北極海をめぐるいくつかの視座について
1. 地球温暖化によって北極海の海氷の融解が進み、その氷海面積が縮小しつつある。いずれそれほど遠くない将来に
北極海航路が通年にわたり通航可能となる可能性がある。北極海航路はスエズ運河経由の南回り航路よりも距離的にかなり短い。
他方、利用率が高まれば高まるほど、船舶による環境問題に高い関心が寄せられている。航海・航行に関するいかなる国際ルール
やレジームが必要とされるか、またその実効性の確保について人類の英知が求められる。
2. 北極海には豊富な海底石油・ガスが埋蔵されると見込まれている。脆弱性の極めて高い北極海やその周辺の環境を保全しつつ、
海底資源開発がなされるべきか、その国際的ルールやレジームにも関心が寄せられている。環境破壊を防止し抑制するための
技術的進歩が期待されると共に、国際的環境監視 (モニタリング)制度、環境汚染に対する高額罰則金の課徴法制などが検討されるべき
であろう。
3. 現行国際海洋法からすれば、北極海での200海里排他的経済水域の線引き (境界画定) が、他の地域と同じく、
地理的偶然によって北極海の資源管轄権益が配分されることになろう。さらに大陸棚が200海里を越えて延びている場合は、
その権益はさらに延伸されることになる。
既にロシアなどの沿岸国が国連大陸棚委員会にその延伸を申請してきた。その他の沿岸諸国も延伸へのチャレンジを進めよう。
国家の管轄権の及ばない海底およびその下の資源については国際海底機構が管理する。人類の共同財産としての海底およびその下の資源の
行方について関心が高まる。
最近の報道によれば、日本では北極海での科学的調査に主に投入される観測砕氷船の建造が計画されている。
[画像撮影: 2017.8.2. 南極・北極科学館 (Polar Science Museum) にて][拡大画像: x27918.jpg][拡大画像: x27919.jpg]