一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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中米ニカラグアの「ペス・ディアブロ(pez diablo)」
というグロテスクな魚

画像は「ペス・ディアブロ」(スペイン語: pez diablo)という名前の魚である。見るからにグロテスクな干物姿にさせられている。 撮影日時は2008年9月である。場所は、中米ニカラグアの太平洋北西岸にある商港の町コリント近郊にある、汽水の入り江に面するシーフード・レストラン 「エル・プエンテ」(El Puente; スペイン語で「橋」の意味)である。 そこでの置物として陳列されていた。

「ペス(pez)」とはスペイン語で「魚(通常は、生きた魚)」を意味する。「ディアブロ(diablo)」は「悪魔、悪鬼; 怪物」などを意味する。 店主に何度もその魚の名前を尋ねたところ、「pez diablo」であると自信をもって繰り返し答えてくれた。 英語に直訳すれば「devil fish, devilfish」である。「デヴィル・フィッシュ」とは、「イトマキエイ、特にマンタ; 大エイ; アンコウ; タコ」などを指す。 だが、いずれにも該当しそうにない。 「pez diablo」は、果たして、「標準和名」のように「標準のスペイン語名」なのか。それともグロテスクな魚ゆえに一般名称として単に 悪魔のような魚と表現しているのか、ついぞ確かめそびれた。

    devilfish: n.(pl. -fish or -fishes)[魚][米国]イトマキエイ、[特に]マンタ(=sea bat)[米国南東の暖海産]; [暖海産の]大エイ(→ manta ray); [魚][英国]アンコウ(angler); 頭足動物、[特に]タコ(octopus).
    /[西語] manta: 西インド海産の巨大なエイの類 [参考]エイの仲間では最大。体は大きいが プランクトン・フィーダー(plankton feeder)である。海水を飲み込んで鰓(えら)でこしてプランクトンだけを摂餌する.

ところで、その後2009年6月になって、ニカラグアの全国日刊新聞「La Prensa」(2009年6月2日付け)において再び「pez diablo」という魚名に 接した。記事によれば、写真の魚は、ニカラグアの漁民には「pez diablo」と知られている生き物だという。体長は30㎝ほどである。 ニカラグア湖(現地名コシボルカ湖; ラ米ではチチカカ湖に次いで二番目に面積の広い湖)で捕獲されたという。ブラジルのアマゾン地方 原産といわれる。水生のエコシステムに害を与える魚と認識されている。体は硬い表皮で覆われる。同湖の鉛や水銀に汚染されてもいるので、 食用にはできない、という。

調べてみると、メキシコなどの河川・湖沼でエコシステムに深刻な害をもたらしていると騒がれ、「pez "diablo"」 と称されているプレコ(Pleco; 学名Hypostomus plecostromus; ナマズ目装甲ナマズ科ヒポストムス属) という魚がいる。その魚と 同じなのかどうかは、同定できない。他にも「pez diablo」(Ogcocephalus vespertilio (Linnaeus, 1758))と呼ばれる海水魚もいるには いる。だが、写真で見比べてみたものの、どうもレストランの置物の「pez diablo」とは異なるようだ。

いずれにせよ、この人間のような姿をするグロテスクな魚「pez diablo」の正体は不明なままである。人間のような様相をしているが、それがこの魚の 元々の自然な姿とは到底思えない。しかしながら、新聞写真に写る「pez diablo」を乾燥させ、無理やり小細工してそのグロテスクな形に 仕上げたものなのかどうかも不詳である。

[2019.11.16 記][拡大画像(x23281.jpg): 新聞記事拡大][拡大画像(x20138.jpg)] [z15429.jpg, z15430.jpg: その他の「pez diablo」画像]


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