海洋総合辞典Japanese-English-Spanish-French Comprehensive Ocean Dictionary, オーシャン・アフェアーズ・ ジャパンOcean Affairs Japan, 深海底の熱水鉱床について、日本と海洋

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    オーシャン・アフェアーズ・ジャパン
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熱水鉱床について(その2)

1. 「人工熱水噴出孔」に沈積した岩石の標本など

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2014年10月2-4日、海洋技術に関する日本最大の展示会・シンポジウムである「テクノオーシャン2014」が神戸 で開催された。画像は海洋研究開発機構 (JAMSTEC) によって展示された熱水起源の沈積物の標本である。

画像1は、「昨年 (2013年) 10月の航海 (NT12-27) で採取した人工熱水噴出孔に沈積したチムニー」と記される、大変貴重な 標本である(下記画像3を併せてご参照下さい)。 なお、画像2については、自然に形成された「海底熱水鉱床サンプル」と記される。

[画像撮影: 2014.10.2 神戸・テクノ・オーシャン2014にて][拡大画像: x26568.jpg][拡大画像: x26565.jpg]

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3. パネルには、「"採る海底金属資源"から"育てる海底金属資源"への転換!?  掘削孔の継続的なモニタリング調査の結果、海底下の熱水溜まりから直接噴出させた人工熱水噴出孔においては、著しく 黒鉱鉱物成分に富んだチムニーが容易に形成され、短期間で大規模に成長することを発見。特許申請中」と記される。また、 パネルには、掘削前、5か月後、16か月後のチムニーの形成状況を示す写真が添えられている。 [拡大画像: x26569.jpg]
4. 海底熱水鉱床のボーリングコア。 [拡大画像: x26566.jpg]



2. 地球生命を誕生させた深海底の熱水噴出孔 [国立科学博物館・特別展「深海」]

画像は、東京・国立科学博物館で開催された特別展「深海」 (2013年7月7日~10月9日) において陳列された深海の熱水噴出孔(チムニー)の岩石 片の実物標本である。標本のキャプションによれば、「チムニー Chimney: 沖縄トラフ水深1500mの熱水噴出域から採取。矢印で示した付近が 生命を誕生させたような場所だと考えられる」、と記される。

さらに、「生命の起源にせまる」と題する説明書きが添えられる。地球上の生命は約40億年前に誕生したと考えられているが、果たして どこで誕生したのであろうか。生命の存続に必要なエネルギーが十分かつ安定して存在すること、生命活動に必要なさまざまな元素の 存在が、生命誕生の重要な条件であるとする。 「その条件を満たすのは、深海の熱水噴出孔しか考えられず、この環境こそ地球生命誕生の場である可能性が最も高い」、と論じられている。

画像では、生命を誕生させたであろうと推測される、チムニー (煙突状の噴出孔) の場所を矢印で指し示されている。 

[画像撮影: 2013.9.18 東京・国立科学博物館にて][拡大画像: x25573.jpg][拡大画像: x25564-2.jpg][拡大画像: x25572.jpg: 説明書き「生命の起源にせまる」]

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1. [拡大画像: x25563.jpg]
2. 日本の南方海域における資源分布図。東シナ海の沖縄トラフや小笠原諸島周辺海域のピンク色が熱水活動域、朱色が鉄マンガン・ クラスト、黄色がメタン・ハイドレートと図示される。右下方に拓洋第五海山、南鳥島がある。 [画像出典: 国立科学博物館特別展「深海」]
[拡大画像: x25571.jpg][縮小画像: z19592.jpg]



3. 深海底の熱水噴出孔(チムニー)の模型

2014年10月2-4日、海洋技術に関する展示会・シンポジウムである「テクノ・オーシャン 2014」が神戸で開催された。画像は海洋研究 開発機構(JAMSTEC)によって展示された海底の熱水噴出孔(hydrothermal vent)の大型模型である。

噴出孔周辺の岩石には銅、鉛、亜鉛、鉄などの金属元素を含有する。金、銀などの貴金属、ガリウム、ゲルマニウム、セレン などのレアメタルも含まれるという。活発な熱水噴出活動が観察されてきた主要な海域は、日本周辺では沖縄トラフ、伊豆・ 小笠原海域である。

[画像撮影: 2014.10.2. 神戸/「テクノ・オーシャン 2014」にて] [拡大画像: x26556.jpg][拡大画像: x26557.jpg][拡大画像: x26558.jpg][拡大画像: x27470.jpg]



日本の排他的経済水域でも賦存する深海底の熱水鉱床は、いわば国産資源である。
熱水鉱床についての視座を幾つか考察する。
政府が海底鉱区を民間事業体に認可するには、すなわち商業的生産へ向けての第一歩を踏み出すまでには遠い道のりであり、またハードルは髙い。

    ・ 政府が鉱区を設定し入札し、開発事業体を決定するにあたり、鉱区内のおおよその賦存量を明らかにし、その鉱区の経済的価値を見積って おく必要がある。
    ・ 鉱区設定、鉱区の経済価値算出、入札には、政府は十分な海洋資源調査が不可欠である。
    ・ 民間事業身体は、採鉱技術を開発し、精錬を含めて経済的採算に合うかどうか見極めることになる。
    ・ 開発段階における有用抽出鉱物の市場価格の推移が、当該採算性の評価に大きな影響をもつ。
    ・ 海洋環境アセスメント: 採鉱による海洋生物や生態系や海洋環境への負荷はどこまで許されるか。採鉱にあたっての海洋生物・環境保全の ルールを設定と遵守が必要となる。

このページのトップに戻る /Back to the Pagetop[2017.02.26 記]


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