一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

Back to: Top Page | 特選フォト⌈海&船⌋目次 (Ocean and Ship Photos) | ご覧のページ


かすみがうら市歴史博物館の帆引き船展示施設

1

2

3


画像1&2は、「かすみがうら市歴史博物館」(茨城県)付属の「帆引き船展示施設」に展示される3艘の帆引き船である。

同施設の展示案内板(平成29年2月設置)によれば、霞ヶ浦の帆引き船漁は、1880年(明治13年)に、佐賀村(現在のかすみがうら市坂) 出身の折本良平氏によって発明された漁法である。

その漁法とは、「水押船(みよしぶね)」・「猪牙(ちょき)船」(船首に波切の「水押(みよし)」がついた船)と呼ばれる 船に帆を張って、引き網をこの船と帆に結び付けて引くというものである。 帆に受ける風を動力にして、船を横方向に動かすと同時に網を引いて、ワカサギやシラウオを獲った。霞ヶ浦における、まさに風物詩 となっていた。

船には杉の赤身材を使用し、地元の船大工によって造られた。帆引き舩(=船)に使用される船は、時代を経るごとに大型化して行った。 帆は一反の木綿布を3枚縫い合わせ、頑丈な細長い一枚布に仕上げられた。この一枚布をロープで絡めて繫ぎ合わせ、全体で15~ 20枚で船一艘分の帆となった。

帆引き船の網は、左右に広がる「袖網」と魚が入り込む「袋網」からなり、全長約20mである。適度な水圧がかかるように引くことで 網目が縮まる構造となっている。 帆引き船は最盛期には900艘もあったと言われる。霞ヶ浦湖上で多数みられた帆引き舩も、昭和42年のトロール漁開始から行なわれなく なった。現在、かすみがうら市では、昭和46年に観光帆引き船として復活した観光帆引き船を、7月~11月の日曜日に見ることができる。

同施設で保管される船は、実際に帆引き船として使用された「櫻井丸」、「霞ヶ浦丸」と、観光帆引き船と して使用された「大米屋丸(おおよねやまる)」である。

櫻井丸: 8.74m。昭和35年に登録され、帆引き船として活躍した。その後トロ―船として使用された。
霞ヶ浦丸: 11.73m。昭和39年に登録され、櫻井丸と同様の歴史を歩んだ。昭和46~平成16年まで観光帆引き船として活躍した。
大米屋丸: 10.6m。トロール船として使用された。帆引き船には使用されなかったが、観光帆引き船として使用された。

1. 大米屋丸。 [拡大画像: x28608.jpg][拡大画像: x28610.jpg: 展示案内板の図式と説明書き]
2. 霞ヶ浦丸と櫻井丸。 [拡大画像: x28609.jpg]
3. 同施設の観光案内板に掲示される満帆の帆引き船の写真である。 [拡大画像: x28614.jpg]

[撮影年月日: 2019年8月7日/茨城県かすみがうら市歴史博物館・帆引き船展示施設にて]

A
B
C
A. 帆引き船のメカニズム。 [拡大画像: x28611.jpg]
B. 帆引き船を操船するための様々な綱(ロープ)。 [拡大画像: x28612.jpg]
C. 同上。 [拡大画像: x28613.jpg]
画像A-C出典: 同施設の展示案内板。


Back to: Top Page | 特選フォト⌈海&船⌋目次 (Ocean and Ship Photos) | ご覧のページ