海洋総合辞典 Comprehensive Ocean Dictionary, 特選フォト・ギャラリーPhoto Gallery, 貝合わせ・貝覆shells coupling, ホテル・ロイトン札幌, 北海道Hokkaido

一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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日本の伝統的遊び道具 「貝合わせ」 [札幌]

画像は、札幌市内のホテル・ロイトン札幌のロビーで展示されていた貝合わせを切り撮ったものである。陳列品 (画像上) には、 札幌市在住の繁とし子氏のコレクション・貝会わせ(氏の事務所:アートシゲ・札幌市豊平区・011-583-5778)、と案内されていた。

貝合わせとは何か。講談社の「大事典 desk(Encyclopedia of Contemporary Knowledge)」(昭和58年5月刊)によれば、次のように記される。

    かいあわせ・貝合
    競技法: 美しい貝や珍しい貝類を、左右の組に分かれて出し合い、優劣をあらそった遊び。その時、その貝にちなんだ和歌などが詠まれた。
    沿革: 平安時代から、貴族の間で行われた。鎌倉時代になると、これが貝の両片を合わせとる貝覆(かいおおい)となり、さらに和歌の方面 からは、歌貝から歌がるたができた。

電子百科事典ウィキペディアによると、貝合わせとは平安時代から伝わる遊びである。本来の貝合わせとは、合わせ物としての貝殻 (二枚貝) の色合い・形の美しさや珍しさを競ったり、その貝を題材にして詠んだ歌の優劣を競い合ったりする、貴族たちの遊びであった。 他方で、「神経衰弱」というゲームに似たゲーム物としての貝合わせは「貝覆い」(かいおおい)と呼ばれていたが、貝の両片を 合わせることから後に混同されて、同じく貝合わせと呼ばれるようになったといわれる。

また、ウイキペディアによると、「貝覆い」の貝殻には、伊勢の国二見産のハマグリが用いられた。そして、殻の裏面に紙を貼り、 源氏などの絵を描き、金箔などで極彩色に仕上げ、左右一対の貝殻には同じ絵が描かれた。360個の地貝を立てて、 出役が出貝桶から出貝1個を取り出し中央に伏せる。 周囲に居並んだ大勢の姫君たちが、360個の地貝の中に、斑紋・形状などにおいて出貝と同じものを見定め、一対のハマグリ貝として両片を 合わせようと試みる。対となったハマグリ貝を最も多く取ったものが勝ちとなる。

更に、ウイキペディアにおいて江戸時代の貝合わせの遊びが紹介されている。貝殻の内側に蒔絵 (まきえ)や金箔で 装飾されたハマグリを使用する。 ハマグリなどの二枚貝は対となる殻としかぴったりと組み合わせできないという自然の摂理から、それら両片の貝殻をたくさん裏返した中から それぞれのペアを選ぶようにして遊んだ。対になる殻には同じく対になる絵が描かれた。美しく装飾された合貝を収めた貝桶は 八角形をし美しく装飾されている。貝合わせ道具は、大名家の姫君の婚礼のために取り揃えられた調度品の中でも最重要の 意味をもつものであった。
[2014.7.17 札幌/ホテル・ロイトン札幌][拡大画像: x26100.jpg][拡大画像: x26101.jpg]

* 蒔絵 (まきえ): 金粉・銀粉・擂った貝殻の粉(すり貝)などをもって、漆器 (しっき) の表面に描かれた絵模様。


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[寸言] 福岡県の大牟田は日本の「かるた」発祥の地とされる。かるたは、平安時代に始まった貝殻を使っての遊び「貝合わせ」に、 16世紀末の南蛮貿易で伝わったカード遊びが融合した、日本独特の遊びである。16世紀末に出来た日本最古のかるた「天正カルタ」に、 貞次という大牟田出身の職人が作ったことを示す記述があるという。以上、2014年 (平成26年) 7月25日付け読売新聞より。
福岡県大牟田市立「三池カルタ・歴史資料館」は、約1万点の収蔵品を有し、国内唯一の公立かるた専門館である。


参考画像: 「貝合わせ」を収納した八角形の貝桶 [千葉県・白浜海洋美術館、2011.11.12][拡大画像: x26121.jpg]


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