深海底鉱物資源マンガン団塊(その2)/採鉱システムの基本型
深海底の表面に賦存するマンガン団塊を採鉱するシステムには大きく分けて3つの方式がある:
① 連続バケット・ドレッジング方式
幾つもの大きく平べったい直方体の鉄製網状のバケット(籠)をワイヤーに連続的に取り付け、そのワイヤーを海上の採鉱船
と深海底間でループ状にして回転させることで、マンガン団塊を取り込みながら、それらのバケットを船上に引き揚げる方式。
② エア・リフト方式
いわば「巨大な掃除機」の最先端部に取り付けられた集塵機(ゴミ・塵吸引機)のような装置、即ち集鉱機を海底面を引きずり
ながら、海上の採鉱船から何千メートルも海中に垂らした細いパイプ(揚管・導管)内に送り込んだ強力な空気流を上昇させることで
海水と共に団塊を吸い揚げる方式である。画像3はそれを模型化している。
③ ポンプリフト方式(ポンプサクション方式)/ポンプで吸い揚げる団塊採取システム
集積したマンガン団塊を強力な水流をもってパイプ(揚管・導管)内を揚鉱させる方式である。パイプの幾つかの
位置に強力なポンプが取り付けられることになろう。画像4はそれを模型化している。
画像3,4は4,000~5,000メートルの深海底に賦存するマンガン団塊をいかなる手法で採鉱するか、人々の理解を助けるために
展示された模型である。この模型を見学する子供たちは、将来いろいろなアイデアを育み、採鉱技術の開発などにチャレンジ行く
ことであろう。そのような期待と意気込みが伝わる展示である。海上では、団塊と底泥との分離、団塊の選別、貯蔵、搬出など
が行われる。将来精錬も洋上で実施されるかは大きな課題である。
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1. エアリフト方式とポンプリフト方式の概念図。 [拡大画像: x22165.jpg]
2. ジャガイモ大のマンガン団塊実物標本。 [拡大画像: x22166.jpg]
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3. マンガン団塊の採鉱装置 (エアリフト方式)。集塵機のような吸い込み口を備えた集鉱機が海底を移動しながら団塊
を吸い込む。海底の集鉱機上方に空気流が上昇しているのが見て取れる。
[画像1~3: 2010.03.東海大学海洋科学博物館 (Tokai University
Marine Science Museum) にて; http://www.umi.muse-tokai.jp/] [拡大画像: x22164.jpg]
4. 集鉱用クローラーが歩行しながら掻き集めた団塊がポンプによって吸い揚げられる団塊の採鉱装置 (ポンプリフト方式)。
パイプの中ほどには吸引する強力なポンプが設置されている。 [画像4: 2016.9.15 国立海洋博物館/釜山にて] [拡大画像: x27382.jpg]
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