一枚の特選フォト⌈海 ＆ 船⌋

飛行機エンジン搭載のレーシング・ボート「ミス・ブリテンIII号」
[英国グリニッジ・国立海洋博物館]

画像は英国グリニッジの国立海洋博物館に展示されている、飛行機エンジン (改造) を搭載したレーシング・ボート「ミス・ブリテンIII号」 である。 展示説明パネルには、「浮かぶ飛行機エンジン」と題して、そのレーシング・ボートの開発略史が記されている。 開発初期の頃のエンジンは、英空軍戦闘機や「Scott-Paine's Imperial Airways」の旅客機を推進させるのに用いられた。1929年 になって、「スーパーマリン」のレーシング用飛行機に据え付けられた「Napier Lionエンジン」は、飛行速度として時速336マイル (1マイル＝約1.609km) という世界記録を打ち立て、国際シュナイダー・トロフィを勝ち取った。Hubert Scott-Paineは、 このエンジンを「ミス・ブリテン号 (Miss Britain III)」において使用することにして、再設計を施した。1933年、同号は英国南部の サウサンプトン水域において時速100マイル (約160km) を達成し、海を走行する最速ボートとなった。 Aircraft engine afloat Early versions of the engine were used to power Royal Air Force fighter aircraft and the passenger fleet of Scott-Paine's Imperial Airways. In 1929 a Napier Lion engine fitted in the Supermarine racing plane won the International Schneider Trophy, setting a world air-speed record of 336 miles per hour. Hubert Scott-Paine chose and redesigned this engine for use in Miss Britain III. In 1933 she reached 100 mph on Southsampton Water, becoming the fastes boat on salt water. 更に別パネルには次のように記されている。飛行艇 (flying boat フライイングボート; floatplane)、及び海軍の高速艇のパイオニア であるHubert Scott-Paineは、1933年に、飛行機のノウハウを「ミス・ブリテンIII号」に応用した。 木・アルミニウム製のフレームで出来た艇体は、「Aclad」という高度に研磨された純正アルミニウムで被覆された。 それは速力を増大させ、また海水による腐食に抗力をもたらした。同号の重量はわずか1.5トンであるのに対して、ライバルである 米国の「ミス・アメリカX号」は全て木製で重量は7トンであった。2艇は、1933年、国際ハームスワース・トロフィをかけてレース を行なった。「ミス・ブリテンIII号」はわずかの差で敗北に帰した。だが、同号の設計において新材料が賢明に使用されたことは、 第二次大戦中における海軍の高速魚雷艇や小型砲艦 (ガンボート gunboat) の大変重要な開発へとつながって行った。 How did Miss Britain inspire boats of World War II? A search for speed dominated the 1920s and 1930s. In 1933 Hubert Scott-Paine, a pioneer of flying boats and fast naval craft, applied aircraft know-how to the design of Miss Britain III. Her wooden-and-aluminium-framed hull was covered in Alclad, a highly polished pure aluminium. This increased her speed and resisted corrision in salt water. Miss Britain weighed only 1.5 tons compared to her 7-ton all-wood American rival, Miss America X. In 1933, the two boats raced each other in the USA for the International Harmsworth Trophy, watched by over 250,000 people. Miss Britain was narrowly beated but the clever use of new materials in her design let to the crucial development of fast naval torpedo boats and gunboats during World War II. [2013.6.3-4 英国グリニッジ・国立海洋博物館にて][拡大画像: x25747.jpg]

1 2 3 1.　[拡大画像: x25748.jpg] 2.　操縦席(コックピット)　[拡大画像: x25749.jpg][拡大画像: x25750.jpg: 説明書き][拡大画像: x25751.jpg:　説明書き] 3.　「ミス・ブリテンIII号」のエンジンは、Napier Lionエンジンが再設計され改造されたものであり、1929～33年頃にロンドンの D. Napier & Sons Ltdによって製造された。　[拡大画像: x25687.jpg]