一枚の特選フォト「海 & 船」
船体中央部で輪切りにされた実物大の小型弁財船
[神奈川大学日本常民文化研究所]
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神奈川大学日本常民文化研究所(横浜市神奈川区)において「和船の構造と技術」と題する展覧会が2017年1月30日~3月17日まで開催された。 弁財船 (べざいせん) は江戸時代から明治時代にかけて荷船として活躍していた。画像1&2は、江戸時代の設計図を基に、帆柱周辺部を 中心にして実物大で復元された弁財船の一部である(船体中央部あたりで輪切りにされている)。 弁財船としては小型の100石積 (こくづ) み (15トン積み) の大きさであり、全長は17メートルほどある。製作は近藤友一郎氏。 実物大の船体の展示であるが故に、部材の接合方法、キール (航) の構造、釘の使い方、外板の張り方など、卓上鑑賞型模型をあたかも 拡大鏡で凝視するかのように、船体構造をしっかりと見てとれる。 [画像撮影: 2017.3.17 神奈川大学日本常民文化研究所にて]
1. [拡大画像: x27583.jpg] |
[拡大画像: x27586.jpg] [拡大画像: x27587.jpg] |
船底部では、船首尾線に沿って4本の角材を束ねてキール (竜骨) とする(この船底部は「航」と呼ばれる)。
その航の両サイドに板材が斜めに立てかけられる。構造上この板材は「根棚」と呼ばれる。 更に、根棚の両端から厚い板材を張り合わせ (接合させ)、中棚というやや斜めの船底構造を造る。最後にその 中棚の上部に厚い舷側外板を垂直に立ち上げ、上棚という船側構造を造る。 要所要所で中棚や上棚をしっかりと固定するために、左右両舷に渡した梁を造作する。 キールを敷き、そこから両舷に向けて肋骨材を立ち上げ船の骨組・骨格を造るという西欧型構造船とは全く異なる。 |