。

    Zerog 全長7mから15m、幅4m以下の船で、2枚の帆を備え、sambukと似ているが幅が狭く、突出型船尾のもが 多い。8人から10人が乗組む。

    Boat 全長4mから7m、幅2m以下、船尾は広い垂直型、1枚の帆か船外機を備え、4人か5人乗組む。

    Katira 全長5mから7m、幅1.5m以下の船で、新型のものは角型垂直船尾(square transom stern)で船外機を 備える。2人から3人が乗組む。

    Houri 全長3mから5m、幅1/2m以下のカヌー、で、帆と櫂を備え乗組員は1人である。

     丸木舟(dugout canoe)は見られない。

     操業形態はsambukかzerogが母船となり、数隻のhouriを搭載するか、曳航して漁場に向かい、主として夜間に一本 釣を行うか、刺網を夕暮れに設置し、夜明けに揚げる。漁獲物はヤシの葉を目か鰓に通して母船の氷蔵箱に蓄える。 昼間はサンゴ礁の外縁で仮泊するか、次の漁場に移動する。サンゴ礁が多く、夜間は危険で航海できないので、 移動は昼間に行う。1航海は2週間に及ぶ。

     単独操業はhouriかkatiraで行い、夕方にサンゴ礁外縁にでかけて投網か小型の刺網で小魚を獲り、舷外のカゴに 活かして、活餌として用いてサンゴ礁外縁で魚を釣り、夜明け後に陸岸に帰る。

    No.1
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    No.2
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    No.3
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    No.4
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    No.5
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    No.1−No.5  昼間にサンゴ礁外縁付近で仮泊するzerog  近くにいる小さな船はhouriである。乗組員はこの houriで近くの陸に上がり、テントで休息する。No.1の遠景には陸が見える。

    No.6
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    No.7
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    No.8
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    No.9
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    No.10
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    No.11
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    No.12
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    No.13
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    No.14
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    No.6  遠景はzerog、手前はkatira (Yanbu’ al Bahr)

    No.7  遠景はboat、手前はkatira
     海は浅いので、boatで運んできた漁獲物は、漁師が海に入って歩いて揚げる。

    No.8  仮泊中のboat (Jizan)  昼間はサンゴ礁の上で仮泊する。夜間にサンゴ礁外縁で魚を集めて釣るための 石油加圧ランプが見られる。

    No.9  Jiddahの北約100kmにある Ras Thualの船溜り  boat、katira、houriが見られる。一部boatはDieselの 船内据え付け機関を備える。

    No.10   船は柔らかい材木で作るので、5年位しかもたないが、干潮時には乾かし、copper paintを塗ったり、 内側に油を塗ったりして手入れをする。この油は、鉱物油・光明丹・及びサメ肝臓・その他の魚の廃棄物を水煮して 取った油を混ぜたものである。(Ras Thual)
    木製の箱は、角氷を入れてzerog等に搭載し、漁獲物を保蔵するためである。漁獲物をこの氷蔵箱で1航海(1・2週間) は保蔵できる。

    No.11−No.12  建造中のkatira
    外板は薄く、平張り(carvel planking)である。

    No.13  箱は漁獲物を保蔵するため  屋根の上には金網製のカゴが見られる。このようなカゴは、近隣諸国でも サンゴ礁内の磯魚を漁獲するために使われる。刺網の廃品で屋根をふく。

    No.14  箱は漁獲物保蔵用  漁獲物はこのようにヤシの葉を鰓に通して束ねられる。この束を単位として取引 される。船底を乾かしている。

    No.15
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    No.16
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    No.17
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    No.15−No.17  三重刺網を使う。この網には、ナイロン網地と合成浮子を使う。浮子縄と沈子縄をそのまま網地に 通した仕立と、縁縄に通しそれに浮子縄と沈子縄をかがる方式の仕立がある。

     網糸はかなり太い。これは細い糸では直射紫外線による劣化が早く、しかもサンゴ礁にかかって破れやすいため である。ナイロン網地でもサンゴ礁にかかると破れ、棉の網地よりも高価なために、ナイロン網地を好まない漁師 もいる。

     綿糸手編みの網地に、細枝に穴をあけた浮子、素焼きの沈子をヤシの繊維で作った縄に付けた刺網も見られた。

     中には対岸のSudanより買ってきたものもある。(紅海を挟む対岸との交流はsambukやzerogクラスの船で普通に 行われている。)

    No.18
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    No.18  一本釣の漁具
     道糸はかなり太く、釣針は1本、錘は小さい。サンゴ礁の斜面の深みにいる魚を釣る場合には、早く沈めるために 石を結び、所定の深さに達すると糸を急に引いて石を落とす方法をとる。

