2.始華湖潮力発電所/発電の仕組みと模式図
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画像 1 は始華湖潮力発電所の鳥瞰図である。発電所に隣接する
人工島には、展望塔の他に広報館が設置され、潮力発電の仕組みや自然再生可能エネルギーに関する展示がなされている。
また、人工島は一般市民が憩える臨海公園となっている。
西海(黄海)沿岸の入り江が総延長12.7kmの堰堤によって閉め切られている。画像 1 の左上の水面が外海である。右側は4,380ヘクタールの
広さをもつ人工湖・始華湖である。画像 1 では、満潮時になって、10基のタービン発電設備をもつ水中トンネルへ外海から海水が
流入し、発電後の海水が人工湖側へと流入し白波をたてて排水される様子を描いている。その施設の上方には、引き潮時に人工湖
から外海へ排水するための水門施設がある。
発電は外海が満ち潮になる頃合いにのみ可能となる「漲潮式(ぼうちょうしき)」発電方式である。満ち潮によって外海の海水が
漲潮すると、その外海の水位と湖のそれと間に高低差が生じる。その水位差を利用して外海から人工湖側へ海水を水中タービン
経由で流入させ、タービンを駆動させる。満ち潮の頃合いにおける海水の一方向の流れにおいてのみ発電する「単流式」(一方向発電;
"Single-Effect Flood Generation"と呼ばれる)である(引き潮時においては発電されず、発電のポテンシャルを高めるために
湖水が外海へ排水される)。
発電タービン1基当たりの出力は25.4MW。発電設備能力として、タービン10基の出力合計は254MW(25万4000kW)である。1日当たり
8~9時間稼動したとして、年間552.7GWhの発電量があるとされる。
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画像3&4は、発電施設構造や発電の仕組みを示す模式図である。画像4のように、引き潮時には水門が開かれ、湖水が外海へ排水される。
そして、引き潮時に人工湖の湖面水位が3メートル下がった状態の時に水門が閉じられる。
その後やがて満ち潮が始まり、それによって外海の海水が漲潮し水位が上昇してくれば、湖水面との間で水位差が生じることになる。
かくして、外海の海面水位と人工湖の湖面水位との潮位差が約2メートルになった時に、水中発電タービンの扉が開かれる。タービン
を通過した海水は画像5のように人工湖へと流れ込む。タービンに流れ込む海水は直径7.5メートル、重さ53トンのプロペラを回転
させて起電する。
[画像撮影: 2017.10.31 始華湖潮力発電所 (Sihwa Tidal Power Plant) にて][拡大画像: x27961.jpg][拡大画像: x27962.jpg]
[拡大画像: x27963.jpg][拡大画像: x27964.jpg]
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画像5&6: 満潮時に海水が外海側から発電用タービンへ流入し、発電を終えた海水が人工湖に向かって勢いよく吐き出されて渦を巻いている
(画像5)。小魚がまとまって吐き出され、それに寄りつくのであろうか、海鳥が舞う。 [拡大画像: x27966.jpg][拡大画像: x27967.jpg]
画像7: 総延長12.7kmにわたる堰堤 (コーズウェイ) の中間辺りに位置する小さな人工島に発電所があり、また一般市民に開放された臨海
公園がある。幾つかのアート作品も設置され市民の憩いの場となっている。 [拡大画像: x27965.jpg]
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