一枚の特選フォト⌈海 ＆ 船⌋

小値賀島前方湾海底遺跡・山見沖海底遺跡からの遺物: 中国系碇石など
[長崎県・五島列島・小値賀町（おぢかちょう）]

特定非営利活動法人のアジア水中考古学研究所＊主催による第6回水中文化遺産と考古学 シンポジウム"海のタイムカプセル～水中考古学からのおくりもの～"が、2012年2月26日に、東京海洋大学・越中島キャンパスにて開催された。 併せて、2012年2月15日（水）～3月25日（日）の間、同じテーマにて企画展が開催された。 企画展には、北海道から南西諸島までの全国14か所の海底遺跡などから出土した、古代から近世にかけての水中文化遺産が展示された：　 (1)前方湾海底遺跡・山見沖海底遺跡(小値賀島)、(2)鷹島海底遺跡 (長崎県松浦市)、(3)玄界島、(4)博多遺跡群(福岡市)、(5)相島、(6)岡垣浜、(7)オーハ島沖海底遺跡・ナカノ浜沖海底遺跡(久米島)、 (8)立つ鳥瀬(大田市)、(9)福浦港、(10)姫島礁(珠洲市)、(11)筒石沖(糸魚川)、(12)沖ノ島遺跡・栄ノ浦(館山市)、 (13)初島(熱海市)、(14)神津島海底遺跡。 ＊　アジア水中考古学研究所: Asian Research Institute of Underwater Archaeology (通称: ARIUA）。日本の水中考古学の 最前線を担う学術研究組織で特定非営利活動法人。 ＊　　　　　　　　　＊　　　　　　　　　＊　　　　　　　　　＊　　　　　　　　　＊　　　　　　　　　＊ 企画展では、前方湾海底遺跡(長崎県・五島列島・小値賀島)から出土した12世紀の南宋時代の白磁碗や青磁碗、また山見沖海底遺跡 (小値賀島)から出土した16世紀戦国時代の鉛のインゴットやクロッ(陶製臼)が展示された (ただし、これらの遺物の写真撮影はしていない)。 両遺跡からの出土状況を示す展示パネルは下の通りである。それには次の通りの説明書きが添えられている。なお、 前者の前方湾での遺物は小値賀町教育委員会、後者の山見沖遺物についは小値賀町歴史民俗資料館の所蔵となっている。 長崎県五島列島小値賀島(おじかじま)の前方湾では、平成16年 (2004年) から海底調査が始まり、現在でも続いている。 これまでの調査から平安時代末から鎌倉時代に多くの中国貿易船が、寄港したことが明らかとなった。 前方湾クスクリ崎沖の海底にはこの時代の中国大陸との交流を示す中国陶磁器や碇石や国産の土器が、 見つかっている。前方湾口にある山見沖海底ではメナム・ノイ流域で生産されたタイ陶器が、 大量に発見されている。船体はまだ確認されていないが、調査から16世紀末から17世紀初頭にかけての 遺跡と考えられる。 [2012.03.22 "海のタイムカプセル～水中考古学からのおくりもの～"企画展にて][拡大画像: x24404.jpg] 1 上段左／右:　1.前方湾海底遺跡の中国陶磁器と国産土器／2.前方湾海底遺跡の中国系碇石 下段左／右:　3.山見沖海底遺跡のタイ製四耳壺、4.山見沖海底遺跡調査風景　[拡大画像: x24405.jpg] [注]本ページの写真掲載につきアジア水中考古学研究所の許可を得ております。写真の二次的 使用はご遠慮下さい。