一枚の特選フォト⌈海 ＆ 船⌋

「メキシコ湾流漂流ミッション」を成就した潜水艇「ベン・フランクリン号」
[カナダ・バンクーバー海洋博物館]

画像はカナダのバンクバー海洋博物館に屋外展示される潜水艇「ベン・フランクリン号　BEN FRANKLIN (PX-15)」である。 説明パネルには次のように記されている。 The 130-ton BEN FRANKLIN (PX-15) sheltered seven men, hailing from three countries (Switzerland, United Kingdom and United States), during her famous "Gulf Stream Drift Mission," a 30-day underwater voyage along the American east coast. The vessel was piloted from a control console incorporating state of the art "Apollo" technology pioneered by Grumman, a company heavily involved in the American space program. 130トンのベン・フランクリン号は、「メキシコ湾流漂流ミッション」において、スイス、英国、米国出身の7人の男性を乗せながら、 米国東海岸沿いに30日間におよぶ海中の旅を成就した。 潜水艇は米国の宇宙計画に深く関わったグラマン社によって開拓された最新の「アポロ」技術を組み込んだ制御コンソールから操縦された。 Four 25-hp AC motors propelled the sub when it was not drifting. Each motor housing was rotatable, providing high manoeuvrability. In case of an emergency, steel shot could be released to bring the sub to the surface. 潜水艇が漂流していない時には、4基の25馬力ACモーターによって推進された。各モーターのハウジング（機器収納部）は輪番交替制とされ 高い操縦性を供した。緊急時には潜水艇を海面に浮上させるために鋼製の弾を発射することができた。 BEN FRANKLIN's most important mission was conducted in the summer of 1969 when she submerged to 2000 feet to drift with the Gulf Stream. Thirty days later she surfaced 1,440 miles north. It was an umparalleled feat. ベン・フランクリン号の最も重要なミッションは、1969年夏に行われたもので、水深2000フィート（1フィート＝30.48㎝、約610m）まで 潜水して湾流と共に漂流した。30日後に1,440マイル（1マイル＝1.609km、約2,300km）北方の海域に浮上した。それは無比の偉業であった。 NASA's interest in the project stemmed from their interest in human behaviour in confined spaces. They still use the lessons learned on board BEN FRANKLIN as they plan a mission to Mars. 計画に対するNASAの関心は閉じ込められた空間における人間の行動に対する関心から由来するものであった。NASAは火星への探検を 計画しており、そのことからベン・フランクリン号の艇内において導き出された教訓をなおも活用している。 The Vancouver Maritime Museum acquired the oceanographic submersible BEN FLANKLIN from Vancouver-based Horton Trading Ltd. after the sub lay derelict and dismantled in North Vancouver for nearly 30 years. In December of 1999, an extensive two-year restoration project was undertaken at the museum to preserve and restore the famous sub to how she looked on her famous 30-day "drift dive" along the Gulf Stream. バンクーバー海洋博物館は、海洋研究潜水艇ベン・フランクリン号がほぼ30年間ノース・バンクーバーに遺棄され艤装を解かれていたところを、 バンクーバーをベースにするホートン・トレーディング社から譲り受けた。湾流に沿って成就された有名な30日間の「漂流潜水」を 想起させるところまで修復し保存するために、博物館は1999年12月に集中的な2ヵ年修復プロジェクトなるものを立ち上げた。 Jacques Piccard, son of the famous Swiss physicist Auguste Piccard, with support from NASA and the Grumman Aircraft Corporation, designed this medium depth submersible with a "crush depth" of 4000 feet. スイスの有名な物理学者オーギュスト・ピカールの息子であるジャック・ピカールが、NASAおよびグラマン・エアクラフト社からの支援を得て、 4000フィート（約1,220m）の「破砕深度」をもつこの中深度の潜水艇を設計した。 Her features include a 50-foot long pressure hull of 1 - 3/4 in thick steel. She has 29 separate viewing ports made of thick acrylic. Special thermos tanks maintained hot water for five to eight crewmembers to heat food and shower. 潜水艇の特徴は、1＋3／4インチ（1インチ＝2.54㎝、約4.45㎝）厚のスティールをもつ50フィート（約15m）長の耐圧殻にある。 厚いアクリル製の29個の覗き窓をもつ。特別のサーモタンク(温水タンク)が5～8人の乗組員に食べ物やシャワー水を温める ための熱湯水を供給した。 Power came from 378 battery cells. Spaces included a laboratory, bunks, galley, and wardroom. 電力は378個の蓄電池から供給された。スペースとしては、ラボ、寝床、ギャリー(賄い室)、およびラウンジが供された。 [2015.2.2-17 カナダ&キューバの旅／2015.2.3 博物館訪問／2015.05.30 記][拡大画像: x26837.jpg]

1 2 1. 画像は1969年夏フロリダのパームビーチにおいて行われた「グラマン・ピカール湾流漂流ミッション」でのベン・クランクリン号の試運転。 [拡大画像: x26838.jpg: ＋説明書き][拡大画像: x26839.jpg] 2. ベン・フランクリン号の内部のイラスト。　[拡大画像: x26840.jpg: 説明書き][拡大画像: x26841.jpg] 3 4 3. バンクーバー海洋博物館全景。三角屋根の館には北米大陸北岸沿いに北極海の「北西航路」を往復するという偉業を成就したカナダ・ ロイヤル騎馬警察隊所属の「セント・ロック号 "St. Roch"」が収容・展示される。同館右側に「ベン・フランクリン号」が見える。　 [拡大画像: x26842.jpg] 4. 「ベン・フランクリン号」全景。背後の地先水域はバンクーバー外港である。　[拡大画像: x26843.jpg]