最近の新聞記事 (朝日新聞・夕刊/2013年3月30日付) 及びインターネット情報によれば、中国は、渤海沿岸に位置する
天津市の浜海新区に、同国初の総合的な「国家海洋博物館」の建設 (総工費255億円) を年内に着工するという。
完成は2016年頃になる予定である。運営管理については、中国国家海洋局と天津市政府とが共同であたる。海洋に関する自然、
文化・歴史などを紹介する展示文物約30万点が収集されることになっている。尖閣諸島や南シナ海の歴史についても展示されるという。
[ 雑 記 (視座その1)]
中国・習近平政権は2013年3月に正式に政権を継承した。その習政権は、極最近「中国の海洋権益を断固守り、
海洋強国を建設する」ことを高らかに宣言した。因みに、海洋強国の建設に向けた近年におけるそのための取り組みについては、
いろいろな領域において見て取れる。
海洋科学技術の近年のめざましい振興 (例えば深海有人潜水艇の開発等)、これしかり。南シナ海や東シナ海のアジア大陸
周縁海域に存する島嶼の領有を死活的利益であると位置づけ、他を頑として排除するという行動、これしかり。
同周縁海域の全面的な領海化、排他的経済水域・大陸棚に関する国家管轄権の及ぶ海域の極大化への挑戦、これもまたしかりである。
同海域における海底石油・ガスの掘削による経済的活動これありで、そこには島嶼領有の既成事実化などの政治的意図も秘めら
れていることかもしれない。
更には、太平洋の国際海底区域 (沿岸諸国の管轄権下にある海域以遠の公海) における海底鉱物資源探査、これしかり。
近年の北極海航路の開拓とそのための砕氷船の建造および実航海への取り組み。国内外における大規模な港湾建設・メンテナンスに関する
投資拡大。過去20年の経済パワーの飛躍的増進の下、シー・パワーの飛躍的増強と軍事的プレゼンス強化などにおいて例証される。
中国にとって、海洋博物館は過去2000年余の中国の海事文化・歴史的文物を展示するだけのものではなかろう。
海洋強国の建設をめざす幾多の野心的取り組みについて、国内外に向け積極的にアピールする絶好の場所と機会とすることであろう。
博物館における展示を通して描かれるであろう海洋強国の具体的未来像に注視して行きたい。
[ 雑 記 (視座その2)]
海洋、特に太平洋において米国と中国は互いの軍事的行動の自由、その優位性などを求めてせめぎ合っている。
その米中間の軍事的なせめぎ合い、あるいは権勢・支配力の範囲を巡る競い合いは、今後いかなる展開進展をたどるであろうか。
米中は太平洋における軍事的支配力を仲良く分かち合い、互いの軍事的行動の自由を認め尊重し合い、平和と安全の維持に
手を携え共同して貢献するであろうか。中国の経済パワーが近未来において米国のそれを
凌駕するという勢いの中で、米中のせめぎ合いにどのような折り合いを付けるのか、世界が注目する今世紀の一大関心事に違いない。
[ 参 考 ]
中国の海洋強国建設に向けた取り組みは今まさに遂行されつつあり、あちらこちらで具現化されつつあるかのようだ。
2013年4月11日付けの産経新聞は次のように報じた。
⌈ロックリア米太平洋軍司令官は[4月]9日、上院軍事委員会公聴会で、中国海軍が昨年、ハワイ沖やグアム
沖の米国の排他的経済水域 (EEZ) 内やインド洋で初めて情報収集活動を行ったことを明らかにし、活動拡大に強い警戒感を表明した。、、、、
さらに、中国海軍が太平洋からインド洋に及ぶ広い範囲で潜水艦を増強していると指摘。、、、、米国本土を射程に収める
潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を近い将来配備するとの見通しを示した⌋。
[2013年4月25日 初記/2014年6月26日 追記更新]
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