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ニカラグア大運河計画概要書(GCIN)

第3章 運河計画の技術&工学
[under construction]

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A 総 論
3.01 太平洋と大西洋とを結ぶ大洋間運河を建設する上で、ニカラグアは、地形学的および地質学的に見て、また水に関しても、 その実現可能性(viabilidad)を引き出す有利な諸条件を併せもつ。その地形学的条件からして、豊富な流水量をもつ河川を 利用してダムあるいは貯水地(embalses)を容易に建設することができよう。そのダム・貯水池は、運河のオペレーションを行う 上で必要とされる水を貯留する(almanecer)ためのものである。毎年1,800~4,500mmの変動幅をもつ降雨によって水が 補給されることになる。また、その地形学的条件からして、まっすぐで長い区間をもつ運河や、幅の広いカーブをもつ運河を容易に建設 することができる。それは操船性(maniobrabilidad)を保証することになる。

さらに、船渠や待機用入り江(bahías de espera)の建設は、船舶通航上の混雑を回避し、その安全を高めることになろう。 提案されている運河ルートにおける地質や大西洋・太平洋海岸地方での低地における地質から すれば、その土砂の移動(浚渫や埋め立て relleno)を容易にするであろう。推奨される運河ルートの両洋間距離は直線にすれば 250kmであるが、そのルートの描線は直線的ではなく、その距離は286kmになる。

そのルート上にはニカラグア湖がはさみ込まれることになり、湖上距離は80kmである。ニカラグア湖は、平均海水基準面からの 平均高度が32mある (una altura promedio de 32 m sobre el nivel medio del mar)(snmm; s.n.m.m.)。運河との関連において その他の重要なことは、推奨される運河ルートは人口密度の 低い地域を通過することである。また、当該ルート上の地域がもつ自然環境として、無差別的な森林伐採(tala)によって完全なまで に搊なわれている状況にあることである。技術的観点からすれば、運河建設の工学系技術とともに、前述のすべてのことが 合理的な投資コストに見合う運河建設の実現可能性につながろう。



B 運河計画の地理的位置
3.02 運河調査対象地域: 太平洋と大西洋にはさまれたニカラグア南部地域および南東地域にある、エスコンディード川 (Río Escondido) およびニカラグア湖流域、およびリーバス地峡(el istmo de Rivas)の南部域。大西洋南部自治区 (la Región Autónoma del Atlántico Sur)およびチョンタレス県、リオ・サンファン県、およびリーバス県に及ぶ。



C 運河対象地域の地形学的および地質学的特性
3.03 ニカラグア南部地域*南東地域は明確に区分される3つの区域、すなわち「太平洋区《、「中央区《、「大西洋区《からなる。 太平洋区(または「セクションA《)は、幅にして約20㎞であり、全ての運河ルートが共通して通過する区域である。当該セクションA は、ニカラグア湖に注ぎ込むラス・ラハス(río Las Lajas)の河口から、太平洋に注ぎ込むグランデ川(またはブリット川)(río Grande o río Brito)の河口まで広がるリーバス地峡における一地域である。これら両河川の流域の谷筋を奥にたどると、 最大標高47mをもつ稜線があり、両流域の分水嶺をなしている。そして、この分水嶺は運河の開削のためには切削(corte)される ことになる。

3.04 「セクションB《は、ラス・ラハス川河口からオメテペ島(la isla de Ometepe)の南を通って、ニカラグア湖に注ぎ込むオヤテ川 (río Oyate)の河口にいたる。その距離は約80kmである。

3.05 大西洋区(または「セクションC《)には、ニカラグア湖に注ぎ込むオヤテ川河口から大西洋までの間にいくつかの運河ルートが ある。大西洋岸南方にあるサン・ファン川(río San Juan)の河口から、その北方にあるエル・ブルッフ(El Bluff)の北5kmにある ケイマン・ロック(Cayman Rock)までの間には、ニカラグア湖から大西洋へ向かういくつかの運河ルートの出口が存在する。 その地形は嶮しく、南部域と北部域には標高700mまでの山々があり、中部地域にあっては(推奨される運河ルートが通過する) ほとんど平坦ではあるが標高200mまでの山々があり、大西洋海岸地域にあっては低地や水に浸っているところがある。 これらの運河ルートの縦断距離は153kmから202kmである(表3.1)。

