南米アルゼンチンの首都ブエノス・アイレスから南東へ400km余りの距離に位置するマル・デル・プラタは商・漁・軍港の町であり、
海浜リゾート・避暑地でもある。市街地の最大のランドマークの一つは大賭博場(国営カジノ)であるが、そのカジノのすぐ前の、
大西洋に面したテラスに、二頭のアシカ石像が立つ。アシカ(lobo marino sudamericano, sea lion)は、天を仰いで雄たけびを上げ、
マル・デル・プラタに君臨するかのような勇ましい姿を披露する。アシカはマル・デル・プラタのシンボル的・守護神的な存在であり、
またマスコット的存在でもある。
マル・デル・プラタの港に行けば、本物のアシカを観察することができる。自然環境下でルッカリー(集団繁殖地 rookery)を形成するアシカは
港内にある浜辺でのんびりと憩っている。
時には我が物顔で、係留されている小型沿岸漁船(ランチャという。lancha pesquera)の甲板などにはい上がり、漁師の貴重な漁獲物を
奪い取って行く。稀に、その重みで重心が大きく偏り漁船が転覆することさえあるという。アシカは観光客からは好かれ、興味津々の
対象であるが、漁師からは大変嫌われる存在である。
漁師がいちいち追い立てるのも危険なので、港の埠頭では、何頭もの番犬がそんなアシカを追い立て回す大立役者となる。
アシカと犬たちとの間の直接的な睨み合いが小 1 時間も続くことがある。犬たちは、自身より何十倍も巨大なアシカを全く恐れることなく、
埠頭に居座る彼らに向って激しく吠えながら追い立てようとする。
頃合いを見ては、別のところに居座るアシカに向けて追い立てに突進して行く。暫くすると、元のアシカに戻ってきて、再び数頭で組して
激しく吠え立てる。
だが、アシカは天を見上げて犬たちを無視する。時には、犬に突如襲いかかる振りをする。犬たちは、それも計算の上であり、
一瞬吠えるのを止めるが、すぐさま激しく吠え続ける。漁師・番犬連合軍とアシカたちとの熱い闘いをじっくり観察するのも面白い。
[2014.3.20-21 アルゼンチン、マル・デル・プラタのカジノ前のテラスにて][拡大画像: x26389.jpg]
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