一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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行徳における古式製塩(江戸時代/模型)

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江戸時代、現在の千葉・行徳では製塩が営まれ、重要な地場産業として発展して行った。 千葉県市川市立市川歴史博物館では、かつて行徳の湾岸沿いで行なわれた古式製塩法についての解説と数多くの 製塩用具の展示がなされている。 画像は、塩水砂を入れた笊から塩を洗い流して得た濃い塩水を土釜に入れて煮詰めるという作業を再現した 模型である。パネル展示では概略次のように製塩工程が解説される。
キャプション=画像1: 笊取法 (ざるとりほう)、画像2: 塩焼き (しおやき)。

① 堤を作る: 行徳では、海と塩田 (塩浜) との境に堤が築かれる。その堤の各所から 海水が塩田に導かれる。入浜法(いりはまほう)といわれる。入浜法では堤が生命であったが、時に堤は 台風や高波で壊れるため、塩田の人びとは風水害と戦いながら堤の維持に努力した。

海水を引き込み、塩田に塩水を浸み込ませる。砂に塩分をさらに付着させるため、砂を塩田にまくとともに、 砂を平らに広げる。また、玄ばに入れた海水をカイキで巻きちらし、塩の結晶化を促した。

② 砂寄せ: 初日の二番目の仕事が砂寄せである。砂についた塩分の結晶が、夜になって露や霜に濡れて溶けてしまう のを防ぐために、寄板でこの砂寄せを行う。

③ 寄砂干し (よせずなほし): 2日目の作業として、前日に寄板で集めた砂を再度干板で塩田にまき散らす。 この日も払い竹 (はらいだけ) を使って、ちらした砂をより払い散らし砂を広げる。 これによって、日光と風の通りをよくし、塩分の結晶化をさらに高める。

④ 塩水取り: 行徳塩業の特徴は笊取法 (ざるとりほう) という塩水取りの作業にある。塩場桶 (しょばおけ) の の上に塩場笊 (しょばざる) を置いて、塩のついた砂を塩場笊に盛る。手で笊の中の砂に凹形をつけて、ここへ スマシ (澄まし) を使って塩水を数回注ぐ。すると、砂についた塩分が桶の中へ洗い流されてより濃い塩水が得られる。 塩水は塩場から釜屋へ運び込まれる。

⑤ 塩焼き: 釜屋の土船 (どふね) に貯えられた濃い塩水は土釜に入れられて煮詰められる (塩焼きという)。 水分が蒸発させられ塩が得られる。

多くは塩問屋を通じて江戸へ送られるとともに、江戸川・利根川の舟運 (しゅううん) を利用して、上州、信州、野州などへも 積み出された。小商人も江戸、近郷へ塩を売り歩いた。

[画像撮影: 2017.5.24 千葉県市川市立市川歴史博物館(Municipal Museum of History in Ichikawa)にて][拡大画像: x27811.jpg][拡大画像: x27812.jpg]


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