FishTech - Photographs of Fishing Techniques
漁業技術の画像集・FishTech


著作者/水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘
Compiled by Emeritus Prof. Hiroshi Maeda, Fisheries College, Shimonoseki, Japan

協力者/水産大学校助教授 深田耕一
in collaboration with Asst. Prof. Koichi Fukada, Fisheries College, Shimonoseki, Japan


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    第 4 部
    51 神社・石碑等




     漁業は、毎日の自然の変動の影響を受け易い。出漁するかどうかは天候に支配され、漁獲量は日により船に より大きく変動する。さらに、時には危険を伴う。そのために、漁民は信仰心が厚いとされている。日本の漁船の 船名には、外国における船名よりもこのことが強く反映し、金毘羅丸(コンピラマル)・恵比寿丸(エビスマル)・ 蛭子丸(エビスマル)という信仰に由来する船名が多い。さらに操舵室のある漁船では、それに続く海図室に神棚 があり、金毘羅神社等が祭られている。小型の漁船は勿論、大手水産会社が所有する2万トン級の母船でも海図室 に神棚があり、操業開始・終了と、中間でも漁獲量がいくらかの大台を越えたときや、定期的に簡単な参拝が 行われる。近代装備のトロール船でも、出漁して最初の投網の前には、お神酒を網にかけて好漁を祈願する。

     漁村には神社と祠を見ることが多い。しかし、実際にそれらの写真を撮影しようとすると、絵馬・石像・石碑等 に明かに漁業と関連があるとみなせる映像は、あまり見当たらない。地曳網や船曳網は、神事に関連して行われる ことがあり、海岸地帯の神社の祭りには漁船のパレードが行われる。漁業に関連する神事は、近くに簡素な祭壇 を設け、祝詞には漁業との関連が含まれていても、型としてはとらえられない。神事は、終わると型は残らないし、 祭りでも意外に型としてとらえにくい。

     例えば正月や進水式には、漁船のマストには門松が飾られる。各ファイルに収録した写真の中にそれらや、 進水式のために旗を飾ったあとが残っている写真が含まる。しかし、それらは、このファイルには含めなかった。

     漁港と町並みの間に埋め立てが進み、昔は海岸沿いであった通りが奥になり、道端に祠や記念碑があっても 目立たなくなった。

     これらが、このファイルに収録できる写真の少ない理由である。

    No.1
    [No.1: ft_image_51/image001.jpg]

    No.1は母船の神棚である。九州の宮地嶽神社その他のお札を上げている。各種近代設備を備えた大型船でも、 建造と進水のときには神式の儀式が行われ、関係者の代表が金毘羅神社まで赴いてお札をもらう。

    No.2
    [No.2: ft_image_51/image003.jpg]

    気仙沼郊外にあり、漁業に関係の深い神社の一隅にあった祠の写真である。漁業に関連が深いといわれるが、 映像からはそれは伺えない。

    No.3
    [No.3: ft_image_51/image005.jpg]

    九州の路傍でみかけた石像である。中央の像は恵比寿様と考えられる。恵比寿様は漁業に最も親しまれている 神様であるが、長い間に明かに恵比寿様と認められたのはこれだけである。

     花と供え物が新しいので、祭り以外でも、日常に参拝者のあることが分かる。

    No.4
    [No.4: ft_image_51/image007.jpg]

    No.5
    [No.5: ft_image_51/image009.jpg]



    No.6
    [No.6: ft_image_51/image011.jpg]

    No.7
    [No.7: ft_image_51/image013.jpg]

    No.8
    [No.8: ft_image_51/image015.jpg]

    No.9
    [No.9: ft_image_51/image017.jpg]

    No.4からNo.9までは、東京中央卸売市場から築地本願寺に抜ける通用門の外にある波除神社と、その境内にある 石碑である。それぞれの石碑は意味が異なる。No.6は活魚塚、No.7はアンコウ塚、No.8はエビ塚、No.9はスシ塚 である。これらの石碑は直接漁業あるいは漁業に関連の深い神との関係がないが、いずれも鮮魚と関係があり関係 業者を含め信心の深いことが分かる。

    No.10
    [No.10: ft_image_51/image019.jpg]

     大分県下の漁港の船着場において撮影した。鯉幟は日本全体に広がっている習慣である。海に面した漁村では コイ以外の魚の幟を期待したがそれは見られなかった。

     枕崎漁協ではカツオ幟が見られ、気仙沼の漁港ではカツオにまたがって恵比寿様がカツオを小脇にはさんでいる コンクリート像を見かけた。それらは関係あるファイルに収録してある。

    No.11
    [No.11: ft_image_51/image021.jpg]

    No.12
    [No.12: ft_image_51/image023.jpg]

     No.11とNo.12は、80年代に山口県下の寺院の廊下において撮影した写真である。

     木魚は寺院において珍しくないが、魚とは名前だけで、魚の格好からほど遠い。この版木は魚の格好をしている。 版木本来の役をせず、装飾として下げてあった。

     


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