一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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海水と人体の成分比較を「形あるもので見せる」(模型)
[台湾/国立海洋科学技術博物館]

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画像は台湾北部の港湾都市・基隆にある国立海洋科学技術博物館 (National Museum of Marine Science and Technology) における展示物の一つである。 海水と人体を組成する成分の比率を比較している。単に平面的で数値的表ではなく、シンプルながらも「形あるもので見せる」という 立体的展示にこだわっている。さらに、組成比率を視覚的に理解できるように工夫されている。成分量を球の大きさではなく、 成分ごとに色分けした球の量をもって比較し、海水と人体の組成比率が似かよっていることを示そうとしている。

子どもたちは、このカラフルなピンポン球のようなボールを詰め込んだ人体型展示物を見た瞬間、「レッドカラーのボールがかなり多いけれど、 一体これは何を示しているの?」。子供たちは興味を示し疑問も呈したり、またいろいろなことを想像しながら観るのではないだろうか。

博物館の展示品製作者や学芸員らは、子どもたちに素通りされないように、展示手法にあの手この手で工夫をこらす。 海水と人体の成分やそれらの比率についても、少しでも興味を惹起できればと、このような工夫がなされている。 「これは何だろうと、先ずは気づいてもらいたい。少しでも立ち止まって展示の内容や意味を知ってもらいたい」という博物館側の関係者 の思いが伝わってくる。

画像2&3のグラフを基に海水と人体成分の比較表を作成した。数値のみの羅列を眺めるだけでは、理解するのに長い思考回路を経なければ ならない。
Compositional Differences between Seawater and Human Body
元素名称Oxygen(O)Hydrogen(H)Chlorine(Cl) Sodium(Na)Magnesium(Mg) Sulfur(S)Calcium(Ca) Potassium(K) Carbon(C)
人体成分65% 10% 0.15% 0.15% 0.05% 0.25% 1.4% 0.25% 18%
海水成分 85.84% 10.82% 1.94% 1.08% 0.1292% 0.091% 0.04% 0.04% 0.0028%

画像2&3のように、グラフ化して比較すると海水と人体の組成比率が極めて類似していることが一目瞭然となり、分かりやすい。 他方で、ボールによる立体展示にあっては、水(H2O)以外のボールの量が少なく、レッドカラーのボール・水分ばかりが目立ち、 水以外の成分に関しその組成比率が類似するということが即座に伝わりにくいかもしれない。

博物館では、この海水・人体成分比率立体展示の他に、「海に関する原理や科学的事実を形あるもので見せる」という、 子どもたちにも大変分かりやすい展示がたくさんある。因みに、 水圧、水中での音の伝播、浸透圧、光度、コリオリの原理、風波とうねり、潮汐現象を発生させる太陽・地球・月の 位置関係など、海洋の原理・現象を「形あるもので可視化する」工夫がふんだんに採りいれられている。

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3x画像なし

[台湾訪問: 2017.2.27-3.6/国立海洋科学技術館訪問: 2017.2.28 & 3.1]
1.[拡大画像: x27492.jpg] 2&3.[拡大画像: x28201.jpg]


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