一枚の特選フォト「海 & 船」
弥生時代中期(約2000年前)の人工遺物の「櫂」 [諏訪市立博物館]
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画像1は長野県諏訪市の市街地に位置する片羽町の遺跡から発掘された出土品の陳列である。1964年(昭和39年)、現JR上諏訪駅前のデパート建設中に発見された
遺跡である。緊急調査が諏訪考古学研究所によって実施された。地下約5mの土層中から縄文草創期の遺物がまとまって発見された。
「縄文草創期」とは縄文時代が始まった頃の名前である。
その陳列の最上部に収められた遺物は、弥生中期(約2000年前)の「櫂」である。説明パネルによれば、檜(ひのき)の仲間の「クロベ」という材木で作られ ている。手に持つ部分(柄の部分)は折れてしまっている。表面はデコボコしているが、周りは丁寧に磨かれている。標高約760mという高地 から発見された。大昔の舟の道具の発掘品は他に例がなく、大変貴重であると綴られている。 説明パネルには、弥生土器に描かれていたという舟を漕ぐ弥生人の図(奈良県唐古遺跡の例)が添えられている。 最右下の遺物は「土器片錘(どきへんすい)、縄文中期(約4000年前)」と記されている。縄文土器のかけらが魚取り用の「網」の「おもり」に 再利用されたものである。紐を掛けやすいように4辺のそれぞれに切り込みが入れられている。 土器片は紐で縛られ錘に仕立てられたことが示されている(画像3&4)。湖畔の村では、今から1万年も前から湖の周辺に多くの人々が居住し、村が営まれていた。 縄文時代の数多くの集落跡からは漁網のおもりに使われた石錘(せきすい)などが出土している。
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5 諏訪市立博物館の正面全景。 |