「海洋総合辞典」のデジタルデータやその他の関連情報・資料を、辞典づくりの未来を託すことになる次代(第2代)の後継編さん者へ
譲渡するに当たって、事前にご理解を得ると共に適切な対応をお願いしたいこと、また辞典づくりの次々代(第3代)の編さん者につないでいただきたいことなど、
7項目を取りまとめた。
(その1)次代の後継編さん者にお願いしたいことの第一は、ドメインやレンタルサーバー契約の毎年の延長と料金支払いについてである。
語ることもはばかれるが、ウェブサイトの海洋辞典がネット上で一般公開できるのは、ホームページのネット上のアドレス
(http://www.oceandictionary.jp) であるドメインを登録し、かつレンタルしたサーバーに辞典の全データをアップロードし、そのサーバーが
世界中のパソコンと24時間365日繋がっているからである。ドメインとサーバーの両契約について、それぞれに民間情報会社と契約して
いるが、毎年必ずその延長手続きと支払いをお願いします。令和3年(2021年)4月現在のドメイン登録料は年間3,600円程度、サーバーのレンタル
料は年間4,500円程度である。それらの経費について毎年自己負担をお願いします。
契約延長の手続きや支払い方法については、本章次節(第7節)の「実務マニュアル(要約・基礎編)」(詳細については、附属資料として
「実務マニュアル(詳細編)」に取りまとめた)に記されている。毎年2~3月の所得税等の「確定申告」の時期に合わせて、両契約の満期が
到来するようにセットされており、両契約の延長手続きと料金支払いを確実に完了していただきたい。
過去数十年のいろいろな経緯・経験などから、クレジットカードによる「契約の自動延長・自動支払い」とすることを取り止め、
コンビニ経由での支払いとしてきた。両契約は毎年3月27~31日に満期を迎えるので、余裕をみて毎年2月中に更新手続きを完了させてきた。
また、既述の通り、両契約は自動延長に付すことなく、ネット上で一年単位にて個別に、いわばマニュアル的に更新してきた。とにもかくにも、
両契約が期限切れとならないようにすることが最も大切である。毎年、満期までに確実に完了しないと、ウェブ辞典は消滅のリスクに
陥ってしまう。十分なご留意ご配慮をお願いします。
(その2)ウェブ辞典づくりには、幾つかのハードウェアに加えて、ソフトウェアが必要となる。編さん者はパソコンなど電子機器一式を持ち、
インターネット環境を維持していることが必要である。基本の一つは、先ず辞典作成ワークのためのパソコンである。次いでデータの保存やバック
アップのためのハードディスク・ドライブ、その他周辺機器としてプリンター、デジタル・カメラなどがあれば、申し分がない。
また、インターネット環境(Eメールを含む)が十分整っていることが大前提となる。
別途経費を伴うことになるのが、ネット接続に伴うセキュリティ対策用ソフト(例:「ノートン」など)が必要である。
データを自宅のパソコン(ローカルディレクトリー)とサーバー(リモートディレクトリー)との間で出し入れする「ftpあるいはffftpソフトウェア」、
また、画像加工ソフトなども必要であるが、フリーソフトでも対応可能である。ホームページを閲覧するブラウザは勿論であるが、
各種の最低限のソフトウェア環境を有することも前提である。例えば、ホームページの作成・更新にはソフトウェアの「メモ帳」
があれば十分である(「メモ帳」はタグ方式によるホームページの作成・更新のために使用する)。「メモ帳」はいずれのパソコンにも
インストールされているはずである。ハードウェアとソフトウェア、ネット環境の整備は自己負担していただく
ことになるが、海洋辞典づくりのために更に必要となるものは特段ないものと想定する。ただし、ネットやレンタルサーバー関連のセキュリ
ティー強化が今後さらに求められたりすれば、それに応じて追加の経費が必要になることはありうる。
(その3)さて、辞典づくりの未来が託される次代の編さん者に、その他の慎重なアクションと深い理解をお願いしたいことがある。
その一つは、ウェブ辞典の無償公開と、非営利目的での辞典づくりである。
海洋辞典ホームページは、1996年頃の開設以来ずっと今日まで、サイト運営を通していかなる収益を得たことはない。
無償にて広く一般公開すること、また非営利的での運営を貫いてきた。編さん者が代わることがあっても、ウェブサイトを通して
いかなる収益を求めることなく、利用者に無償提供し続けるとの基本方針が維持されることを強く切望したい。
例えば、アフィリエートやバナー広告その他のいかなる方法によっても、その多寡を問わず収益を得るようなことは一切してこなかった。
客観的に深慮すれば、この種の辞典づくりを生業にして、生計を立てることは先ずもって期待できないことであり、また収益を得られた
