FishTech - Photographs of Fishing Techniques
漁業技術の画像集・FishTech


著作者/水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘
Compiled by Emeritus Prof. Hiroshi Maeda, Fisheries College, Shimonoseki, Japan

協力者/水産大学校助教授 深田耕一
in collaboration with Asst. Prof. Koichi Fukada, Fisheries College, Shimonoseki, Japan


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    第 6 部
    25-07 Necocheaで見られた漁船



       Necochea(南緯38°13’、西経58°46’)はMar del Plataの西約150kmにある河口を利用した農産物の積出港 である。ここにも漁業の根拠地がある。

     No.1からNo.4までは、漁港の全景である。漁港にでかけても、漁期中には普通はほとんど漁船は見られない。 しかし、’85年にはアルゼンティンでは経済危機のために、土曜日か日曜日を選べば、その漁港を根拠とする ほとんどの船を見られた。

     アルゼンティンでは全長25m以下の船は船体を黄色、25m以上の船は赤に塗っている。黄色の船―すなわち、 沿岸漁船―は外側に繋留されていた2隻だけであった。その程度の漁獲物なら、地元で消費できるだろう。

     アルゼンティンには輸出を目的とした合弁事業が多く、したがって、使う漁船は、合弁相手が使っていた中古船 が主体となる。Fishery Country Profileによれば、(全長25m以上の)工船と冷蔵トロール船は計44隻あり、 その平均船齢は工船で12.5年(1984年現在)である。

     写真には4隻の中型以上の漁船が写っている。そのうちの3隻は同型のサイドトロール船で、これが140隻ある 伝統的沖合い漁船とすれば、その平均船齢は19年になる。建造されたのは70年代のサイドトローラの全盛期に あたり、スタントローラに代わり始めた時期である。4隻ともスペインから輸入した中古船である。

     船体を黄色に塗った沿岸漁船は2隻しか見られない。すなわち、これらの写真だけからでも、アルゼンティン における漁業の特徴は伺える。

     サイドトローラはいずれも船尾で曳網し、右舷から投揚網する操業方式である。

    No.1
    [No.1: ft_image_6_25_07/image001.jpg]

    No.2
    [No.2: ft_image_6_25_07/image003.jpg]

    No.3
    [No.3: ft_image_6_25_07/image005.jpg]

    No.4
    [No.4: ft_image_6_25_07/image007.jpg]

     この国の氷蔵船としては最大級に近いVirgen de la Estilla号はスペインから輸入した船である。われわれは、 スペイン系の漁船を見る会が少ないので、この船の様子を示す。

    No.5からNo.8までは、外形と甲板の写真である。

     トロールウインチは左右のドラムに分け、前の方に移し、甲板の長さを有効に使う。

     日本のトロール船はダンレノボビンを使っていなかった。トロールウインチのワイヤーサバキの前にある大きな 鉄球がダンレノボビンである。

     両舷側に沿って長い倉庫をを設けることによって、甲板上で働く人達を風波から保護する。

    No.5
    [No.5: ft_image_6_25_07/image009.jpg]

    No.6
    [No.6: ft_image_6_25_07/image011.jpg]

    No.7
    [No.7: ft_image_6_25_07/image013.jpg]

    No.8
    [No.8: ft_image_6_25_07/image015.jpg]

    No.9からNo.22までは、計器に重点をおいて写した船橋とその付近の写真である。

     船齢15年とすれば、1970年代の中頃に建造された船ということになる。

     木製の大きな舵輪やテレグラフ等に良き時代の雰囲気を留める。それをそのまま残して、その前に実際に使う 舵輪を付けている。

     日本のトロール船や北転船では、より多くの情報を得ながら網を曳くために、多くの計器類が漁労長の席から 見渡せるように、機能を中心に狭い範囲に並べられている。しかし、この船ではその計器類の配置にも余裕が 感じられる。このような考え方の違いによるらしい構造は興味深い。

     ヨーロッパでは一般に魚探には乾式記録紙を用いるが、No.16に示す増設した魚探では湿式記録紙を用いていた。 他に増設したのはNo.22に示したネットレコーダだけであった。いずれも日本製である。この船が建造された頃には、 ヨーロッパでは有線式ネットレコーダが主流であったが、その跡(コード巻取りリール)は残っていなかった。

    No.9
    [No.9: ft_image_6_25_07/image017.jpg]

    No.10
    [No.10: ft_image_6_25_07/image019.jpg]




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