3.06 運河対象地域の地質学上の2つの主要調査項目、すなわち当該地域の地質構造および地質について: セクションA、B、Cには、 火山活動による地震、地殻のずれ、ココ・プレートやカリブ・プレートの接触による地震がある。 しかし、過去の史料から明らかにされてきたところによれば、これらのセクションで物的搊害ならびに生命上の搊失が生じた という証拠はなく、地震による影響はほとんど受けてこなかった。

3.07 太平洋岸に沿った火山の連なりに近接しているにもかかわらず、セクションAでは1883年のコンセプション火山の噴火以来、 マグニチュードの強い地震を経験してこなかった。スペイン椊民地時代のさまざまな年代に建設された、リーバス県のサン・ホルヘ港にある 教会や同じ地域の他の町にある教会についても、火山活動ならびにココ・プレートやカリブ・プレートの接触によって崩壊したことはなく、 また重大な搊害を被ったこともない。ニカラグア南部地域および南東地域でのこれらの地震被害調査によれば、 セクションAにおける運河、土木構造物、あるいは人的集団に対する潜在的に深刻な被害リスクというものは制御しやすいものといえる。 セクションB、Cにおけるリスクはもっと少ないものであり、ましてやセクションCにあっては更に少ないものである。 もちろん、それらの被害リスクは設計そのものや建設の具合によって左右される。



D 確認されたルート案
3.08 6つのルート案が認められる。大西洋沿岸からニカラグア湖に向かう運河ルートの起点はいくつかあるが、リーバス地峡 ではいずれの案もそのルートは共通で一つである(図3.1)

図3.1 ルート案図

    ・ ルートNo.1: ケイマン・ロック(Cayman Rock)~エスコンディード川(Río Escondido)~ミコ川(Río Mico)~オヤテ川(Río Oyate)~ニカラグア湖(Lago de Nicaragua)~ラス・ラハス川(Río Las Lajas)~ブリット川(Río Brito)

    ・ ルートNo.2: ケイマン・ロック~エスコンディード川~マホガニー・クリーク(Mahogany Creek)~ラマ川(Río Rama)~ オヤテ川~ニカラグア湖~ラス・ラハス川~ブリット川

    ・ ルートNo.3: ベナード島のハウンド・サンド・バー(Hound Sound Bar sur de la Isla de Venado)~ククラ川(Río Kukura)~ ラマ川~オヤテ川~ニカラグア湖~ラス・ラハス川~ブリット川

    ・ ルートNo.4: ゴルダ岬(Punta Gorda)~トゥーレ川(Río Tule)~ニカラグア湖~ラス・ラハス川~ブリット川

    ・ ルートNo.5: ゴルダ岬~ロス・サバロス川(Río Los Sábalos)~サン・ファン川(Río San Juan )~サン・カルロス(San Carlos)~ニカラグア湖~ラス・ラハス川~ブリット川

    ・ ルートNo.6: サン・ファン・デル・ノルテ(San Juan del Norte)~サン・ファン川~~サン・カルロス(San Carlos)~ ニカラグア湖~ラス・ラハス川~ブリット川



3.09 各ルート案の主要目は表3.1のとおり。



E 推奨ルート案
3.10 これらの6つのルート案の分析によれば、80kmのニカラグア湖通過距離を含む総通航距離286kmをもつルートNo.3が最も 優位性があると考えられる。

3.11 ルートNo.3が選ばれるいくつかの理由がある。
(a) 少ない投資金額(1,740万米国ドル)である。主に土砂の掘削量が少ない。運河ルートの地質学的特性はその掘削活動を容易 たらしめる。ルート上にある土地の地形は相対的に平坦であり、大西洋岸からニカラグア湖に向けた区間の最初の54kmにおける上り 傾斜度(勾配)は2%である。その後は自然にくぼんだ土地を通過することになり、その地形は相対的に一様なレベルを保っている。 そして、チョンタレス山系の支脈 (いくつかの特定の地点から判断して標高60~200mの間である) を横切りながら、 その後はニカラグア湖の東岸から16㎞地点(の分水嶺)までいたるという、全体として一つの通航路をなすものである。 そこからニカラグア湖東岸までは下り傾斜度2%の平坦な土地となる。

