一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
地球深部探査船「ちきゅう」 (模型1/300)
画像は日本が誇る最新鋭の海洋地殻大深度掘削船「ちきゅう」の模型 (model of deep sea drilling vessel CHIKYU/scale: 1/300) である。
東京・国立科学博物館で開催された特別展「深海」 (2013年7月7日~10月9日) において展示された。
将来いつの時点かで十分起こりうると懸念されるのが南海トラフ海底下などを震源とする巨大地震である。
日本列島周辺では、4つの地殻プレートがぶつかり合い、なせめぎ合い、沈み込んだり乗り上げたりしている。
将来、それらのひずみや跳ね上がりの蓄積されたエネルギーが放出され、巨大地震にもつながる。
探査船「ちちゅう」は、海底地殻への大深度掘削とその科学的研究を通じて、その巨大地震のメカニズム解明に更なる貢献を果たすに違いない。
画像は余り鮮明ではないが、そのメカニズム解明と巨大地震予知の向上への期待を込めて、敢えてこの一枚の画像を特選して
アップしたい。
「ちきゅう」の主要目: 全長210m、総トン数56,752トン、航海速力12ノット、乗員200名。2005年7月完成。 試料分析によって、巨大地震の発生メカニズム、地球内部の地質・化学・物理的構造、生命の起源、地球全体の自然環境の変動史、 海底鉱物資源の生成など、未知なるものの解明に挑んで来た。「ちきゅう」はその謎の解明のためのツールであり、 最先端技術がそこに凝集されている。 現在は、日本・米国が主導する「統合国際深海掘削計画(IODP)」の主力探査船として活動する。
[2013.10.4 東京・国立科学博物館特別展「深海」にて][拡大画像: x25627.jpg]][拡大画像: x25628.jpg]]
[拡大画像: x25629.jpg: 説明書き]
地球表面は10数枚の岩板 (プレート) で覆われている。日本列島周辺では、4つのプレートがせめぎ合う。即ち、太平洋プレート、 北米プレート (オホーツクプレート)、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート(アムールプレート)である。 位置関係を簡略に述べると(下図参照)、太平洋プレートとユーラシアプレートとの間に、別の2つのプレートがサンドイッチのように はさまれている。その2つのプレートとは、日本列島北部を乗せた北米プレートおよび伊豆小笠原諸島を乗せたフィリピン海プレートであり、 北と南からせめぎ合っている。
太平洋プレートは、日本列島・伊豆小笠原諸島東側の太平洋において、北米プレートおよびフィリピン海プレートの下方に潜り込み、
日本海溝などの水深6000mを越える海溝の連なりを形成している。 日本海溝よりも東側の海底は、8000万年よりも古い海洋底 (oceanic crust) でできているが、日本海の海底、四国・紀伊半島南方に広がる 四国海盆は、約1500万年前までにできたものである。沖縄・南西諸島の西側沿いに広がる沖縄トラフ (舟状海盆) は、大陸が裂けて 現在も沈降している海底である。沖縄トラフは200万年前から沈降を始めたもので、その南部域では水深2000m以上に達するが、 北部域へ向かうにつれて浅くなり、水深は600~800mほどである。 [参照: 特別展でのパネル説明] 地球の海は40億年前に誕生した。そして、海洋底が乗っかっているプレートは、その拡大軸である海嶺において造られ、 海溝部においてマントル内部へと沈んで行く。因みに太平洋では、東太平洋海嶺において、プレートが新たに造られ、 東西方向へ移動して行く (プレートテクトニックス理論)。同海嶺の拡大軸の東西域ではプレートが誕生したばかりで、 その年代は最も新しいものであるが、地質的年代を経て次第に古くなって行く。 大陸地殻の岩石の年代は40億年にも遡るのに比べ、海洋地殻の岩石は最古のものでも1億8000万年と若い。海洋底は海嶺から 遠ざかるに従い古い年代となる。世界最古の海洋底は、太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈み込んで形成されている 日本海溝の東側に広がる小笠原諸島東部域のものとされ、1億5000万年以上の古い海底である。
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![]() ![]() 2. 日本列島周辺で4つのプレートがせめぎ合う。 [拡大画像: x25654.jpg/出典: 特別展展示パネル]
[参考] センターウェル: center well [例えば、水中エレベーター(SDC)、ダイビングベル(潜水鐘)などの機器を、海中から船上へ、
または船上から海中へ揚降するために、船体中央部に設けられた吹き抜け状 (または井戸状) の開口部]. |