海洋総合辞典 Comprehensive Ocean Dictionary, 特選フォト・ギャラリーPhoto Gallery, 「ヴァーノン号」の片爪錨・停泊錨sailing ship <I>Verson</I> mooring anchor, オーストラリア国立海洋博物館 Australian National Maritime Museum, オーストラリアAustralia

一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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「ヴァーノン号」の片爪錨モニュメント

オーストラリア、シドニーの国立海洋博物館の入り口近くに設置された記念のモニュメント。 このモニュメントは、オーストラリアおよびその他の国々の商船の船乗りたちの犠牲の上に築かれた オーストラリアの繁栄と平和に思いを寄せて創られたものである。戦争で命を落とした世界の一般商船乗組員に 対するメモリアルでもある。それにはオーストラリア沿岸で水雷で犠牲となった多くの船乗りをも含んでいる。

これらの錨は19世紀の帆船「ヴァーノン号」を係留したもの。ヴァーノン号は、シドニー湾にて、刑務所船(a prisonn hulk)、訓練船、 あるいは少年たちの住みかとして用いられた。
モニュメントのガイドパネルには概略次のように記されている。

    これらのアドミラルティ型錨はもともと1939年時の商船「ヴァーノン号」のものであった。 ヴァーノン号が航海訓練船に改修され、シドニー・ハーバーのクッカトゥー島(Cockatoo Island)沖に常時係留されるように なった1867年以降のある時期に、同号の錨は係留用の錨(片爪錨、ムアリング・アンカー)へと改造されるにいたった。

    ヴァーノン号は1890年まで現役船として就航していた。1893年に火災で破壊されたが、その錨は係留用として利用され続けた。

    アドミラルティ型錨が係留用のそれに応用されるのはめずらしいことではなかった。錨を高温に熱することによって 錨爪が折り曲げられた。引き潮時に船体を損傷してしまわないように、係留用の錨はただ一つの爪をもつ。 木製のストック(錨かん)の用途は、錨がころがってどこかへ行ってしまわないよう錨を安定させることにある。 これらのストックは年代的に1905年にまで遡るが、もともとは保護のために銅で被覆されていた。

    これらの錨は、1992年に、オーストラリア船員連盟(現在はオーストラリア海事連盟)、およびニューサウス ウェールズ海事サービス委員会(当時)の後援をえてこの地に設置された。

[参考] mooring anchor: n.[港内海底に固定した]係留(係船)用錨、係船錨; 片爪錨; ムアリング・アンカー.
[2011.04.04-12 オーストラリア海洋博物館にて][拡大画像: x23538.jpg]




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1. オーストラリア国立海洋博物館の正面玄関前に設置されたモニュメント。博物館はダーリング・ハーバー(Darling Harbour)に 面する。画像では、歩行者専用の橋 (Pymont Bridge: 旗をなびかせている橋) がハーバーをまたぐ。ハーバーの 最奥部にはクックル・ベイ(Cockle Bay)がある。ベイと称されるが小さな小さな入り江である。 そのベイサイドにはレストランやバー、劇場、会議場などがひしめくとともに、オープン・パブリック・スペースも 広がり、市民・観光客らの憩いの場となっている。  [拡大画像: x23561.jpg][拡大画像: x23539.jpg][拡大画像: x23543.jpg: 説明書き]
2. 同上。 [拡大画像: x23540.jpg]

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3. 同上。錨の両側に出ている爪(anchor flukes)のうちの一方の爪が高熱で折り曲げられて、錨は片爪のように改造されて いるのが分かる。 [拡大画像: x23541.jpg]
4. 「Trainees on NSS Vernon man on the yards 1876」(1876年NSSヴァーノン号にて登檣礼をする訓練生)と 記されている。 [拡大画像: x23542.jpg]

辞典内関連サイト
・ 世界の海洋博物館
・ オーストラリアの海洋博物館
・ オーストラリア国立海洋博物館


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