としても非常に限られたものであろう。いずれかの組織から報酬や対価を得たり、それを本業・生業として行なうもの
ではない。また、本業・生業を補うためにする副業というものでもない。
辞典づくりは生業としても副業としても、成り立ち得ないというのが基本的認識である。そのことは、過去35年以上の語彙拾いと辞典づ
くりの経験と沈思から得た結論である。逆説的に言えば、経済的基盤をそれなりにおもちであることが重要な要素
となろう。その基盤が乏しいと、腰を落ち着けて語彙を拾い、辞典づくりを楽しむというような余裕は生まれてこないと危惧される。
辞典づくりが楽しみどころか、人生の重荷になるようでは心苦しい限りである。重荷にはなりそうにない自信をもてる方に巡り会いたいと
切望する。また、利益を追い求めないことの重要性を分かち合える方に辞典づくりの未来を託したいと渇望するところである。
余談であるが、グーグル検索においてキーワード「海洋 辞典」で検索すると、ヒット数はおよそ5~600万で、そのトップに表示される。そこには
海洋関連の書籍の広告表示がなされている。また「ocean dictionary」で検索すると、ヒット数は6~7,000万で、そのトップにランクされるが、
広告は表示されていない。また、ヤフー検索の場合でも、ほぼ同じ結果である(2021年4月)。前者の場合の広告は検索エンジン側での広告ポリシ
ーによるものであり、当方が意図し関与するものではない。
(その4)翻って見れば、ウェブ海洋辞典の作成と提供は、あくまで編さん者一個人が自由意思で行なう無報酬のボランティアワークである。
辞典づくりは、収益を上げることとは全く無縁の「非営利的ボランティアワーク」である。辞典づくりの創始から、いかなる金銭的見返り
や対価も求めることをしてこなかった。それはいわば、「海好き・語学好き」な個人が、本業・生業をもちながら、その余暇時間を活用して気長に取り組み、
それを人生の楽しみの一つとするものである。さらにまた、海の語彙拾いを基本とする辞典づくりが、いわば「生涯にわたる息の長い
ライフワーク」と位置づけられることを切望したい。編さん者がその生涯を通して取り組むことを想定している。短期間のうちに辞典を完成させることなど
望むべくもなく、一定期間を一区切りにして何度でも「中締めの〝未完の完″」を繰り返しながら、辞典を編んで「進化」させ続けることを想定
している。
(その5)ところで、ウェブ海洋辞典づくりが果たすところ、究極的に目指すところは何か。端的に言えば、生業とは別のもう一つの社会的貢献
をなすことであり、「世界でオンリー・ワンと世界ナンバー・ワン」の多言語デジタル海洋総合辞典づくりを目指すことである。
辞典としてのコンテンツが充実し「進化」し、ネットで公開・発信することによって、より多くの人に活用されることを喜びとする。その活用によって、
本業・生業とは別のもう一つの何がしかの社会的貢献をなすこと、海洋分野における日本や世界の発展にわずかでも役立つことである。
辞典の果たしたい究極的使命とは、日本からの海洋関連情報の発信と海外からのそれの受信、即ち海の情報の交換交流に少しでも役立ち、
海洋関連分野の発展に寄与することである。
海洋辞典づくりによる社会的貢献によってもたらされるものは、敢えて言うならば、無形の「誇りと名誉」である。残念ながら、
得られる対価としてはそれ以上でも以下でもない。日本語をベースにした「世界オンリー・ワンと世界ナンバー・ワン」の和英仏西葡語・デジタル
海洋総合辞典とその「進化」のプロセスから得られるものは、生涯を通しての「誇りと名誉」のみであると理解してきた。辞典づくりの励みと
原動力になるのは、その「誇りと名誉」だけであろう。もう一つのそれは辞典づくりの「愉楽」だけである。後継編さん者にあっては、
辞典づくりのそのような無形の意義をご理解いただけることを切望したい。
たとえ営利を求めたところで、得られるものは極わずかなものであろう。極わずかな営利のために、辞典づくりの「誇りと名誉」を大きく
損なうことがあってはならないと信じたい。翻って、「世界オンリー・ワンとナンバー・ワン」の辞典づくりにチャレンジし、それを「進化」させる「誇りと名誉」
をもって、生涯にわたってそれを楽しんでいただきたい。無償で日本と世界にそれを供することが、ウェブ辞典づくりの「誇りと名誉」となり、
それがまた大きな精神的支え、励み、原動力となると信じるところである。その精神性が海洋辞典づくりの創始の原点であった。
編さん者の本業・生業に新たな社会的貢献への別トラックをプラスすることになることを期待したい。収益に前のめりになり、それに執着すればするほど、
「誇りと名誉」をいとも簡単に失い、辞典づくりの「楽しさ」は間違いなく減殺され、霧散し失われよう。その精神的ダメージは大きいなものになる