    2.紅海側の漁業(Jizan)

     JizanはJiddahの南約600km、Yemen国境より北約100kmにある。その漁業はAbhaを含む孤立した地域の消費を対象 とする。服装・家屋の構造・習慣等は他の地域におけるそれらと異なる。Yemenからの出稼ぎ人が多い。漁師は主 としてSaudi人かYemen人かについて、説明を受けた人によって異なる。

     漁船は、大型のsambukやzerogは少なく、小型のkatiraやhouriを主体とする。

     カツオ・マグロ類の大型表層魚類とサワラ・オニカマスのような中型表層魚類は一本釣か曳縄による。刺網漁師は、 サンゴ礁を基地とし、昼間はそこで休養と整備に当たり、夕暮れに投網して、夜間は放置し、夜明け後に揚網する 型の操業をする。

     刺網は主要漁法の1つであり、Jiddah以北では三重刺網も用いられた。しかし、この地区では三重刺網はほとんど 用いられない。これは、Jiddah以北では漁獲物の主体が磯魚類であったが、ここでは表層魚類であることと関係が あると考えられる。

    No.1
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    No.2
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    No.3
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    No.4
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    No.5
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    No.6
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    No.7
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    No.8
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    No.9
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    No.10
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    No.11
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    No.1  建造中のkatira  Jizanでは波打ち際で多数の漁船が建造中であった。肋材は密で、自然に曲がった材料 を使う。外板は薄く、平張り(carvel planking)である。

    No.2−No.4  Jiddah以北と船の構成は異なり、ここではkatiraとhouriが多い。先に記したように、これは操業 形態が異なるためである(No.11とNo.12を参照)。ほとんどの船は船外機を備える。これは、政府が援助・啓蒙 した結果である。しかし、帆走設備を備えた船が多い。

     サンゴ礁の上は浅く、その外縁で急に落ち込むことが分かる。

    No.6  舟にあるカゴは餌を生かしておくため

    No.7はサンゴ礁外縁近くに作られた網干台である。

    No.8−No.11  建干網  堅い砂泥底の広い干潟に、全長1kmに近い建干網が2統見られた。これは、刺網を繋ぎ 合わせて作ってある。この網は陸の方が開いたU字型に設置され、干潮時だったので、魚が入り込めるように網裾は 上げてあった。このような固定設備は紅海側の他の地域では見られなかった。

     網は個人のものか、集団のものか、持ち寄りであれば、漁獲物の配分法等は不明である。

    No.11
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    No.12
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    No.13
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    No.14
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    No.15
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    No.16
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    No.17
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    No.18
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    No.19
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    No.20
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    No.21
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    No.22
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    No.23
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    No.24
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    No.25
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    No.26
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    No.27
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    No.12−No.13  この地域の漁師はサンゴ礁を基地として集団で操業する。昼間はそこで休養をとり、漁具整備等 当たる。

     集団操業といっても、分業あるいは集団として1つの大型の漁具を扱うわけでなく、リーダー的人物がいて、 その指示の下で統一的な操業をするわけでもない。同じような場所で、1人ずつの漁師が刺網漁業や一本釣を行って いるに過ぎない。

    No.14−No.15  サンゴ礁があって危険なので、移動は昼間に限られる。船外機を備えているが、移動は主に帆走 による。帆走には三角帆(Lateen sail)を用いる.

    No.16  Katiraは船外機を備えているが、サンゴ礁の外で航海するための帆を備えている。

    No.17  刺網を搭載したkatira

    No.18  投網  一本釣用の餌を獲るために用いられる。

    No.19−No.22  刺網は主要漁法の1つである。その構造は変化に富み、比較的細い網糸で作ったものから、 太い網糸で作ったものまである。いずれも、ナイロンの網地と、種々の型の合成浮子を用いる。浮子縄と沈子縄を 直接網地に通した仕立である。

    No.23−No.24  網針 手作りで独特の型をしている。

    No.25−No.27  刺網の浮子側の構造  浮子縄直接網地に通す。種々の型の浮子が用いられる。しかし、他の 地方で見られたような木製の浮子は見られない。

    No.28   沈子  サンゴ礁のかけらからの手作りである。沈子縄から下げられる。しかし、沈子がサンゴ礁に かかったときに切れ易い構造になっていない。


    3.Arabia湾側の漁業

     紅海側には、1人で扱える刺網と一本釣が主な漁法であった。しかし、Arabia湾側にはこのような型の漁法も あるが、フロリダ型ダブルリガーを用いたエビ漁業と複数の人が乗組む底曳網漁業のあることが、大きな違いである。

