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「プトレマイオスの世界図」 [アルゼンチン国立海事博物館]

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画像はアルゼンチンのティグレにある国立海事博物館 (Museo Nacional de la Nación, Armada Argentina) に展示される 「プトレマイオスの世界図」(world map of Claudius Ptolemaeus)である。

ギリシアの天文・地理学者クラウディオス・プトレマイオス(AD83-168年頃)はエジプトのアレクサンドリアで活躍した。 彼は古代ギリシア期における地理学を集大成した「地理学」(ゲオグラフィア Geographia)という画期的著作を世に残した。 その中に通称「プトレマイオスの世界図」といわれる世界地図がある。その世界図では、カナリア諸島に本初子午線を置き、等間隔の緯度 と経度をもってモロッコから中国にいたる、ヨーロッパ、アフリカ、アジアにまたがる広大な領域を一枚の地図に描き出した。 現存する「プトレマイオスの世界図」は15世紀のルネサンス期に復元されたもので、ナポリの国立図書館に所蔵されている。

「プトレマイオスの世界図」は、16世紀になってオルテリウスが編纂した「世界の舞台」が刊行されるまでの長きにわたり 標準的世界地図となっていた。その世界地図ではその周囲に配した12人のウインド・ヘッドが風を吹きつけている。 インド亜大陸は少しも大陸らしく描かれていない。その南方のセイロン島はインド亜大陸と比較してひどく大きな島として 描かれている。

その東にはガンジス川のデルタが、そしてその東方にマレー半島(黄金半島)がインド亜大陸よりも大きく描かれている。 半島の東にはシヌス・マグヌス(大きな湾)という湾があり、その東には存在しない陸地が横たわる。即ち、 中国と「未知の南方大陸」(テラ・アウストラリス・インコグニタ)とが陸続きとして描かれている。

他方、アフリカの赤道以南はその「未知の南方大陸」とも陸続きである。かくして、エリュトラー海(アラビア海、インド洋)は、 アフリカ、アジア、「南方の大陸」などに囲まれた内海として描かれている。 彼の世界地図では、ヨーロッパが面する大西洋の西方世界と中国などのアジア大陸東方世界とのつながり方は未知のままであった。 コロンブスが1492年に大西洋を西方へと、黄金の島ジパング (日本) やカタイ (中国) をめざして出立した頃も、 「プトレマイオスの世界図」に描かれたような世界観が流布していた。

[画像撮影: 2014.3.7 アルゼンチン国立海事博物館にて][拡大画像: x26970.jpg][拡大画像: x26971.jpg]


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