ニカラグア運河・オヤテ川踏査
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オヤテ川は、北東(右上)から南西(左下)方向へとほぼ破線(緑色)に沿って流れ下り、支流のエル・カカオ川(El Cacao)と合流し、 エル・オヤテ村(El Oyate)を経て、ニカラグア湖(Lago de Nicaragua)へと注ぎ込む。 他方、大西洋(カリブ海)へと流れ下るラマ川(Rama)は図の右上に位置するエル・コラル村(El Coral)の南側(下側)を流れているが、 オヤテ川とラマ川は交わることはない。図の右上をよく見ると、両河川は南北方向に並行してすれ違っているのが分かる。 そのすれ違う辺りがちょうど分水嶺になっていて、ニカラグア運河の有望候補ルートに選定されている「No.1、No.2、No.3」 (注*) のいずれもが共通して通過することになるのが、海抜60-70mの起伏の緩やかなこの分水嶺山系付近である。因みに ニカラグア湖の湖水面は海抜32mほどである。[拡大画像(x23145.jpg)] & Photoshop(x23145.psd)] 注*: ニカラグア政府・大運河検討作業委員会公表(2006年8月)の「ニカラグア両洋間大運河計画書」 Gobierno de Nicaragua, Comisión de Trabajo Gran Canal, "Gran Canal Interoceánico por Nicaragua (GCIN): Perfil del Proyecto", Agosto de 2006.
2. 踏査者:中内清文、木島久恵
3.踏査の行程:
18:00頃 チョンタレス県フイガルパ(Juigalpa, Dept. de Chontales)到着 泊。 8月30日(日)
09:00 アコヤパ-サンカルロス間を結ぶ国道とオヤテ川との交点に架かるオヤテ橋付近のオヤテ川視察。 09:40 国道をアコヤパ方面へ数km戻り、エル・サポーテ(El Zapote)に通じる村道に入り、パタコン平原(Llano El Pataco'n)を経て、リオ・デ・アグア川(Río de Agua)に架かる木橋に至る。アグア川視察。 10:00 エル・サポーテ村にてガイド役のカウボーイと合流。ガイドを伴って馬にて最も近傍のオヤテ川岸を目指す。 11:00~14:00 オヤテ川岸からラス・マリアス山(Loma Las Marias)の麓を経て、エル・カカオ川を徒渉し、オヤテ川とエル・ カカオ川との合流点に至る(昼食)。さらに上流にある高みからラス・メサス山、ラス・プエルタス山などを遠望する。 さらに上流を目指してこれらの山々に接近し、オヤテ川にかかる自然の堰(せき)に至る。 18:00 エル・サポーテ村に戻る。 4.踏査の目的
エル・オヤテ村およびエル・サポーテ村近傍のオヤテ川の自然状況、オヤテ川中流域の地形などを観察すること。
大西洋・カリブ海に注ぎ込むラマ川とニカラグア湖に注ぎ込むオヤテ川との間に横たわる分水嶺山系区間に接近し、
その地形を視認することを主目的とする。
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2. オヤテ川にかかる橋。橋下での川幅は30m程である。 [拡大画像(x23197.jpg)](photographed by H. Kijima)
3. 5-11月の雨期において時に起こる集中豪雨は凄まじい。豪雨によってこのような大木が根こそぎ倒され、濁流に乗って
流れて来る。根っ子の水没状況から見て水嵩は1mほどである。1週間前に比べるとわずかに水嵩が増えている状況にある。
[拡大画像(x23198.jpg)] 5. 橋のすぐ上流川岸に民家がある。最近の集中豪雨時には床下浸水をした。民家の立つ位置からして、現在の 水量よりも少なくとも2m以上水嵩が増加したと推測される。川岸には生活の足として、あるいは緊急豪雨災害などに備えて、くり舟 (丸木舟)が繋がれている。このようなくり舟あるいは平底の川舟風景は地方のいたるところで見かける。 [拡大画像(x23200.jpg)] 5.2 アニマス山(Cerro Ánimas)
