FishTech - Photographs of Fishing Techniques
漁業技術の画像集・FishTech


著作者/水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘
Compiled by Emeritus Prof. Hiroshi Maeda, Fisheries College, Shimonoseki, Japan

協力者/水産大学校助教授 深田耕一
in collaboration with Asst. Prof. Koichi Fukada, Fisheries College, Shimonoseki, Japan


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    第 2 部
    15 底曳網
    18 三津浜(松山)で見られた漁船




     瀬戸内海の本州側で見られる漁船に関しては、いくつかのフォールダに記した。しかし、瀬戸内海の 四国側には訪れる機会があまりなかった。1984年に松山の外港である三津浜を訪れる機会を得たので、 その際に撮影した写真をここに示す。

     漁港―特に底曳漁業が盛んな漁港―では、部外者が写真を撮影することは、あまり歓迎されない。 したがって、十分な写真を撮影できなかった。

    No.1
    [No.1: ft_image_15_18/image001.jpg]

    No.2
    [No.2: ft_image_15_18/image003.jpg]

    No.3
    [No.3: ft_image_15_18/image005.jpg]

    No.4
    [No.4: ft_image_15_18/image007.jpg]

     三津浜を根拠とする底曳漁船(手繰第二種)の写真である。愛媛県から伊予灘に出漁する底曳船の 操業状況は、「伊予灘西部における第二種底曳漁船の操業写真」に記した。

     底曳漁業は県条令によって規制される。県によって条令が多少異なる。しかし、三津浜でみられた漁船は、 基本型において瀬戸内海北岸の漁船との間に多くの共通点が見られたことが、最初に気がつく特徴である。

     瀬戸内海の東部と中部で見られた漁船に比べて、甲板は大きく反っている。これは西に向かって開く 伊予灘に面するからだろう。No.1に示す船やその写真の遠景の左から4番目の船のように操舵室が2段 になっている船が見られる。

     No.2に示すように、甲板は左右と船尾において船体よりも張出している。

     No.3に示す船では、船首はバルバスバウ(船首が突き出す)になり、船尾にはスタビライザ(船尾水面 直下が後方に伸びる)が付いている。この他にもこのような船首と船尾の船が見られる。これは、出入港 時間が規制されているので、漁場との往復航海において航走性能を向上させるためである。

     操舵室の後に直径約1mのドラムがあり、網を捲き込む。「伊予灘西部における第二種底曳漁船の操業写真」 に示した船は、コッドエンドを右舷中央から揚げていたが、この船では船尾にあるパイプを組んだ櫓(ヤグラ) によって揚げるように変わった。それに伴ってNo.2に示すように船尾のブルワークトップはローラに変わった。

     網口を拡げるビームはFRP製で、その長さは船とほぼ等しい。伊予灘西部の操業写真では、ビームは船よりも はるかに長かった。

     伊予灘西部の操業写真を撮影してから、これらの写真を撮影するまでに5年しかたっていない。

     根拠地が変われば、網の揚げ方やビームの長さのような細部に関して共通的な考え方が異なる例と みなせるだろう。

     No.4は航走中の底曳船の写真である。バルバスバウの船首で船尾にスタビライザを付けた船における 航走中の波の立ち方が分かる。すなわち、それらの効果を推測できる。



     No.5
    [No.5: ft_image_15_18/image009.jpg]

     延縄船の写真である。甲板は左右と船尾において船体の外まで張出し、肩幅は広い。乾舷が高く、 ブルワークは低くない。

     整理が終わった縄の並べ方が分かる。左舷船尾に鉢ごと置いて投縄する。底延縄のラインホーラは、 普通は右舷船首付近にあり、この写真ではその部分は写っていない。

     三津浜には家船はない。しかし、この船にはテレビのアンテナがあり、前半分は二重にテントが張られ、 船尾には炊事場の設備が見られるように、家船の特徴を備える。家船の内部の様子が伺える。

     対岸の吉和(倉敷)は、家船の根拠地であり、毎年そこから出漁してくる可能性が考えられる。

    No.6
    [No.6: ft_image_15_18/image011.jpg]

     同じく延縄船の写真である。No.5に示した船と見た方向が異なるので、違う船のように感じられるが、 乾舷とブルワークが高く、マストの位置や前半分は二重テントが張られ、中央にテレビアンテナがあり、 船尾に炊事場の設備が見られる等、No.5に示した船と共通点が多い。

     右舷中央付近から縄を揚げる。

    No.7
    [No.7: ft_image_15_18/image013.jpg]

     手前の2隻は、ドラム式シラス船曳網漁船である。他の地域における同じ業種の船とほとんど同じである。

    No.8
    [No.8: ft_image_15_18/image015.jpg]

     1そう捲きの吾智網漁船である。中央に吾智網ウインチが見られる。網はみられないが、曳索の一部は 船上に残っている。

    No.9
    [No.9: ft_image_15_18/image017.jpg]

     潜水作業船である。ヘルメット式潜水器を使う。漁船(主に底曳船)に混ざって漁港内に泊っていた。 潜水器漁業を行う船と、潜水作業船は区別しにくいが、後者である可能性が高い。

    No.10
    [No.10: ft_image_15_18/image019.jpg]

     漁船に混ざって漁港内に泊っていた。目立った漁具と漁労装置がない。レジャーボートと考えられないし、 作業船とも考えられない。使用目的は分からない。


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