一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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利根川水系の高瀬舟(大型模型+実物の舵・帆)

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画像1は千葉県立中央博物館大利根分館に展示される「利根川高瀬舟」(模型;縮尺1/5)である。舟の周りには実物の櫓、 せみ(各種の滑車)、ロープ、錨、舵、舵柄、帆、帆桁、ハサミ、メンヅキ(船底の淦汲み用具)、船箪笥の他、高瀬舟の船体部位名称図・ 構造図、「夫婦船頭」と題する高瀬舟の写真などが陳列される。

「高瀬船模型(実物の1/5大)」と題するキャプションには次のように記される(原文のまま)

    「一般に高瀬船は、船首と船尾が高く、平底で軽快な小型の船をいいます。利根川水系で活躍した高瀬船は、他地方のものと 違って大型で、この模型のように約600俵もの米俵を積むことができるものが数多くありました。
    船の内部には、日常の生活ができるよう、セイジと呼ばれる部屋が設けられており、4人ほどがのりこんでいました」

また、「利根川高瀬舟」のキャプションには次のように記される(原文のまま)

    「下総地方の村々や、仙台藩などの東北諸藩からの年貢米を中心に、醤油や酒、たばこなどの特産物を江戸へ運びました。 利根川をさかのぼった船は、関宿から江戸川を通って江戸へはいりましたが、鉄道などの陸上交通の発達とともに、昭和時代初期 にはその姿を消していきました」

また、「栄える利根川」と題するキャプションには次のように記される(原文のまま)。

    「利根川が太平洋にそそぐようになると、江戸から関東各地へ網の目のように水路がひらけ、川面には数百隻もの高瀬船や (ひらた)船などが行きかい流域には数多くの河岸が栄えました。
    川は、さまざまな物資や人といっしょに、目に見えない文化を運ぶ大切な交通路として多彩な歴史をつくりあげてきました」


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[参考]
* 「せみ」とは、輸送荷物の積み降ろしや、高瀬船の帆や帆柱の上げ下げなどの時に使われた滑車のことを言う。

* 「帆桁」とは、帆を吊り下げ展帆するための部材。帆の上端を帆桁に括り付けた後、それらを帆柱に吊り上げてその上部に横方向に据える。

* 「ハサミ」とは、「帆柱の上げ下ろし中に帆柱が倒れないようにはさむ部材。中央部のツツと船尾に近いタテモノの間に左右2枚ついている」 と記される。

* 「メンヅキ」とは船底に溜まった水を汲み出すのに使用される船具。そのキャプションには、「10年たつと船には水が入ってくるようになる。 浸水をアカと言い、高瀬船は船体中央部に溜まるようになっている。メンヅキはちりとり形のアカ汲みである」と記される。

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5.各種滑車/6.メンヅキ(淦汲み、ベイル)


[撮影年月日:2019.8.8/撮影場所: 千葉県立中央博物館大利根分館]
1. 高瀬舟とその艤装・装備品 [拡大画像: x28952.jpg]
2. 高瀬舟の帆(実物) [拡大画像: x28955.jpg]
3. 高瀬舟の舵(実物) [拡大画像: x28956.jpg]


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