(b) いずれの川とも交わることなく、また大きな自然災害とも係わることなく、水理学上の問題もない。

(c) ルート上の環境は既にこれまで負の影響をすっかり被って来たと考えられることから、環境に影響を及ぼすことはもはや少ない。 また人口が極めて少ない。

3.12 ルートNo.3の大西洋地区のうちの他部とは違って、このルート上の通航路は堆積土からなる帯状の土地を通ることになる  (土がさまざまな硬さの岩石からなる約15㎞の部分、但し窪んだ土地形状にあるところではたくさんの岩石からなる部分を除く)。 そのことは掘削を容易にせしめ、コスト削減にもつながろう。

3.13 ルートNo.3において運河建設上2つの方法がある。その一つは、3.24節に記載され、図3.2で示されるように、オペレーション 上2つの水位をもつ運河が建設されるもので、最善の選択肢といえる。即ち、エスコンディード川流域に建設されるダムによって えられる貯留水、およびニカラグア湖の水の2つの水位をもって運河通航上のオペレーションがなされる。
もう一つの可能性は、ニカラグア湖の水位をもって運河を建設するというもので、完全にその湖水をもって通航上のオペレーション がなされる。後者の方法は前者のそれと比較して掘削量と投資額が一層膨大となることから除外された。

図3.2 候補ルートNo.3の縦断面図(Perfil Longitudinal)

3.14 ルートNo.6は古くから考えられていた案であり、サン・ファン川を利用するものであるが、次の理由から除外 された。

    (a) 地質学上の理由、すなわちサン・ファン川の中・下流の下層土は砂の多い層からなり、その層は地下18m(60フィート)~46m (150フィート)の間にあり、このサン・ファン川とサン・カルロス川(río San Carlos)との合流点から大西洋岸にある河口まで続く。

    (b) 環境への負(マイナス)の効果(河川および海洋のエコシステムに及ぼされる被害、運河のコースを直線化したり水路を深く したり、カーブを広げ滑らかにするために河川を広げたり、運河の区間を真っ直ぐに延ばすための掘削・切削(corte)・ 浚渫(dragado)工事による河川の破壊)。

    (c) サン・ファン川流域の縦横に広がる保護区を保全するというユネスコとの約束。

    (d) サン・ファン川によって運ばれる堆積物や川からの流出物によって生じるオペレーション上のさまざまな困難とコスト。

    (e) 雨期における増水対策のために行う水理施設の工事によって生じるコスト。

3.15 エスコンディード川に沿ったルートNo.1は、サン・ファン川のルートと同じような環境や増水に関する問題があることから除外された。しかも、雨期において水量がさらに増え、その頻度も多くなることから、船舶の操縦性を危険なものにする。より多くの通過時間が かかることになって、運河オペレーションコストを引き上げることになる。但し、実際にこのルートは、ニカラグアの南東地域 におけるより重要な商業路および河川輸送路であることには違いない。

3.16 ルートNo.2は、エスコンディード川の一部を利用することから、また前述の理由から除外された。

3.17 ルートNo.4&No.5は、経済的および技術的な観点からその実現可能性はないと考えられた。これらのルートは、平均海水準面から 600~700mの平均高度(s.n.m.m.)をもつチョンタレス山系を横切るという、嶮しい地形特性を持つ区域に立地している。 このことは、大西洋 岸からニカラグア湖まで通過するにあたり、オペレーション上さまざまな水位の水路を経ること、更にその掘削量が膨大であることを 意味している。これらのルート案には優位性がないことの理由として、運河のオペレーション上さまざまな水位で必要とされる水を 貯留するのに (almanecer el agua necesaria)、プンタ・ゴルダ川(río Punta Gorda)の流水量を利用したり、 またダムを建設したりする必要性がある。そこには地形学的な観点から自ずと限界がある。

さらに、膨大な掘削量は投資金額を実質的に増大させることになる。 ルートNo.5はその一部においてロス・サバロス川(río Los Sabalos)に沿うこと、またサン・ファン川の上流部40㎞に沿うことが 上利な条件となっている。このことはこれらの2つの川に相当の害をもたらすことを意味する。それは、この地域の保護区を 保全し環境を守るという約束に違反することとなる。サン・ファン川に沿ったルートが除外された際のその他の理由を併せもって、 ルートNo.4&No5は除外された。



F 運河の設計
3.18 運河の予備設計を行う上での基本的な基準は、25万重量トン(dwt)までのポストパナマックスサイズの船の通過を可能とする 「水の通路《であることである。その設計においては、3.22節で示されているような特性をもち、また直線的な区間ならびに 拡張されたカーブによって形成されるはずである。運河は、投資コストを節減するため、オペレーション上3つの水位をもつ閘門からなる。

