一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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南極観測船「ふじ」/船内探訪(実写)

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画像1は、名古屋港ガーデン埠頭に係留・一般公開される南極観測船「ふじ」である。右端に写る白亜の建物は、その一部が「名古屋海洋博物館」 となっている名古屋港ポートタワーである。タワー最上階は展望室で、名古屋港をぐるり360度見渡せる。画像2は「ふじ」のフライトデッキである。  [拡大画像: x28995.jpg][拡大画像: x28996.jpg]

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1. 士官寝室の一例。艦長以外の「ふじ」の幹部(士官)約30名のための居室は、予備室2部屋を含めて全部で17室ある。 普通は2名1室。8畳ほどのスペースには、パイプ製2段ベッド一台、机・ロッカー・洗面台などの設備がある。
2. 医務室。「ふじ」の約5か月間の日本・南極との航海中、専門医師が乗船者約240名の健康を預かる。手術設備もある。専門医師が治療、衛生教育、 健康診断に当たる。
3. 先任海曹寝室(senior petty officer cabin)の一例。先任海曹(下士官の主だった者)約10名のための居室。三段ベッド5台、机・棚・ ロッカー・テーブルなど配備される。専用トイレ・浴室がある。

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4. 第二居住区。幹部乗組員と先任海曹を除く一般乗組員約105名のための居室。約150m2のスペースに 3段ベッド27台、2段ベッド14台が置かれる。船首部にも、第一居住区として、同じように60名分の居室がある。 
5. 観測隊員寝室 (research expedition bunkroom)。観測隊員のため居室で、同じフロアに18室が並ぶ。2名部屋と4名部屋がある。 ベッド・机・ソファ・洗面台付きだが、バス・トイレはない。 


6. NIPRORI-I型の海上重力計(Marine Gravity Meter)
[拡大画像: x28997.jpg][拡大画像: x28998.jpg: 説明書き]

展示パネル説明によれば、重力測定は地球内部の有り様、地震を引き起こす力などを知ることに繋がる。海洋における重力を知る方法の一つが、海上重力計による 測定である。下記の5つの装置で構成される。
1)重力プラットフォーム(sea gravimeter)(下段最左):「鉛直ジャイロ」からの信号によって、重力計センサーが常に 水平の台の上に置かれるようになっている。そのため、船がどんなに揺れても重力を測定することができる。
2)鉛直ジャイロ(下段最右): 常に鉛直方向(地球の表面に垂直な方向)を保ち、「重力プラットフォーム」をコントロールする。
3)ジャイロコンパス(下段中央): 常に北の方向を指示し、「鉛直ジャイロ」とともに「重力プラットフォーム」 をコントロールし、船がどんなに揺れても正しい重力値を得ることができる。
4)コンパスレピーター(上段左):「ジャイロコンパス」の情報が表示され、船の進行方向が示される。
5)ジャイロ制御装置(上段右): 「鉛直ジャイロ」や「ジャイロコンパス」からの信号をコンピューターに 送り、コンピューターからの指示を「重力プラットホーム」に送る。

7「ふじ」の船橋。

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「「砕氷艦」としての特殊な構造」と題する展示パネルによれば、砕氷するために「ふじ」の船首部の鉄板の厚さは一般船舶のそれに比して3倍の 45mmもある。また、船を前後左右に揺らして氷を割るシステムとして、一対の「トリミングタンク」(船を前後に傾ける装置)、三対のヒー リングタンク(左右に揺する装置)を装備し、このシステム利用によって80㎝までの厚さの氷を割りながら進めるという(図参照)。

「ふじ」は氷の薄いところでは連続砕氷(トリミング)で進めるが、厚いところでは体当たりで氷を割って進む「チャージング航法」を 行う(現在は「ラミング航法」と呼ばれる)。氷が割れない時は、200mほど後退し、最大馬力で前進し、氷に体当たりするとともに、氷に乗り上げ 艦の自重で氷を砕く。過去における体当たりの回数の最少は第10次隊の38回、最多は第13次隊の6,737回であったと記される。

更に、「ふじ」は厚氷への体当たり航法を可能にするための特殊なエンジンを装備している。 一般的な船舶はディーゼルエンジンでスクリューを回すが、「ふじ」のエンジンは「直流ディーゼル電気推進方式」を採用している。 これはディーゼルエンジンで発電し、その電気でもってスクリューを回す。ディーゼルエンジンでスクリューを回す船舶に比べ、チャージングなど を行うための前進後退や急激な増減速をスムーズに行える、と記される。
「ふじ」の装備要目: 1~3号主発電機、1~4号推進発電機、1~4号推進電動機、補助ボイラー。

* 「チャージング charging」には「突撃する」という意味がある。「ラミング ramming」の動詞「ram」)には、「vt.[敵艦など]に衝角を突き当てる、 衝角で突く、船首で衝撃する; 突き当てる[against, at …]」という意味がある.




日本の歴代の南極観測船
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1. 名古屋海洋博物館のすぐ傍の名古屋港ガーデン埠頭に係留・一般公開される南極観測船「ふじ」(南極の博物館)の 船内には、歴代の観測船の模型や事績紹介パネルなどが展示される。 [拡大画像: x28935.jpg]

歴代の南極観測船の主要目比較表
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2. [拡大画像: x28999.jpg]

[撮影年月日:2020.9.23/全ての画像の出典: 名古屋海洋博物館]


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