一枚の特選フォト「海 ＆ 船」

縄文時代中期 (4700年前) の丸木舟

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画像１・２は、東京・北区王子のJR王子駅に隣接する「飛鳥山公園」内にある「北区飛鳥山博物館」に展示される縄文時代中期 (4,700年前) の丸木舟である。館内展示パネルには、縄文時代の海進と関東地域南部域での海水の陸域への浸入などについて、大よそ次のように 語られている。 ・　現在から12～13万年前は、全地球的規模において温暖期にあり、海面水位は現在よりも５メートルほど髙かった。 因みに、関東地域では、房総半島中心部の台地を残して、千葉県の多くと埼玉県・東京都東部の地域、栃木県南部の地域が 海進によって没していた。関東地域では「古東京湾」と称される、広範囲にわたる湾入部が形成されていた。 ・　６万年前～１万年前までは、全地球規模的な寒冷期であり、最終氷期と称される。 ・　２万年前には、海面は現在よりも百数十メートルも低くなり、東京湾は浦賀沖まで陸地と化していた。そして、現在の江戸川・ 荒川・多摩川などは合流して、「古東京川」として海に注いでいた。(画像３) ・　１万年前以降の後氷期になると、再び全地球規模的な温暖化の時期が訪れた。その気候変動により再び海面上昇が起こり、 海の陸地への浸入（海進）がなされた。現在の東京湾北部の低地部は「奥東京湾」と呼ばれる海と化した。６～７千年前のピーク時には、 「奥東京湾」の内湾の先端が群馬県館林付近にまで伸びるほどであった。因みに、北区の低地部から松戸市が所在する下総台地 まで完全に海と化した。 2 「海を往く丸木舟」と題する本舟の展示パネルのキャプションには、次のように記される。 「縄文時代中期の頃、低地には海が広がり、大地のすぐ下には砂浜が続く海岸であった。丸木舟はその渚に横たわるような状態で 発見された。縄文人はこの船で海へ出て漁をしたり、交易のため遠い場所まで漕ぎ出して行ったのでしょう。 全長約5.8m、最大幅約70㎝。ニレ科ムクノキの一木(いちぼく)を最も厚い舟底でも5㎝になるまで石斧で削って造った。 縄文時代中期初頭の（約4700年前）の船。出土：　北区・中里遺跡」 なお、画像４の右図（縄文中期　約5000～4000年前）には、北区の「中里貝塚」が記されている。画像１の中央部背後に展示 される縦長の剥離標本（ピンク色）が「中里貝塚」のものである）。 3 4 1.　[拡大画像: x29117.jpg] 3.　パネル「日本列島の海岸線／最終氷期極相期（約２万年前）」より。　[拡大画像: x29119.jpg] 4.　[拡大画像: x29120.jpg] [撮影日・出典：2022.5.15／東京・北区飛鳥山博物館にて]