一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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山たて法/地先沖で船位を求める方法

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漁師は新しく開拓した沿岸沖の漁場の海上位置をどう記憶に留めておくか。現在では、GPS装置をもって簡単に自船の 位置(船位)をモニター上にプロッティングしたり、緯度・経度を度分秒の数値で表示することもできる。カーナビやスマホでデジタル 地図に現在位置を表示させるのと同じである。同じ漁場に再び辿り着きたい時は、そのデジタル海図とGPSシステムをもって容易に 可能となる。だが、そんな海図もGPSもない、一昔前のアナログの時代にあっては、この「山たて法」が実際的で身近な存在であった。 もっとも、視界が良好であることが条件となる。

絵図1、2を見ながら、その「山たて法」を学ぶことにしたい。図1には次のように記される。 「山たてによる漁場への到達: 船から見える陸地の景色から船の位置を知る方法は、古くから行なわれ、「山あて」とも呼ばれます。 沿岸の岬や建物と内陸の特徴ある山容や突起などの重なり具合を、同一地点で2方向か3方向に対して記憶しておき、これに独自の 名称を付けて利用します」。

図2の説明書きには、次のように記される。「下手(しもて)の潮根(ソーネ)の山たて: 船が下手の潮根の磯根上にいる場合、 西側には、岩和田(いわわだ)漁港東端の岬「ホーサキ」の上に背後の山列の突起「潮根のツブ」が見える。北側には、岩船南端の 「釣師の鼻」の右手に背後の「ナガモチ」と呼ぶ山が全部出た状態(シリキッタ)が見える。(夷隅郡の御宿町の沖での例)」

さて、山たて法を自分なりにひも解いて、次のように解釈し、理解した。船から左手陸岸に見える物標(A)「ホーサキ岬」と、その背後 にある物標(B)「潮根のツブ」という山の突起が互いに重なるように見通す。船はその延長線上の沖に位置することになる。 次に別方向にある右手陸岸に見える物標(C)「釣師の鼻」という陸地の出っ張りと、その背後にある物標(D)「ナガモチ」と呼ぶ山の ピークが、互いに重なるように見通す。自船はその延長線上の沖にも位置する。これら2線の交点が自船の現在地ということになる。

AとB、CとDが同時に重なり合うところに船を寄せることができた。ここが、新規に開拓した漁場の正確なポイントということになる。 海図上では、ABとCDの2本の延長線が交わる点が自船の位置=漁場の位置ということになる。AとB、CとDが重合しない場合は船を動かし ながら、2つの重合が同時に起こるポイントを探すことになる。AとB間やCとD間の距離を十分長く取れれば、それだけより正確な 位置を求めことができる。

[撮影年月日:2020年7月24日/撮影場所:千葉県立博物館]


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