一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
シドニーのフェリーボート&ハーバー・ブリッジ
オーストラリアのシドニーを象徴する建造物といえば、オペラハウス (ユネスコ世界文化遺産) であり、シドニー・
ハーバー・ブリッジである。シドニーは「ポート・ジャクソン (Port Jackson)」という奥行きの深い、しかも数多くの
入り江 (あるいは小湾) が複雑に入り組む湾の中ほどに位置する。
シドニーの中心街の一つは、鉄道駅「サーキュラー・キー (Circular Quay)」のある地区である。そこにはステート・トランジット
・フェリーの中央発着ターミナルがある。ターミナルの眼前に広がる小さな入り江はシドニー・コーブ (Sydney Cove) と呼ばれる。 1788年1月、英国から渡来したアーサー・フィリップが率いる最初の移民船団 (First Fleet) が、ポート・ジャクソン (シドニー ・ハーバー) に入湾した。そして、このシドニー・コーブに入植の錨を下ろし、 英国旗ユニオン・ジャックを立てて、この地を英国領と宣言した。 フェリーの乗降桟橋の前方には、ポート・ジャクソンを南北に渡し、街の大動脈を接合するハーバー・ブリッジがそびえる。 桟橋の右手方向にはオペラ・ハウスが建つ。フェリー・ターミナルからは、いくつもの航路が伸びる。シドニーのダウンタウンと、 ポート・ジャクソン沿いにあるたくさんのベッドタウンとが 結ばれる。毎日朝夕のラッシュ時には大勢の通勤客・一般市民がフェリーから吐き出され、また吸い込まれて行く。 我も、その一人となりて、ダーリン・ハーバー地区行きのフェリーに飛び乗る。そこは、国立海洋博物館や水族館などがある もう一つの中心街である。軽快なエンジン音を響かせて桟橋を離れる。間もなく高々とそびえるハーバー・ブリッジをくぐる。 半世紀以上も前から世界三大美港の一つと謳われるシドニー・ハーバー。一度はこうして船上からブリッジを見上げてみたいという、 少年の頃からの単純にして、まさに子供じみた「積年の夢」がかなった。50年ほどの歳月が流れている。 ブリッジは、1923年に建設が開始され、9年間の歳月を経て1932年に完成した。1920~1930年代における不況対策のための 公共事業であったといわれる。長さは1,149メートル、往復8車線、電車軌道や歩道もある。
橋上から、ダウンタウンの摩天楼、オペラハウスなどの人工物だけでなく、海と森の大自然が延々と広がる絶景を見下ろすという
機会はついに逃がしてしまった。再びこの地に戻って来る旅のための言い訳と楽しみに取っておくことにしよう。
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