と懸念される。また、「誇りと名誉」を損なえば、それを取り戻すことは至難の業となろう。わずかな収益の皮算用よりも、意義と価値のある
「誇りと名誉」を心に擁し続けられることを切望したい。
(その6)辞典づくりの現代的意義はどこにあるのか。辞典が一つの「原典」になることを期待したい。昨今の情報通信技術や
人工知能(AI)が飛躍的進歩を遂げ続ける中、他の数多の辞典・辞書・事典と同じように、AIの「原典」の一つとして役立つことを期待したい。
また、ウェブ海洋辞典が他の全ての辞典・辞書などと同様に、AIを検証するための一つの
「原典」としての役割を果たし得ることを期待したい。AIは未来社会で底知れない進歩を遂げ利便性を高めつつ、
社会の隅々まで入り込むことになろうが、希望的展望として、海洋辞典もそのような一つの「原典」としてAIと関わり合い、人間やAIの最後の
拠り所となれることを願うばかりである。
(その7)もう一つの大きなお願い事として、次々代(第3代)の後継編さん者へのさらなるバトンの引き継ぎがある。万が一何らかの
事情で、次代(第2代)の編さん者が辞典づくりを止む無く断念する場合は、次々代の後継編さん者を見つけて、そのバトンを託していただきたい。
何らかの止むを得ない事情や出来事のために、辞典づくりを中途で諦めざるをえず継続できなくなった場合、あるいは何十年か後に自然体でその
バトンを正式に譲り渡したい場合は、後代の編さん者(個人)を見つけていただき、バトンをハンドオーバーしていただける
ことを切願します。後代の後継者に引き継がれず、海洋辞典づくりが途絶しないようにご配慮よろしくお願いします。
初代編さん者からすれば次々代(第3代)の後継者のリクルートについても、ネットを通じた公募が有効な方法の一つである。公募方法や
後代への辞典引き継ぎ方法などに関する資料として、第17章全節での説明書き、並びに「実務マニュアル(要約基礎編・詳細編)」を
是非ご活用頂きたい。また、必要に応じてアップデートのうえ、辞典の全データと共に、それら一式を後代の編さん者に
引き継いでいただきたい。全てのデータは、パソコンの「ローカルデスク(D:)」(エキスプローラー参照)のフォルダー「oda-I(Ocean Dictionary)」
に収蔵されている(バックアップ版は、ハードディスク HDPC-U(H:) の同名フォルダー内にある)。
また、もう一つのお願い事として、突然の不慮の事故などで後代の後継編さん者にバトンを託す余裕が全くない場合に備えての
辞典の引き継ぎである。卑近な例で恐縮であるが、私は2009年に赴任していたニカラグアの山中で心臓疾患に襲われ、まさに奇跡の生還を果たした
経験がある。一度は死んだのも同然であった。また、近年実兄が突然心不全の発作に襲われ、ほぼ即死の状態で他界した。長い人生においては、突如
として何が身の上に起こるか分らない。自身の経験などを踏まえて、辞典づくりの引き継ぎに関し、このような万が一の不慮の事故に対する幾つかの
備えを模索してきた。
例えば、不慮の事故などで突然辞典づくりが途絶えることを回避し、その継続性を担保するため、家族などへの口頭による依願だけでなく、
家族宛て書面をしたため、後継者のリクルートや引き継ぎ方法などを取り纏めてきた。誰も辞典づくりのことや、ドメインやサーバーの契約
更新のことなどを知らされることなく、両契約が期限切れに至るならば、ウェブ辞典は完全に途絶えてしまうことになる。また、後継編さん者
がリクルートされず、引き継がれなければ同じことになる。
万が一の突然の不慮の事故に備えて、ドメインやサーバーの契約延長や支払いに関する当座の対処、後継編さん者のネットでの公募などによる後代の
編さん者のリクルート、そのバトンの引き継ぎに関する重要な実務事項、辞典づくりにおける留意事項、その他参考となる
事柄を一括して取りまとめた。第17章全節と「実務マニュアル(要約基礎編・詳細編)」一式のことである。資料は全ての重要事項を網羅し、
家族や後代編さん者にしっかり伝えられるよう工夫されている。全ては、契約延長・支払いと並行して、リクルートを託されている家族らが後代
編さん者をみつけ、スムーズにバトンを繋げるようにしたいという強い思いと配慮からである。次代の編さん者に置かれても、
万が一に備えての口頭メッセージや書面を家族などに申し送り、後代へバトンが受け継がれるよう心底より懇請します。
[追記] 初回のネット公募で後代の編纂者が決まらなかった場合でも、半年あるいは一年後に、事情によってはそれ以上の間をおいて、
幾度となく試していただくことを切望します。辞典づくりに情熱をもって真摯に向かい合っていただける後代の編纂者に出会うまで、リクルートを
諦めるという選択肢はない旨ご理解下さるよう懇請します。
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