南米ブラジルのリオ・デ・ジャネイロは奥行きと水深のあるグアナバラ (Guanabara) 湾の湾口西岸域に発展してきた都市といえる。
同湾は南北方向に内陸部へ深く入り込んでいる。湾を出るとすぐに大西洋が広がる。
湾口から7、8㎞入り込んだところにポンテ・リオ・ニテロイ (Ponte Rio Niteroi) という長い橋が架けられていて、
セントロ (旧市街区) のあるリオの都市部とその対岸のニテロイ市とを結んでいる。フェリーボートが市民の足として
ひっきりなしに両岸を行き来する。
画像は、そのポンテ・リオ・ニテロイ橋に近い水域に鎮座する海底石油掘削リグである。ニテロイの沿岸部には、
リグの点検修理を請け負う施設がある。その地先水域では時に点検修理を待つ数多くのリグが待機する。
ブラジルは、隣国のアルゼンチンと肩を並べる世界有数の広大な大陸棚をもつ沿岸国である。
ペトロブラスなどによる海底油田開発を通して海からの恩恵を享受してきた。原則として、沿岸国の大陸棚管轄権は
海岸線から200海里までである。しかし、ブラジルやアルゼンチンのように、陸地からの自然延長が認められる場合には、
一定の条件の下その管轄権はさらに延伸されうる(ただし、最大350海里までである)。
ボリビアやパラグアイのような内陸国はそもそも大陸棚を有しない。地中海やカリブ海の沿岸諸国は互いに相対するか
隣接するので、大陸棚はごく狭い範囲に押し込められている。ペルシア湾に面するアラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、イラン、
サウジアラビアなどの大陸棚そのものはごく狭い範囲に押し込められているが、正反対に海底石油・ガス資源には恵まれる。
海の恩恵は広さだけでなく質もかかわることになる。
諸国にとって、海からの恩恵はすべてこのような地理的偶然によって運命づけられる。海の憲法という現在の国連海洋法条約は
そのような「不公平な」海洋資源配分方程式を国際的秩序として組み込んでいる。この方程式を含む海洋法条約は、当時の全ての
諸国の政治的妥協の産物として、20世紀後半に生まれたばかりである。いずれにせよ、地理的偶然によるこの配分方程式に挑戦し、
再配分を求めて変革しようとする主権国家は今の処見当たらない。
[2003.12.27-2004.1.3/リオ・デ・ジャネイロのセントロ地区 (旧市街地) とニチロイを行き来するフェリーにて・2003.12.30]
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