一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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グラブバケットとグラブ式浚渫船、プッシャーボートと土砂運搬バージ

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画像は、名古屋海洋博物館に展示される浚渫用グラブバケット(grab bucket)、浚渫船、プッシャーボート(pusher boat)とそれに連結されたバージの模型である。

展示パネルによれば、名古屋港の築造工事は明治29年(1896年)から始まった。当時は水深が1メートルほどしかない遠浅の海であったので、 浚渫する必要があった。展示のグラブバケット(画像1)は、昭和40年頃まで使用されていたものの原寸大レプリカである。一度に約2立法メートルの土砂を 掴むことができたという。

画像2は浚渫船「東祥・五祥」の模型である。画像3はプッシャーボートに連結される浚渫土運搬バージの模型である。 浚渫船主要目: 全長100m、幅36.0m、深さ6.0m、喫水3.6m 、主発電用エンジン3,800ps×3基。浚渫機の最大吊上能力は690トン、最大浚渫能力は 6,000m3/hr.、最大浚渫深度は△30mである。グラブバケット: 駆動方式は電動油圧式、容量200m3、自重370トンである。

画像4・5は、押航船「徳晴丸」の模型。押船であるが、曳船にもなる。総トン数125トン、全長21.86m×幅8.2m×深さ3.2m、主機関1,000ps×2基。 連結方式は二点可動ピン&ワイヤー、載貨重量3,855D/w、船倉容積2,142m3、平成12年竣工、建造は石川播磨重工。

展示パネルによれば、海底などの土砂を取り除く浚渫法には大きく分けて、グラブ浚渫工法、ポンプ浚渫工法、ドラグサクション浚渫工法がある。
(1)グラブ浚渫工法は、グラブバケットと呼ばれるショベルをもって海底などの土砂を掴み上げる方式。水深や底質上の制限が少なく、 また岸壁近くや狭い水域でも浚渫作業を行えるのが特徴である。
(2)ポンプ浚渫工法は、浚渫船を固定するためスパッド(spud)と呼ばれる杭を船台上から海底に打ち込み、海底の土砂をカッターで切り崩し ながらポンプで吸い上げる方式。
(3)ドラグサクション浚渫工法は、航行しながら、浚渫ポンプ吸入管の先端に取り付けたドラグヘッドから海底の土砂を水と共に 吸い上げる方式。いわば掃除機の吸引管先端の吸引口からゴミを吸い込む方式と同じである。

[参考] spud: n.スパッド [浚渫船の船尾に備え付けられる鋼製ポスト・杭(=anchoring spud)。船台からそれを海底・川底に打ち込み、底盤に貫入させ船を固定 (停留・係留)させるもの]

[撮影年月日:2020.9.23/撮影場所: 名古屋海洋博物館]
1. グラブバケット、寄贈:全国浚渫業協会、日本埋立浚渫協会。 [拡大画像: x28976.jpg]
2-3. [拡大画像: x28979.jpg][拡大画像: x28980.jpg]
4-5. 「徳晴丸」。 [拡大画像: x28977.jpg][拡大画像: x28978.jpg]

 [拡大画像: x28981.jpg]


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