一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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京都伏見の運河沿いウォーターフロントの今昔寸景

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「昭和はじめ頃の伏見の浜」の風景。酒蔵の建つ運河沿いの積み出し浜から宇治川を経て大阪などの各地へ輸送された。 「宇治川派流」(伏見港から平戸樋門にかけての運河/画像3の地図参照)の両岸は総称して「伏見浜」と呼ばれる荷揚げ場が集積していた。画像出典:「三栖閘門資料館」の展示パネル 「舟運によって栄えた港町・伏見」。 [拡大画像: x28824.jpg][拡大画像(出典パネル): x28815.jpg]

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「伏見港の船(昭和初期)」。画像出典: 「三栖閘門資料館」の展示パネル「伏見港の船」。  [拡大画像: x28825.jpg][拡大画像: x28826.jpg(出典パネル)]

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画像最左端の、街中を南北に流れるのが東高瀬川。伏見の町を洪水から防御するために、旧高瀬川が付け替えられたもの。 /伏見市街の観光案内拡大地図(+z23653.jpg)をご覧ください。

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現在の宇治川派流と運河風景。弁天橋(辨天橋)から観光用十石船の発着場を臨む。 [類似画像(z23,696.jpg、x28813.jpg)]

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京橋のたもとの船着き場風景。右側の対岸に三十石船の発着場がある。


江戸時代、伏見港は、大阪と伏見を結んで旅人を運ぶ三十石船や、荷物専用の輸送船が発着し大いに賑わった。特に、現在市中の 「宇治川派流」と位置づけられる運河の両岸の浜には、旅客を運ぶ舟の発着場や荷物の積み降ろし場が連なっていた。

ところで、1917年(大正6年)の伏見大洪水を機に、伏見の町の水害防御と舟運の発展を期して、三栖(みす)閘門をはじめとする伏見 防水工事がなされた。工事以前の宇治川の流れは、観月橋(画像3の地図参照・右端中央部)の下流から北側へ入り込み、また寺田屋の前が 船着き場になっていて、周辺一帯は葦原であった。観月橋北詰から三栖にかけてのほぼ1.2kmに渡り築堤がなされ、宇治川による洪水を 防御すると共に、街中を流れる旧高瀬川を付け替えるために東高瀬川(地図・最左端)を開削し、宇治川へ注ぎ出るようにするなどの工事を施した。

宇治川派流東詰めの平戸樋門から、同派流に架かる京橋までの水路は後に岸を埋め立てられ、伏見港の中心であった京橋以南の水路や「伏見浜」 と呼ばれた浜も姿を消した。そして、近年、伏見港一帯が「伏見港公園」として整備された。 即ち、1963年(昭和38年)伏見港の船溜まりの埋め立てが決定され、1968年(昭和43年)には埋め立て工事が完了し、埋め立て地が伏見港公園 として整備された。


宇治川派流の南側の「辨天浜」に建つ、「宇治川派流域の歴史」と題する案内板(1)には次のように記される(原文のまま)。

    「伏見港・宇治川派流は文禄3年(1594)豊臣秀吉の伏見城築城にともなう建築資材を運ぶため、宇治川の流路改修工事によりつくられた 内陸の河川港です。
     伏見城の外堀りであった濠川につながる宇治川派流沿いには江戸時代に問屋、宿屋、酒蔵が建てられ、米や薪炭、できた酒などを運ぶ 小舟が往来していました。現在も柳に酒蔵が映える往時の佇まいを残しています。
     淀川三十石船をはじめとする大小の船で賑わった伏見港の中心地は現在の京橋付近でした。
     前を流れる宇治川派流の両岸は総称して伏見浜と呼ばれる荷揚げ場で、辨天橋の西は主に材木を荷揚げしたことから 本材木町という町名が残されています。
     月桂冠旧本店のある付近は馬借前として、大阪からの旅人や船から荷揚げされた物資が馬や荷車に積み替えられ、 陸路を行くための中継基地として繁栄を極めました。なお、このあたりの浜は、辨天浜とも言われています。」

案内板(1)の図絵「江戸時代の京橋あたり」。

また、同じく宇治川派流南側の辨天浜に建つ案内板(2)には、以下のように記される(原文のまま)。

    ここを辨天浜と言う。( … 中略 …)。又、向側を大倉浜と言い明治二十二年東海道線の開通を見るまで、この浜で米が降ろされ、 酒が積み込まれたところである。この浜の北側は「伏見南浜港」といわれて江戸時代は参勤交代の大名の御座船を初め、三十石船、伏見船 の発着点として日本でもめずらしい河港であった。( … 以下略 … ) 洛南保勝会

案内板(2)の図絵「江戸末期の淀川三十石船」。 [拡大画像: x28831.jpg]

[撮影年月日:2020.10.5/撮影場所: 京都伏見街中と「三栖閘門資料館」(画像1・2)]


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