一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋


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漁撈具:ガラス箱と突き刺し具 [埼玉県立歴史と民俗博物館]

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埼玉県立歴史と民俗博物館 (さいたま市大宮区) の「民俗展示室」では、埼玉県における水にまつわる民俗をテーマに、 河川や湖沼・溜池などにおける漁撈、水にまつわる行事や祭りの資料をはじめ、埼玉県の人々の水との関わり 合いなどについて紹介している。

「海なし県」である埼玉県での漁 (すなどり) の舞台は、河川、湖沼、用排水路、溜池、水田といった水辺が中心である。 漁撈のみで生計を立てる専業漁師 (full-time fishermen) はかなり限られてきた。日々の暮らしの合間に漁撈を行ない、ささやかな現金収入を得るか、 あるいは自家消費のためにする人々が多かった。

民俗展示室の一コーナーでは、埼玉に伝わる漁(すなどり)の用具や知恵などがを紹介される。例えば、眼鏡箱(ガラス箱)の実物が展示される。 所蔵は同博物館で、採集地は埼玉県の小川町である。眼鏡箱は水中に生息する魚などを探すための道具で、ヤスなどの突き具と一緒に 使用されることが多い。

箱眼鏡についての説明書きによれば、「ヤス突きの時に、水中の魚を見るために使うのがガラス箱です。特に、水の 流れが速いところや水中の様子が観察しづらい場所で使われました。上流の岩場では、小型で取手 (とって) がついている台形のもの、 中流域・上流域では立方体のものが多く使用されました。ヤス突き以外にも、ヒッカケ釣りの時にも使われました」、と記される。


魚を突いて捕る漁法であるヤス突きは、漁撈対象にする魚によってヤスの先端の形状が異なる。 例えば、埼玉の丘陵地の溜池で用いられていた「ブチヤス」は、逃げやすいウナギを確実に捕らえることができるよう独特の形状をもつ。

1) 「ヤマメヤス」: ヤマメは体長30㎝ほどで、河川の上流域に棲息する。ヤマメを突くためのこのヤスは先端が細く作られている。 また、傷をつけて商品価値を落とさないように、カエシがついていない。先端の断面は丸型。所蔵は同博物館、採集地は荒川村(現秩父市)である。

2) 「ザコツキヤス (雑魚突きヤス)」: 雑魚 (ざこ) を突くためのヤス。最も広く使用された。 魚種によってヤスを使い分けることがある。例えば、コイなどの大型魚を捕る場合、穂の本数が少なくカエシがあるヤスを使用する。 ヤマメやカジカなどの小型魚を捕る場合には、穂の本数が多く、捕らえた魚がはずれにくい形であった。所蔵および採集地は同上。

3) 「カジカツキヤス (カジカ突きヤス)」: カジカを突くためのヤス。先端が短く厚く丈夫に作られている。 カジカの体長は15㎝ほどで、河川の上流域に棲息する。綺麗な水を好む。イワナやヤマメなどと生息域が 重なる。カジカは川底の石の間や下にいることが多いため、硬い石も突いてしまうこともあるので、ヤスの先端は曲がったり壊れないように 短く厚い形状をもつ。所蔵および採集地は同上。

[画像撮影: 2018.2.11 埼玉県立歴史と民俗博物館(Saitama Prefectural Museum of History and Folklore)/埼玉県さいたま市大宮区髙鼻町4-219/電話: 048-641-0890] [拡大画像: x28125.jpg][拡大画像: x28130.jpg]


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