一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
鉄マンガン・クラスト (Ferromanganese Crust) [東京・国立科学博物館]
画像は、東京・国立科学博物館で開催された特別展「深海」 (2013年7月7日~10月9日) において展示された「鉄マンガン・クラスト Ferromanganese Crust」のサンプルである。 説明書き曰く、「鉄マンガンクラスト Ferromanganese Crust: 拓洋第五海山の水深1,917mで採取された鉄マンガンクラスト。 クリーム色の基盤岩から層状に厚く成長している」。 英国海洋調査船「チャレンジャーI世号」による探検航海 (1873年から76年までの3年半) において人類史上初めて発見された マンガン団塊 (manganese nodules) は、通例数mm~数10㎝程度の、ジャガイモのような、やや扁平の球状の塊 (ノジュール、 nodule) であるが、それらが多数付着し合って板状あるいは層状の「クラスト」 (crust; 皮殻・外皮) になって、 海底表面を覆っているものがあり、これがマンガン・クラスト、あるいは鉄マンガン・クラストといわれるものである。 マンガン・クラストのうち、特にコバルトに富んでいるものは、コバルトリッチ・クラスト (cobalt-rich crust, cobalt-rich manganese crust) と呼ばれる。 例えば、西太平洋の海山の水深800~2000m程度の山頂や斜面において、数mm~10㎝程度の厚さで覆う板状のコバルトリッチ・ クラストが見られる。
[2013.10.4 画像/国立科学博物館・特別展「深海」][拡大画像: x25560.jpg] |
・ 形状: 玄武岩などの基盤岩上を、厚さ数mm~数10cmでアスファルト状あるいはクラスト (皮殻) 状に覆っている。 ・ 含有金属: マンガン団塊と類似する黒褐色の鉄・マンガン酸化物である。鉄、マンガンを主成分とし、コバルト、ニッケル、チタン、 白金、レアアースなどを含有する。一般的に、マンガン団塊に比べてコバルトの含有率がかなり高く、それ故コバルト・リッチといわれる。 また、微量の白金をも含むことからその経済的価値が高いとされる。 ・ 成因: 定説はないとされる。 |
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日本列島南方海域における資源賦存図。東シナ海沖縄舟状海盆や小笠原諸島海域のピンク色が熱水活動域、朱色が鉄マンガンクラスト、
黄色がメタンハイドレートの賦存を記されている。右下方に第五海山、南鳥島がある。数多くの海山にクラストが賦存していることが
分かる。 |