一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
マル・デル・プラタ港の海&船風景 (その 1)/修理中の沿岸漁船
[アルゼンチン]
南米アルゼンチンのマル・デル・プラタ港内には重要な海軍基地があり、その中には潜水艦基地を併せもつ。また、同港はアルゼンチン
有数の商港および漁港の一つでもある。画像はその港内の漁港区域における一風景である。修理中の木造漁船は5、6トンほどであろうか、
色分けされたオレンジ色の船体は日帰り操業を行なう小型沿岸漁船 (lancha costera de pesca) を示している。
アルゼンチンの大西洋岸沖合には広大な大陸棚が広がり、海洋生物学的な基礎生産力は高く、世界でも有数の漁場となっている。 南赤道海流が大西洋の赤道辺りを西方に流れるが、その流れは南米大陸に阻まれて南北方向に分岐する。南下する分流が暖流系の ブラジル海流である。 他方、南極大陸の沖合を南極還流が時計回りに周回する。同還流がドレーク海峡 (南米大陸と南極大陸との間の海峡) を流れた後、 その分流がアルゼンチン南部のパタゴニアの陸地沿いに廻り込み、寒流系のフォークランド海流となって北上する。 そして、バイア・ブランカ沖辺りで、ブラジル海流と混じり合う。 アルゼンチンとは地球のほぼ正反対に位置する日本についていえば、暖流系の黒潮(日本海流)が列島沿いに北上し、 また寒流系の親潮(千島海流)が南下し、金華山辺りの沖合で混じり合うという海洋環境とよく似ている。いずれにせよ、 アルゼンチンおよび日本周辺海域は世界有数の好漁場を形成している。日本人と同様、アルゼンチン国民はこの自然環境から多大な恩恵を 受けている。マクロ的にはそういうことであるが、ミクロ的に観た場合沿岸漁船による零細漁業者の経営状態はいががなものであろうか、 関心の一つである。 [2014.3.20-21 アルゼンチン/マル・デル・プラタの漁港にて][拡大画像: x26404.jpg] |
1![]() ![]() 1. 修理・塗装中の鉄製の小型沿岸漁船。船体には電話番号と共に「vendo」(売ります)とペンキ書きされている。アルゼンチンでは、 例えば自動車の窓に「売ります」というメモ書きを貼り付けたり、その屋根にブリキ缶を載せて売り物であることの意思表示をすることが 日常的に行われている。 [拡大画像: x26405.jpg]
2. 21世紀にして、南米の大国アルゼンチンにて、今なおこんな古風なクレーンを大事に使っているとは驚きであり、また何となく
微笑みたくなる。小回りが利いて経済的であるがゆえに今もって重宝がられるのであろう。 [拡大画像: x26406.jpg]
![]() 4 ![]() 4. 船体が全面的に赤く塗られた大小の近海漁船。通常、1週間ほどの操業を行なう。パタゴニア方面では更に大型の4~5000トン クラスの遠洋漁船が従事する。 [拡大画像: x26408.jpg] |