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韓国・南西部の全羅南道にある漁港町・木浦 (Mokpo・モッポ)。そこに文化財庁所属の有名な国立海洋文化財研究所 (National Research
Institute of Maritime Cultural Heritage) がある。研究所には国立海洋博物館
(National Maritime Museum)が併設されている。
研究所の主な活動は、水中文化遺産の発掘・保存・展示・教育である。過去の古い沈没船、伝統的な韓船の復原、海洋文化遺産
の収集・保存、海洋交流史や民族学的研究など。海に隠された文化遺産の再発見よって韓国の海洋の歴史・文化を再評価する
などの研究活動を行っている。
主な展示内容は、高麗時代の「莞島船」、1300年代の中国の交易船「新安丸」などの沈船から引き揚げられた水中遺物、韓国の伝統的漁具、
朝鮮通信使の船模型を含む朝鮮の伝統的な船舶の模型のほか、屋外では実物の伝統的漁撈船などである。
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博物館正面玄関前の広場を陣取っているのは、巨大な木製の錨、両舷外に張り出した腕木の先端に浮材を取り付けたこのカヌー等である。
何の説明パネルもないので、詳細は不明だ。近づいて見て意外なことに気付く。カヌー艇体の縦断面が刀剣のように細身となっていることだ。
両舷に張り出した浮材がなければ、カヌーはすごく不安定ですぐに横倒しになりそうである。また、漕ぎ手が櫂座に一人ずつ
座るのが精一杯で、2人ずつ並んで座る余裕はなさそうだ。帆形は四角いのか三角なのか分からないが、一つの大きな帆が装着
されているようだ。艇尾の右舷には方向舵が添えられている。
このようなダブル・アウトリガーは、東アフリカのインド洋沿岸域からスリランカ、インドネシアなどを経て南太平洋地域の熱帯海域へと
極めて広い範囲に普及している。現在でも漁撈用カヌーとして、あるいは生活移動手段として活躍している。ひっくり返っても
沈むことはない。また、たとえ大波でひっくり返ることがあっても容易に起こすことができよう。構造船と異なり、艇体が砕ける
ことはそう再三なさそうである。熱帯海域での持続可能な漁撈の手段として、また日常生活や近距離を往く旅の脚として
真に理に適った舟なのである。
* double outrigger: 両舷浮材、両舷外への張り出し材、アウトリガー; 両舷浮材の付いたカヌー、両舷外に張り出した腕木に
浮材を取り付けたカヌー
[2011.09.27 木浦・国立海洋博物館 (National Maritime Museum) にて][拡大画像: x24353.jpg]
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[雑記帳] 国立海洋文化財研究所&国立海洋博物館について
全羅南道の光州から南西方向へ70kmほどの距離にある木浦。研究所には国立海洋博物館 (National Maritime Museum) が併設されている。
研究所の主な活動は、水中文化遺産の発掘・保存・展示・教育である。過去の古い沈没船、伝統的な韓船の復原、海洋
文化遺産の収集・保存、海洋交流史や民族学的研究とともに、海に隠された文化遺産の再発見よって韓国の海洋の歴史・文化を
再評価するなどの研究活動を行っている。
○ 第1展示室: 高麗時代の青磁宝船である「莞島船」が引き揚げられ、その部材や高麗青磁、航海用具、船上生活品などが展示される。
高麗青磁の大部分は康津、扶安、海南などで生産されたもので、海路を通じて地方と開京に運送する際に沈没したものである。
○ 第2展示室: 中国の商業貿易交易船の「新安船」は、1323年に中国から日本への航海途中新安沖で難破したものである。
船には中国の多様な工芸品、高麗の青磁、日本の陶器、東南アジアの香辛料、薬剤など積載されていた。沈船の船底・船側の部材
も展示されている。
○ 第3展示室: 各種の伝統的な沿岸漁具、豊漁祭りなどの漁村民族学的な資料、1814年著の海洋水産生物辞典などが展示される。
○ 第4展示室: 先史時代から近代までの韓国の船舶史を紹介する。古代船形土器、高麗から朝鮮時代、近代にいたるまでの
韓国の伝統船の模型などが展示されている。
* 辞典内関連サイト: 世界の海洋博物館-韓国
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