     紅海側における魚の需要は季節によって大きく変動し、巡礼のために季節的に急増する。しかし、Arabia側には 巨大な石油産業があり、したがって、恒常的な需要が大きい。また、漁獲物の一部は首都のRiyadh までトラックで陸送される。このように、1つの国でも紅海側とArabia湾側では漁業の背景が大きく異なる。

     この地区で見られたフロリダ型ダブルリガーによるエビ漁業は次の「4.大型漁業」で記す。

     底曳網漁業は独特の型の船で行われる。(この船はdhowと呼ばれるが、先の漁船の分類にはdhownの定義はなく、 近隣諸国ではdhowの定義はかなり変化に富む)。

     この船は、全長約30フィート、2〜7人乗り、幅が広く乾舷が高く、デッキ張りで、Diesel機関(50馬力)を 備える。フロリダ型のダブルリガーをまねた網とオッターボードを用いて、主にエビを狙い、混獲物ももって帰る。 漁獲物は国内消費向けである。

    No.1
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    No.2
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    No.3
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    No.4
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    No.5
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    No.6
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    No.7
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    No.8
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    No.9
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    No.10
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    No.11
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    No.1−No.10  底曳網漁業で使われる船 
     船首が立ちあがっている構造はArabia湾口のOman等でも見られ、この地方におけるこの大きさの船の特徴である。 船首近くにある箱は漁獲物を氷蔵するためである。網(空色)は比較的小さい。

    No.2  この船には操舵室がある。網は小さいが、フロリダ型のエビトロール網の特徴を備える。すなわち、 ヘッドロープに付いた浮子は小さく少ない。グランドロープは細い。しかし、チクラーチェーンを備える。フロリダ 型ダブルリガーの網のもう1つの特徴である1枚の網地を裁断して作った(網糸の太さと目合いは部分によって 違わない)構造になっているかどうか確認できなかった。

    No.3  オッターボードはフロリダ型エビトロールと似ている。

    No.4−No.10  1隻ずつ詳細は異なるが、基本的な構造はよく似ている。船尾にオッターボードを吊っているのが 分かる。

    No.11 金網で作ったカゴで底魚類を漁獲する。このようなカゴは、この地域には広く見られる。直径0.5〜1m、 高さ15〜20cm、目合い約2cmの金網製で底魚類をとる。


    4.大型漁業

       実際に稼動しているかどうかを問題にしなければ、Saudi Fishing CompanyとKhalifa Algosaibi Fisheriesの 2社をあげることができる。しかし、両社とも、冷凍関係の施設は輸入した食糧の保蔵用に稼動していたが、全く またはほとんど漁業活動をしていなかったので、簡単な記載にとどめる。

     Saudi Fishing Companyは1955年にJiddahに設立された。ほぼ同じ頃に缶詰・フィシミール及び冷凍プラントを 購入し、設備の整った工作所を建設した。1958年には、冷凍プラント・冷蔵庫・製氷工場を建設したが、缶詰機械 とフィシミールプラントは倉庫にしまったままになっていた。Commercial baseの漁業一度も行っていない。

     Khalifa Algosaibi Fisheriesは細々ながら実際に稼動していた唯一の会社である。Arabia湾岸に1961年に設立 された。フロリダ型エビダブルリガーによってエビを漁獲し、国際規格の冷凍パックにして輸出する。

     Manifaに日産60トンの製氷プラントを作り、そこを基地とする。加工プラントはDanmanの近くにある。

    Saudi Fishing Company

    No.1
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    No.2
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    No.3
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    No.4
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    No.5
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    No.6
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    No.7
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    No.1−No.2  当時、資産を管理していたKara Co.の事務所

    No.3−No.7 放置されたままになっている設備

    Khalifa Algosaibi Fisheries

    No.8
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    No.9
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    No.10
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    No.11
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    No.12
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    No.13
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    No.8 事務所

    No.9 同社の製品

    No.10−No.11 Manifaにある基地

    No.12−No.13 使用している漁船は輸入した典型的なフロリダ型エビダブルリガーである。16隻をアメリカから 輸入したが、漁獲が少ないので、2隻しか稼動していなかった。

     この船型の船は、本来は全員で作業に当たり、4・5名で扱えるようにつくられている。しかし、ここではこの特徴 は生かされていなかった。すなわち、Saudi Aabia人は船長と副船長の2名だけで、その他にIranとYemenからの 出稼ぎの機関士・炊事係・ウインチ係2名・甲板員3名以上(実際には6名)、計16名が乗っていた。これは、技術的 以外の要因による。



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