一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
港内のアシカ天国 (集団繁殖地) [アルゼンチン/マル・デル・プラタ]
南米アルゼンチンの首都ブエノス・アイレスから南東へ400km余りの距離に位置するマル・デル・プラタ。商・漁・軍港の町であり、
海浜リゾート&避暑地でもある。夏ともなれば(日本の冬期)、海水浴、ショッピング、シーフード・グルメ、カジノなどを楽しむ
大勢の観光客で人口が倍加し、50万人以上の大都会に膨れ上がる。
マル・デル・プラタの港は市街地のはずれにある。市街地の最大のランドマークの一つであるカジノから海岸線に沿って数kmほどたどると、先ず 海軍基地 (潜水艦基地でもある) にいたる。その少し先に行くと漁港地区があり、船溜まりには数多くの小型沿岸漁船や近海漁船が 係留されている。同地区内には10軒ほどのシーフード・レストランが集積するコンプレックスがあり、12月~翌年2月頃の夏季のみならず、 毎週末にはたいてい大勢の観光客で賑わう(コンプレックスの隣接地には国立漁業学校 Escuela Nacional de Pesca があるが、 1980年代に日本政府のODA無償資金協力によって建設されたものである)。 商・漁・軍港は2本の長い防波堤に取り囲まれている。短い防波堤が上の画像の右端に見える(港の入り口はその右先端部にある)。 画像は、長い方の防波堤の中ほどから港内を見渡したもので、背後には海岸線沿いに立つ高層住宅群の摩天楼 が広がる。眼下に見えるのは、港内の一角にあるアシカの集団繁殖地(ルッカリー rookery)である。 アシカ(lobos marinos, sea lions)たちは、港内の自然環境下にある、いわば天国のような浜辺でのんびりと憩っている。 大都会のすぐ隣接地にこんな自然の繁殖地があるのも珍しいことであろう。 アシカの行動範囲は港内の最奥にある小型沿岸漁船(ランチャ・ペスケーラ lancha pesquera)の溜り場まで伸びていて、時には我が物顔で、 係留されているランチャの甲板にまではい上がり、漁師の貴重な捕獲魚を奪い取って行く。稀ではあるが、2、3頭のアシカの重みで重心が大きく 偏り、漁船が転覆することさえあるという。アシカは観光客には人気の対象であるが、沿岸漁師からは不人気な存在である。 漁師がアシカをいちいち追い立てるのは危険なので、港の埠頭では、何頭もの番犬がそんな厄介者を追い立てる役をこなす。アシカと 番犬たちとの間の相対の睨み合いが小 1 時間も続くこともある。アザラシにとっては港内のすべての区域が天国ということでは なさそうである。 [2014.3.20-21 アルゼンチン、マル・デル・プラタの港にて][拡大画像: x26393.jpg] |
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