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2. 国道から、エル・サポーテ村へ通じる村道に1kmほど入ったところにある平原から見たアニマス山(標高201m)である。 周囲は平らな放牧地ばかりである。ここから2kmほど進むとパタコン平原(Llano Patacón)に至る。 [拡大画像(x23202.jpg)] [参考]スペイン語で高くそびえる山は「montaña」である。山が連なったりすると「montañas」(複数形)、あるいは別の 単語「sierra」(山脈、連山)となる。「cerro」 とは、montañaよりずっと低い山のイメージである。「loma」はまさに丘、丘陵という意味で、「colina」と同義である。 5.3 オヤテ川支流のリオ・デ・アグア川にかかる橋(Puente Río de Agua)付近 1 2 3 4 5
2. 木造の小橋。橋脚はコンクリート製である。 [拡大画像(x23204.jpg)](photographed by H. Kijima) 3. 同上。 [拡大画像(x23206.jpg)] 4. 上流側を見る。 [拡大画像(x23207.jpg)] 5. 同上。 [拡大画像(x23205.jpg)] 5.4 エル・サポーテ村近傍のオヤテ川(Rio Oyate) 1 2 3
2. ごくわずかに上流の地点で撮影したもの。 [拡大画像(x23209.jpg)](Photographed by H. Kijima) 3. さらに数百メートル上流の地点。1週間前では川底が半分くらい露出していたが、今回は水嵩が倍化している。 この水嵩では馬で渡渉するのはほぼ不可能となろう。 [拡大画像(x23210.jpg)] 5.5 ラス・マリアス山(Loma Las Marias) 1 2
2. ラス・マリアス山麓の西側を行く。2kmほど先にある、エル・カカオ川の渡渉可能地点に向かっているところ。 [拡大画像(x23212.jpg)] 5.6 ラス・マリアス山(Loma Las Marias)とカカオ川の渡渉可能地点との間の風景 1 2 3
2. 同上。 [拡大画像(x23214.jpg)] 3. 点在する丘の間から垣間見える、目的地のラス・メサス山(Loma Las Mesas)、ラス・プエルタス山(Loma Las Puertas) の山々を遠望する。標高はいずれも120mほどである。今回の踏査の目的は、これらの山頂から、ニカラグア湖とカリブ海 との間にある分水嶺山系の地形などを遠望することである。 [拡大画像(x23215.jpg)] 5.7 エル・カカオ川の渡渉地点 1 2 3
2. この渡渉地点では岩がごろごろして流れは速い。豪雨で水嵩が増せば、周囲の平坦な放牧地に川水があちらこちらで 溢れ出て行くことになろう。 [拡大画像(x23217.jpg)](Photographed by H. Kijima) 3. 上流側を見る。 [拡大画像(x23216.jpg)](Photographed by H. Kijima) 5.8 オヤテ川とエル・カカオ川との合流点付近 1 2 3 4
2. オヤテ川の下流側を見る。 [拡大画像(x23222.jpg)] 3. 両河川の合流点のすぐ近傍において、樹幹周囲1mくらいある大木がオヤテ川岸に打ち上げられている。 [拡大画像(x23220.jpg)](Photographed by H. Kijima) 4. 両河川の合流地点。 [拡大画像(x23221.jpg)](Photographed by H. Kijima) & [拡大画像(x23224.jpg)] 5.9 分水嶺山系区域の遠望 1 2 3 4
2. 川中に自然の堰か何かで落差があるのが見える。 [拡大画像(x23226.jpg)] 3&4. 画像1.に見るオヤテ川筋から60~90度右手にある山系を見る。オヤテ川源流域・分水嶺山系の一部を遠望している。 画像3.の左端に写る遠方の山が画像では一番高い。 [拡大画像(x23227.jpg)][拡大画像(x23228.jpg)](All photos No.1-4 taken by H. Kijima) 5.10 自然の堰 1 2
2. 下流側を見る。岩でごろごろしている。 [拡大画像(x23230.jpg)]
7.参考文献 ・ ニカラグア政府・大運河検討作業委員会発行(2006年8月)の「ニカラグア・両洋間大運河計画書」 Gobierno de Nicaragua, Comisión de Trabajo Gran Canal, "Gran Canal Interoceánico por Nicaragua (GCIN): Perfil del Proyecto", Agosto de 2006. |