一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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近世における河川浚渫・改修土木工事の技法(図絵)

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画像1~3は、近世において用いられた各種の河川浚渫や改修土木工事の技法にまつわる図絵である。千葉県立関宿城博物館に展示される。

画像1は「底捲舩の図」と題する、浚渫船の図絵である。底を「捲くる(まくる・めくる)」舩(=船)と記される。要するに底を浚える船であるが、 よくよく見ると、車地をもって、鉤の付いた布地のようなものを後方に押しながらまくり上げるような仕組みに見える。だから、 底を「浚える」ではなく、底を「捲くる」という意味合いの漢字があてがわれているのであろうか。浚渫のアイデアが面白い。

画像2の図絵の題名は読み取れない。田植えをする前の準備として、耕した田んぼに水を引き込み、土砂を細かく砕いて均(なら)す (平にする、平準化する)作業が必要とされる。その際に、鉄釘を取り付けた角棒を牛や耕耘機で曳きずる。それと同じように、台船の車地をもって そのような角棒を曳いているように見える。底を浚える前に固い川床を砕いているのであろうか。

画像3は「杭打舩 杭打之図」と題する。梃の原理を応用して杭打ちをしている。因みに、江戸時代初期に隅田川に初めて大橋が架けられた。「千住大橋」 である。当時、川底に太長い丸太をどのように打ち込んだか。相当大掛かりな杭打ち台船にこの図絵のような仕組みを装備したに違いない。

博物館では、この他、さまざまな河川浚渫・改修土木工事などの技法や道具類が紹介されている。

画像:大型帆船でよく用いられる
竪型車地のキャプスタン/z9.gif
[参考]capstan: n.巻き揚げ機、車地(しゃち・しゃじ)、[竪車軸の]揚荷機、荷揚機(にあげき)、絞盤(こうばん)、キャプスタン [人力あるいは動力をもって、ロープ・鎖などを垂直軸の巻き胴に巻き取り、錨・円材などの重い物を巻き揚げたり、重量物を引っ張ったり するための、甲板上に装備された機械装置; 装置の頭部(capstan head)の周りの穴に車地棒(capstan bar)を差し込んで、 その棒を押しながら巻き揚げる] [西語] cabrestante.

[撮影年月日:2020.7.10/撮影場所: 千葉県立関宿城博物館]


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