一枚の特選フォト「海 & 船」
利根川水系における船と水にまつわる文化・信仰
(船神輿・御座船など)
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画像1~3は千葉県立関宿城博物館に展示されるパネル写真の一部である。
利根川流域には、船の航行や水上での安全への願いと、天然痘(疱瘡・ほうそう)除けを願うアンバ信仰が広く分布する。同信仰の中心地は
茨城県稲敷市の「阿波大杉神社」とされる。同神社はアンバ信仰の発祥の地であり、その分社が関東各地に点在している。社殿には水運関係者が
奉納した天狗絵馬などが飾られ、水上安全を願う信仰心の篤さを伝える。
画像1は大杉神社の札を各戸に配る際に使われた神輿(みこし)である。船の形をしているところに特徴を見て取れる。水上安全の篤い願いが 込められている。こうした船神輿は利根川・江戸川流域に見られることなどが、説明パネルに記される。 画像2・3は香取神宮の「式年神幸祭(しきねんじんこうさい)」に用いられる御座船の写真である。香取神社は、関東地域では主に利根川・江戸川 流域を中心に分布し、水運業や漁業に従事する多くの人々によって信仰される。それらの総本社は千葉県香取市にある香取神宮である。 同神宮では、12年に一度の午歳(うまのとし)に「式年神幸祭(しきねんじんこうさい)」(香取の神と鹿島の神が再会するという 一大祭事)という祭りが行なわれる。香取神宮からは、鷁首(げきしゅ)をつけた御座船が利根川を遡るという、水上祭りでもある。 [参考]鷁(げき)、鷁首とは、(1)鷁の頭、(2)鷁の頭の形の飾りを船首につけた船のことである。
[撮影年月日:2020.7.10/撮影場所: 千葉県立関宿城博物館] |