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荒川の源流は埼玉県・秩父地方の最奥にある。甲武信(こぶし)ヶ岳 (標高約2400m) の東側斜面を源にする荒川の水は、秩父盆地、
そして特異な地質学的ジオパークである長瀞の「岩畳」 (riverside area "Iwadatami") を経て、さらに寄居町の扇状地を通り、
関東平野を流れに流れて、東京湾へと注ぐ。その総延長は173kmである。
画像は晩秋の頃の長瀞の川辺風景である。長瀞では四季折々の渓谷美を楽しむことができる。特に春、秋の行楽シーズン、それも
週末ともなれば、和舟による川下り(長瀞ライン下り)や、ゴムボートによるラフティング、新緑あるいは紅葉を楽しむ大勢の行楽客で賑わう。
「岩畳」辺りの憩流域はカヌーイングのメッカでもある。カヌーには大きく分けて「カヤック」と「カナディアン」の2種類がある。
漕ぎ手の座席以外が甲板(かんぱん)で覆われているのがカヤックである。遊園地によくある普通の手漕ぎボートのように
デッキがない(無甲板)のがカナディアンである。カヤックでは、水掻き (ブレード; パドルの水を掻く部分) が両端に付いたパドル
(櫂; カヌーを漕ぎ操る道具) 1本を使う。カナディアンでは、ブレードが片方の端に一つだけあるパドルを使う。
今日は日曜日、カヤッキング教室の生徒たちが「岩畳」の憩流で練習する。その扱いに大分慣れたところで、少しばかり渓流
下りに挑戦するのであろうか?
乗りたての初心者はパドルさばきに無我夢中で、周りの紅葉美は余り目に入らないかもしれない。だが、憩流域を往ったり来たり
しているうちに、パドルさばきも軽快となる。ついには川岸の岩崖を見上げ、その上に覆いかぶさる樹木の紅葉の表情にも眼
をやる余裕も出て来よう。
目線がぐっと水面に近づき、普段余り目にすることのない景観が身近に迫り来る。自然との一体感を味わえる。
これもカヤッキングの醍醐味の一つであろう。
秩父鉄道の「長瀞駅」から「岩畳」に向かう「岩畳通り (Iwadatami Lane)」 沿いには、土産物店や茶店が並ぶ。炭火の周りにたて
掛けられた長瀞名物「鮎の塩焼き串」、あちこちで香ばしい匂いを放つ。これもまた長瀞の風物詩である。
長瀞の中でも行楽客が最も訪れる景勝地がこの「岩畳」である。河岸に岩が棚のようにごつごつと広がる。その特異な自然の造形は
「天然のジオパーク」そのものである。長瀞周辺のこの岩石園一体は「地球の窓」と呼ばれ、世界でも地質学上大変貴重なものとされる。
[2011.10.16.埼玉県・長瀞にて][拡大画像: x24477.jpg]
[雑記帳] 国指定天然記念物・長瀞について
* 「岩畳」の上流にある親鼻橋から、「岩畳」を経て、その下流にある高砂橋に至る、荒川本流の両岸約57ha (延長4㎞) の
広大な渓谷である。長瀞式結晶片岩といわれる、その露出した岩石群をいたるところに見ることができる。それらは河岸段丘を形成しており、
「岩畳」と呼ばれている。
岩石園一体は「地球の窓」といわれるほど学術上貴重なもので、大正13年12月に天然記念物として国の指定を受けた。
* 遥か100年以上前にドイツの地質学者ナウマン博士 (ナウマン象の発見者として有名) が東京帝国大学の初代地質学
教授として日本へ招へいされた。秩父地方の地質学調査に訪れた同博士は、この「岩畳」を発見し、大変貴重
な地質学的資料であるとして発表した。このことにより、長瀞は「日本地質学発祥の地」として広く知られるようになった。
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