一枚の特選フォト「海 & 船」
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画像1&2は、「熈代勝覧」(きだいしょうらん)と称される長大の絵巻の一部を切り撮ったものである。
絵巻はベルリン国立アジア美術館が所蔵するものの複製版である。展示場所は東京・丸ノ内線「三越前」駅の地下通路の三越側の側壁である。
絵巻が描かれる「時」は、江戸時代11代将軍徳川家斉の世の文化2年(1805年)の頃、「所」は日本橋から神田・今川橋までの大通りである。その間には7つの 町があった。絵巻には、江戸の繁華の街並みと行き交う人々が描かれる。何と全部で1671名の人が描かれる。その他、犬20匹、馬13頭、牛4頭、 猿1匹、鷹2羽が描写されている。庶民らが活き活きと生活する江戸市中の様子が描かれ、圧巻と言う他ない。 「熈代勝覧」とは「熈(かがや)ける御代(みよ)の勝(すぐ)れたる大江戸の景観」をとくとご覧あれ、ということらしい。 画像2には、日本橋川に架かる日本橋の北橋詰(きたはしづめ)傍の河岸(かし)へ魚を荷揚げする様子も描かれている。 画像1はその部分を切り撮って拡大したものである。 画像1の左端中央に見えるのは、6人の漕ぎ手によって櫓で操つられている「押送り船(おしおくりぶね)」である。押送り船とは、 房総あたりの近海魚を活きのよいまま魚河岸に直送した、六挺櫓(ろくちょうろ)の高速艇のことである。絵巻では、日本橋上での賑わいに加え、 その北橋詰から神田・今川橋までの大通りの賑わいの様子が活描されている。 [撮影: 2020.1.21/東京・丸ノ内線「三越前」の地下通路]
1. [拡大画像: x28574.jpg][拡大画像: x28575.jpg] |