3.19 運河は次のような構成要素をもつ。
太平洋および大西洋から内陸部に向けて航行しながら最初の閘門へと至るアクセス運河、およびニカラグア湖を出たり入ったり することになる内陸部を通る運河からなる。ニカラグア湖上では複線通航である。セクションA&Cを通過する内陸部の運河では単線 通航であり、船の通航と運河のオペレーションを容易にするため待機用の船渠・水域を備える。

水理学上のコントロールを行うために4つの閘門システムが必要とされる。その3つはセクションCに、他の一つはセクションAに設けられる (表3.2)。運河の総延長距離は286kmである(Venado島とOyate川河口との間の大西洋地区の176km、Oyate川河口とLas Lajas川河口との 間にあってオメテペ島の南を通るニカラグア湖上の80km、そしてリーバス地峡における30km)。

3.20 運河を横断面図で見ると、単線通航路、複線通航路のいずれの場合でも上等辺四角形をしており、図3.3に示されるような特性を もつ。単線通航路の場合、運河水底部の幅は60m、複線通航路では114mで、その水深は23mである。台形横断面図の側面または法面 (los taludes o lados del trapecio)は、土地の地質構造的特性によって変わろう。
* 台形横断面図の上辺の長さ(運河の幅)はその側面または法面の形状によって変化する。

3.21 運河の区間ごとの設計を行うためには(図3.3)、以下のパラメーターが考慮される。
(a) 単線通航となる主要な運河、および複線通航となるアクセス運河(図3.2)
(b) 水深・水面の高さ 23m
(c) 対象地域の水文(表3.2)
(d) 船の設計(表3.3)
(e) 対象地域の地形おおび地質

3.24 大西洋側から太平洋側へ船が通過するプロセスは図3.2に要約されているが、以下のとおり。

    (a) 海面レベルにあるアクセス運河を通り、運河の内陸部に通じる入り口へ。
    (b) 海面レベルから、平均海水基準面からの平均高度32m(s.n.m.m.)の中間レベルへ通過するために、最初の閘門システムを 上る(図3.2に示される1)。そこから第2の閘門システムを経て、平均海水基準面からの平均高度60m(s.n.m.m.)のレベルへ上がる (図3.2に示される2)。
    (c) 第3の閘門システムを経て、ニカラグア湖のレベル(平均海水基準面からの平均高度32m)へと下る(図3.2に示される3)。
    (d) 第4の閘門システムを経て太平洋の海面へ下る(図3.2に示される4)。


G 水の使用可能性と水文学的特性について
ニカラグアの南部および南東部地域においては十二分な水の使用が可能であることから、運河オペレーションが保証される。さらに 3,200mmという年間平均降雨量および当該地域のその他の特性からして、水の使用を最適なものにすることが容易に可能であろう(表 3.2および図3.4)。恐らく、この降雨量レベルは運河が通過する流域における椊林事業によって増大させられよう。


図3.4 1971~2000年の年間平均降雨量図

3.26 セクションCでの運河ルートはラマ川およびエスコンディード川流域の南部を通っているが、エスコンディード川はシキア (río Siquia)、ミコ川(río Mico)、ラマ川(río Rama)と合流し、毎秒390立方メートルの水量をもつ。 これは日量33.7百万立方メートルの水量に相当し、大西洋に向けて排水されることを通してその水量は増えよう。

その後、推奨の運河ルートは南西方向をとりニカラグア湖に注ぎ込む。ニカラグア湖という水の天然の貯留池(reservorio natural de agua)は、平均海水基準面からの平均高度31mにあって、表面積8,284平方キロメートルをもち、サン・ファン川から毎秒 477立方メートルの水量が大西洋へと排出されるが、これは日量41.2百立方メートルに相当する。

3.27 運河のオペレーションに必要とされる水量に応えうるだけの十分な余剰水量がある。2025年において毎日11回 の船舶通過を可能にするための水量とは、6.6百万立方メートル/日である。これは毎秒76立方メートルの水量に相当する。 この水量はSiquia, Mico, Ramaの河川によって生み出されよう。 また、それは運河のオペレーションに必要な水量の5.1倊に相当するものである。その水量は上記の河川の流域に建設される2つの ダム(represas)によって補充されることになろう。必要ならば、もっと多くのダム・堰、あるいは貯水池(embalses)が上記の 河川およびエスコンディード川の流域に建設することが可能である。

