一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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古代ギリシア時代のキレニア沈没船(模型)

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    画像は名古屋海洋博物館に展示されるキレニア沈没船の模型(約14分の1)である。キレニア沈船は、東地中海のキプロス島北部沿岸の 町キレニア(Kyrenia)の沖の海底において発見された、木造の交易船である。1965年に地元のスポンジ採集漁師のダイバーが水深約27mの海底で発見していた。 そして、キレニア沈船は、1968年から1969年にかけて、米国の「船舶考古学研究所(Institute of Nautical Archaeology: INA) によって発掘調査が行われた(同研究所は後に「テキサスA&M大学」に「船舶考古学科」を開設することになる)。 発掘された同沈船は、その後10年以上の歳月をかけて保存処理と解析が行なわれた。

    海底から発掘され復元されたキレニア沈船、現在はキプロス島にあるキレニア城の博物館(The Kyrenia Shipwreck Museum/Batik Gemi Müzesi  キレニア沈船博物館/難破船博物館) に展示されている。 年輪年代測定法によると、同号は紀元前325年頃に建造され、その積み荷などから紀元前3世紀初期(紀元前290年頃)に沈んだものと判明している。 現存する最も保存状態のよい古代ギリシア文明当時の沈船として知られる。 因みに、復元図によれば、全長は約14m、最大幅4.4mである。排水量は33トン、最大積載量は25トンである。

    同沈船から発掘された積み荷の大部分はアンフォラ(壺 amphora)であった。因みに、アンフォラ404個や石臼29個であった。 404個のアンフォラのうち、343~360個のアンフォラがロードス島で製造されたもの、次いで多かったのはサモス島で製造されたかめ(jars) であった。アンフォラやかめは重量物であるがゆえに、船体は砂地の海底に埋もれていた。そのため船体部材の保存状態が大変良好であったと 見られている。因みに、キール(竜骨)の全体、船首部の半分、マスト・ステップ、22条におよぶ外板、シーリング・プランキングなどの部位 も遺されていた。

    [参考資料]
    ・ ホームページ「Hi-Story of the Seven Seas 水中考古学者と7つの海の物語」の中の「古代船研究の最高峰、キレニア沈没船(紀元前290年頃)」 と題する解説ページ。ウェブURL: https://suichukoukogaku.com/kyrenia-wreck/

    [画像撮影年月日:2020.9.23/撮影場所: 名古屋海洋博物館]
    1. [拡大画像: x28934.jpg]
    2. [拡大画像: x28940.jpg]


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