一枚の特選フォト「海 & 船」
1950年代末期の潜水艇「イクティオネ II 号」(レプリカ) [スペイン・バルセロナ海洋博物館]
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画像1&2は、スペインの「バルセロナ海洋博物館」で屋外展示される潜水艇「イクティネオII号(Ictíneo II)」の実物大レプリカである。
建造者はスペインのナルシス・モントゥリオール(Monturiol)である。彼は、先ずその前型である先駆的潜水艇「イクティオネI号」を1859年に
建造した。
艇首先端には5つの厚いガラス製の覗き窓・観測窓をもち、両舷にもう1対の窓もつ。また、艇の背部中央に小さな円筒形の潜航 操縦塔らしきものがあるが、そこにも4つの窓をもつ。 耐水圧の観点からみる潜水艇の最適な形状は球体形である一方、流体力学や操舵性の観点からみる理想的な潜艇形状は魚体形状であった。 彼はこの二つの形状を組み合わせたという。内部の耐圧殻は楕円形とし、外殻は魚体形とした。 そして、その内殻と外殻の間のスペース には、バラストタンクなどを装備した。内部の耐圧殻の寸法は、全長4.0m、全高2.0m、全幅1.0m、そして外部の流線形状の船体殻は 、全長7.0m、全高2.5mであった。 彼は、建造以降の数年間に70回ほどの潜航実験を行い、制限深度の20メートルに到達し、多くの事実を得た(設計上の潜航可能予測深度 は50メートルであった)。艇の推進装置としては、人間の筋力によってクランクを回転させ、スクリュー・プロペラを駆動させるという ものであり、その最高速度はたがが知れたものであった。 彼は、その後、1864年に「イクティオネII号」を完成させ、バルセロナ港にて進水をみた。翌年には試験潜水試験を実施した。 さらに、1867年になってその動力化改造を完了するに至ったものの、水中における動力航行は実施せずに終わった。
[2018.09.30. バルセロナ海洋博物館][参照: オンライン・ウイキペディア/イクティオネ号] |