FishTech - Photographs of Fishing Techniques
漁業技術の画像集・FishTech


著作者/水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘
Compiled by Emeritus Prof. Hiroshi Maeda, Fisheries College, Shimonoseki, Japan

協力者/水産大学校助教授 深田耕一
in collaboration with Asst. Prof. Koichi Fukada, Fisheries College, Shimonoseki, Japan


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    第 2 部
    16 船曳網
    15 ドラム式船曳網の操業(山口県萩沖)



     この漁法は2隻のほぼ同型の網船と1隻の魚探兼運搬船の計3隻の組で行う。

     網船にはそれぞれ直径1m以上のドラム2基がついた型と、1隻には2基の幅が狭いドラムともう1隻には 幅は広いが直径がやや小さいドラムが1基ついた組で行う型がある。しかし、次第に後者の型が主体になりつつある。

     在来型のシラス船曳網は海岸線のすぐ近くで操業するのに対して、この漁法はそのすぐ沖で操業する。

     同じドラム式シラス船曳網でも、操業法は地方によって異なり、錨で止めた船によって袖網を含め長い網を 巻く方法と、2隻の網船でやや長時間曳く方法に大別される。これは後者の例である。

    No.1
    [No.1: ft_image_15_15/image001.jpg]

     1組の編成を示す。左端は魚探兼運搬船、右の2隻が網船で乗組員は少ない。

     この網は表層を浮いており、当然出入港する漁船や近くの島まで往復する渡船が曳網方向に直交して航行する。 この網は長さが約300mある。萩湾はNo.2からNo.5まで左回りに海岸線がある。曳網速度は遅いが、湾口部で曳網 できる距離は短い。また、シラスにエビ・カニの幼生が混ざると値段が下がるのでそれらが多い場所は避ける。 したがって、曳網時間は1時間程度に限られる。

    No.2
    [No.2: ft_image_15_15/image003.jpg]

    No.3
    [No.3: ft_image_16_15/image005.jpg]

    No.4
    [No.4: ft_image_16_15/image007.jpg]

    No.5
    [No.5: ft_image_16_15/image009.jpg]

    No.6
    [No.6: ft_image_16_15/image011.jpg]

    No.7
    [No.7: ft_image_16_15/image013.jpg]

    No.8
    [No.8: ft_image_16_15/image015.jpg]

    曳網を終わり、曳綱を巻いている。No.7は巻き始め、No.8やや進んだところ。少人数で操業できることと乗組員の 若いことが分かる。

     袋網に付けたブイは遥か後方にある。

    No.9
    [No.9: ft_image_16_15/image017.jpg]

     袖網との境目付近では曳綱はチェーンになっている。この部分まではそれぞれの網船は1本ずつの曳綱をドラム に巻くが、この部分以後を巻くときには、2隻の乗組員は一方の船(普通は右側)に移り、その船で作業をする。

    No.10
    [No.10: ft_image_16_15/image019.jpg]



    No.11
    [No.11: ft_image_16_15/image021.jpg]

     次いで袖網を巻く。シラスを漁獲するにもかかわらず、袖網の網目は大きい。このような基本構造は、限られた 力で大きな網を曳くために古くから漁業が行われていた世界各地で行われてきた。ここでは在来型の網でもすでに 見られた。身網に近づくに従って網目は段階的に小さくなる。この間、網は自動的にドラムに巻込まれ、乗組員は その作業を見守り、かかった網を外す等、この作業が順調に進むのを助ける。袖網を巻き込終わるとドラムを止める。

    No.12
    [No.12: ft_image_16_15/image023.jpg]

     袋網は遥か後方まで伸びる。魚探船はその末端近くに付けられたブイに近づく。このブイは網の末端の位置を 示すばかりでなく、揚網途中でこのブイから袋網を引き揚げ漁獲物(シラス)を取出すためについている。

    No.13
    [No.13: ft_image_16_15/image025.jpg]

    No.14
    [No.14: ft_image_16_15/image027.jpg]

     袋網から漁獲物を取出しているところ。No.13の右上には網船が見える。そこまでの距離がほぼ袋網の長さと 考えてよい。

    No.15
    [No.15: ft_image_16_15/image029.jpg]

     身網と袋網の境の写真である。袖網までには浮子やブイはほとんどついていないが、身網のヘッドロープには 浮子がついている。

    このような大きな網を網船に4名、運搬船に3名で操作する。

     連続して操業するときは、前進しながらドラムをフリーターニングさせて身網・袖網・曳綱の順で繰りだし、 低速で曳き始める。

    No.16
    [No.16: ft_image_16_15/image031.jpg]

     移動するか最後の操業のときは袋網の途中まで巻込む。袖網の網目は大きいので長い網だが、袖網と身網を 合わせてこの程度の大きさのドラムに巻き込める体積にしかならない。

    No.17
    [No.17: ft_image_16_15/image033.jpg]

    No.18
    [No.18: ft_image_16_15/image035.jpg]

     これは身網と袋網の境目まで巻いたところである。船尾から長い袋網を曳いているので、変針しにくいが、 網の左側と船尾と船首の波から右にゆっくりと変針していることが分かる。

    No.19
    [No.19: ft_image_16_15/image037.jpg]

     操業を打切るときは、このまましばらくの間低速で航走して網を洗う。

     袋網についており、ここで袋網の末端に洗落とされて取上げられるシラスの量は無視できない。

     ここで停止し、漁獲物を取上げた後で、袋網を巻込み入港する。

     


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