3.28 先に述べた河川の水を自由に使用することができるということ(disponibilidad de agua)に加えて、 貯水源(reserva de agua)である ニカラグア湖が存在していることは、運河のオペレーションを保証するものである。 前述のダム(embalses)などを源にして、運河閘門を経て流れ出るニカラグア湖の水は別にして、運河のオペレーションのために ニカラグア湖の水を使用しないことが期待されている。しかし、冬期および 夏期をとわず、サン・ファン川での水の恒常的な流れを保証すべく、ニカラグア湖の水理学的(hidráulicos)な上均衡と それらのレベル変動を調整するために、サバロス(río Sábalos)とサン・ファン川との合流点に調整ダム(una presa de regulación) が建設されることになろう。

ニカラグア湖にて貯留される水量は、150億立方メートルまで、あるいは平均海水基準面からの平均高度(s.n.m.m.)まで 増えるものと推定される。これはニカラグア湖周辺都市が必要とする潜在的な水需要に応えるための水源(fuente de agua)として、 あるいは灌漑事業や電気エネルギー発電に応えるための水源として役立つ。


H 付帯インフラ
3.29 運河建設とその付帯事業に加えて、リーバス県のパンアメリカン・ハイウェイ上に、あるいはチョンタレス県 およびリオ・サンファン県のアコヤパとサン・カルロス(Acoyapa*San Carlos)間の国道上や、ガテアーダと南部大西洋自治区 ヌエバ・ギニア(Gateada - Nueva Guinea)間の国道上に、それぞれ橋を建設する必要があろう。コリント港あるいはラマ港 からさまざまな運河建設作業現場まで、必要な機械類や器具類を輸送するための国道を整備したり、また橋を補強したりするため、 あるいは掘削された土石を搬出するための一時的な鉄道の建設やその他のサービスのための国道の建設、あるいは事務所、 倉庫、ガソリン給油所、動力付き器具の保守修理のための作業場などをもつ訓練所、オペレーターの生活拠点の建設、 水力発電の建設やそのための予備的作業、砕石プラント、コンクリートやアイスプラントの建設なども必要である。



I コスト計算
3.30 最も実現可能な運河ルート上に永久的および一時的な土木構造物を建設するための投資コストは、2006年での価格にして約170.4 億米国ドルである。運河ルートNo.3に対する前述の投資額を算定する上での主要目は表3.5にその詳細が示されている。

3.31 推定投資額を計算する上での主要なベースになったのは、パナマ運河拡張プロジェクトを調査するために日本・米国・パナマ3か国委員会(la Comisión Tripartida del Canal de Panamá)によって1983*1993年の間に利用されたコスト情報である。 また、パナマ運河当局によって実際に用いられた「Heavy Construction Cost Data (R.S. Means 2005)《から取り出された 積算単価データである。



J 運河計画実施の暫定プログラム
3.32 運河計画の実施期間は9年間と算定されている: 3年間の調査、6年間の建設である。その建設の根幹をなす活動としては、掘削、閘門の建設、準備作業である(表3.6)。



K 運河通過の時間
3.33 ルートにもよるが、船の運河通過時間は、毎時6ノットの速力として、約24~28時間であろう。その通過時間は、それらのルートの 特殊な事情を考慮しないとすれば、その距離と船の速力との一次関数の関係にある(表3.7)。

3.34 表3.7に示されるように、運河ルートNo.3の通過に要する最大の時間は26時間であろう。このルートは、そのセクションCにおいて次のような特徴をもつ: 大西洋から内陸部の運河に向けた最初のアクセスを行うに当たり、先ずブルーフィールズ湾(la bahía de Bluefields)に入る。また、ニカラグア湖西岸部において3つの待機船渠(dársenas de espera)、および当該ルートNo.3上に「ラ・プロビデンシア・ダム《 (el embalse La Providencia)が建設されよう。そのダムは全て船舶の通航緩和あるいは軽減に役立つものである。 当該ダムは運河通航をコントロールする電子システムに組み込まれることによって運河のオペレーションに柔軟性をもたらすとともに、 通航上の混雑の回避、あるいは待ち時間なしの想定通過時間を保証するものである。


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