漁業技術の画像集・FishTech
著作者/水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘
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第 2 部 15 底曳網 30 桁 網 桁網(機船底曳網漁業第3種)はファイル「大阪湾南部の底曳漁業」・「日生の底曳漁船」・「帆打瀬網」に 示した。しかし、それらに含められなかった桁網関係の写真を、このファイルに示す。 桁網は海底環境を最も破壊しやすい漁法の1つであると考えられる。しかし、他の業種の底曳網漁業が盛んな 地域では、漁具の詳細・漁期と着業統数は厳重に規制されながら共存している。著しく環境破壊的であり、 影響が他の(底曳網)漁業にまで及ぶとすれば、共存する第1種と第2種の底曳網漁業の業者等からの反対があり、 全面的に禁止されるだろう。しかし、先にあげた3つのファイルに示した地方と、このファイルに含めた写真を 撮影した地方では、いずれも古くから共存している。
[No.1: ft_image_15_30/image001.jpg]
No.2
No.3
No.4
幅の広い桁は船尾に櫓を組んで扱われる。この漁業は漁期が限られるので、漁期の間だけ櫓が仮設されるか、 櫓を利用した他の型の(底曳)漁業に使われる。
[No.5: ft_image_15_30/image009.jpg]
No.6
[No.7: ft_image_15_30/image014.jpg]
No.8
No.9
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[No.10: ft_image_15_30/image018.jpg]
No.11
そのうちNo.7とNo.8は、1隻で複数統を曳く小型の桁の写真である。桁はNo.7の右の方に曳かれる。 すなわち、爪は前にあり、後に網の袋がつけられる。桁の前の両端には爪の上に錘がつけられ、その上縁に ワープが結ばれる。底質と漁獲対象によって、爪の食込み方を調整するために、ワープの取付け位置を 調節できるようになっている。桁に取付けられる錘は、元来花崗岩で作られていた。しかし、同じ大きさで 同じ目方に調節された金属製のものが用いられるようになった。鉄製の枠を大きくして錘を付けない型もある (例えば、長良川の河口におけるシジミの桁網)。 No.9とNo.10は、1隻で1統を曳く幅の広い型の桁である。No.9の下の方に曳かれる。 桁の枠は二重になり、網の袋は後の枠に取付けられる。爪は磨耗するので、1本ずつ取替えられるよう になっている。 西日本に関する限り、桁の構造は地方による差はほとんどない。 No.11はソロバン等の名で呼ばれる桁の写真である。この変形はあまり見られなかった。この他に、 ソリを付けた型(例えば、日生)のような変形も見られる。
[No.12: ft_image_15_30/image022.jpg]
No.13
No.14
No.15
No.12とNo.13は同じ船の写真であり、この船はNo.14とNo.15において左側に写っている。よく整備 されているので、稼動中であると考えられる。
これらの船は ここで示した(7)以外の特徴の多くは、桁網を示した他のファイルに含まれる写真と共通している。 なぜ大都市近郊においてこのような古い面影を残す漁船が、新しい漁船と共存し、複数がなお稼動中で あるか、疑問である。1つの可能性として、瀬戸内海とその近辺では、船に関して伝統を大切にする考え 方が強いためであることが考えられる。
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